プレスリリース
ブリストル・マイヤーズ株式会社
乳がん患者対象のインターネット調査の結果を発表
2007/08/06
ブリストル・マイヤーズ株式会社(本社:東京都新宿区 / 社長:マーク・W・ライト)は、全国の20歳以上の女性の乳がん患者149人を対象に、治療を受けた医療施設、これまでに受けた手術経験、告知時の説明時間と内容、セカンドオピニオン外来の認知度と受診経験、乳がん診療ガイドラインの認知度などに関し居住地域規模や患者会の所属との関連についてがん対策基本法施行後の状況を把握することを目的に、インターネット調査*を実施いたしました。
その結果、規模の大きな都市ほど「乳房再建術」の割合が高く、20万人未満の市区町村居住者では、「乳房切除術」の割合が高いなど地域間で差が見られました。乳がん告知時の説明時間では30分内外を希望する患者に対し、実際には15分以下だった患者も多く、医師の説明に概ね満足しているものの、「不安な事を十分質問できたか」という質問に対しては「どちらともいえない」「あまり満足できなかった」と回答した患者の割合が高くなり、疑問点や不安の解消のための質疑応答や説明を希望している状況が伺えました。患者会への所属患者は政令指定都市の居住者で圧倒的に多く、標準治療やセカンドオピニオン外来などの情報を得る効果がある事が明らかになりました。
本調査に対し国立病院機構横浜医療センターの土井卓子先生は、「アンケートの結果を見て、乳がん治療では標準治療が定まりつつあるが、ガイドラインの認知はまだ低い。セカンドオピニオンという言葉も普及したが実行率は低い。患者会は標準治療やセカンドオピニオンの存在を認識し、自分で治療を決定するという意識をもつ効果があるようです。また居住地域(都市)の規模にかかわらず外来の待ち時間は長く、求められている十分なコミュニケーションは取れていません。手術は大都市では再建や鏡視下手術,高い温存率など+αの手技が多く見られました。病状・治療の説明には納得している患者が多いようですが、質疑応答は十分ではなく、さらに一歩踏み込んだ説明、ケアーも希望している様子が伺えます。医師はそのような患者から質問を引き出すコミュニケーションを心がけ、患者が自分の治療方針を理解、納得して自己決定できる医療を提供すべきでしょう。そのためには標準治療を軸として患者、医療者が互いに努力し良いコミュニケーションを持ち、一人一人に最適な医療を求める必要があります。しかし医師個人では限界があるので、チームを組んでケアーを含めた乳がん治療を進めたい」とコメントされています。また土井先生から患者へのアドバイスとして「『セカンドオピニオンを受ける』、『標準治療を入手する』、『医師と上手に付き合う』などの具体的ノウハウを得るには、患者会の門をたたいてみることも有用かもしれません。 医師のなかには『自分からよく話す人』、『聞かれれば答える人』、『口下手な人』もいます。人間同士のコミュニケーションですから受身でなく互いに努力してください。自分の病気から逃げず『医療者と二人三脚で最善の,そして自分が納得できる治療を選択』して受けてください。わからないことは積極的に聞く『質問上手』・『症状訴え上手』・『聞き上手』の三拍子の揃った患者が“患者の達人”です。」という助言をされています。
ブリストル・マイヤーズスクイブ社(BMS社)は、「より長く豊かな人生の実現」をミッションとする、医薬品と関連するヘルスケア製品を扱う世界企業です。日本では、ブリストル・マイヤーズ株式会社が製造販売しております。
<参考>
インターネット調査について
本調査は、ブリストル・マイヤーズ株式会社が調査会社(Ipsos日本統計調査株式会社)に依頼し、2007年5月29日~6月10日の期間に、調査会社の持つ患者データベースパネルの20歳以上の女性のうち、乳がん患者を対象として実施した。
参考資料
乳がん患者の実態調査の結果 <概要>
患者会への所属状況:
- 患者会への所属は、政令指定都市の患者では18.0%と圧倒的に多い(図1)。
図1 患者会所属状況(居住地規模別 N=149)
治療を受けた経験のある医療施設(居住地域規模別)
- 「大学病院」利用者の割合は政令指定都市居住者では44%であるのに対し、20万人以上の都市居住者では27.7%、20万人未満の市区町村居住者では15.4%と居住地の規模が小さくなるにつれて低下している(図2)。
- 「総合病院」利用者では、政令指定都市居住者の60%、20万人以上の都市居住者の70.2%、20万人未満の市区町村居住者の80.8%と上記と逆の傾向を示している(図2)。
図2 治療を受けた医療施設(N=149 複数回答)
これまでに受けた手術経験
- 規模の大きな都市ほど「乳房再建術」の割合が高くなっている。これに対し、20万人未満の市区町村居住者では、「乳房温存治療」の割合が低下し「乳房切除術」の割合が40.4%と高くなっているが、これは放射線治療設備の有無を反映した結果だと考えられる(図3)。
図3 これまでに受けた手術経験(N=149 複数回答)
告知時の治療の説明時間
- 多くの患者は30分くらい説明を受けたいと回答しているが実際には「10~15分=31.5%」と「16~30分=34.2%」が中心で「~9分=18.1%」も多く、「31~60分」までを希望する患者がいる状況と比較すると少なからずギャップがあるようだ(図4)。
図4 告知時の説明時間と患者の希望する説明時間(N=149)
告知時の治療の説明時間と内容
- 「一般の乳がんの治療法」「治療、手術方法などの選択肢」「自分の乳がんの状態」は時間に関係なく高い割合で説明されているが、それ以外の内容は説明時間の増加に応じて説明される割合も増加する傾向が見られる(図5)。
図5 告知時の説明内容(N=149 複数回答)
セカンドオピニオン外来の認知度
- 患者会に所属している患者(13人)でのセカンドオピニオン外来の認知度は100%であった。一方、所属していない患者(136人)の認知度は86.0%であった(図6、7)。
セカンドオピニオン外来の受診経験
- 患者会に所属している患者(13人)でのセカンドオピニオン外来の受診割合は38.5%であったのに対し、所属していない患者(136人)の受診割合は17.9%であった(図8、9)。
医療者向け乳癌診療ガイドラインの認知度
- 患者会所属患者(13人)では84.6%の認知度であるのに対し、所属していない患者 (136人)では40.4%と低くなっており、患者会ではさまざまな情報を知る機会が増えるようだ(図10、11)。
患者向け乳がん診療ガイドラインの解説の認知度
- 医療者向けと同様に患者向けのガイドラインの認知度も患者会所属患者(13人)では76.9%であるのに対し、所属していない患者(136人)では27.2%と低くなっている傾向がみられる(図12、13)。
乳癌診療ガイドラインに関して先生と話した経験
- 乳癌診療ガイドラインの内容について先生と話した経験のある患者は2割弱(図14)。その患者(28人)の話した内容について、本調査では「検診と診断の進め方」「放射線治療」「ホルモン剤」が多いという傾向がみられた(図15)。
医師の説明に対する満足度
- 「非常に満足」が22.8%、「まあ満足」が55.7%で、78.5%が満足しており、逆に、満足していないは「あまり満足できなかった」と「全く満足できなかった」の合計で8.7%と1割に満たない(図16)。
- 「不安な事は十分質問できましたか」という質問になると「非常に満足」と「まあ満足」で64.4%と満足している患者の割合が減り、「あまり満足できなかった」「どちらともいえない」と回答した患者の割合が大幅に増加している(図17)。
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