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プレスリリース

抗悪性腫瘍剤「スプリセル®」の製造販売承認を取得

2009/01/21

ブリストル・マイヤーズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO:マーク・W・ライト、以下、ブリストル・マイヤーズ)は本日、抗悪性腫瘍剤「スプリセル®錠20mg、同50mg」(一般名:ダサチニブ水和物、以下、スプリセル®)の製造販売承認を取得しました。本剤は「イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病」及び「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」を適応症としております。

スプリセル® は、ブリストル・マイヤーズが創製及び開発した新規構造のチロシンキナーゼ阻害剤であり、5種類の重要な発癌性チロシンキナーゼ/キナーゼファミリー(BCR-ABL、SRCファミリーキナーゼ、c-KIT、EPH(エフリン)A2受容体及びPDGF(血小板由来増殖因子)β受容体)に対するATPの結合を競合的に阻害することにより、抗腫瘍効果を発揮します。

現在承認されているチロシンキナーゼ阻害剤イマチニブに対し、治療抵抗性を示すか、または副作用により不耐容となった慢性期、移行期及び急性期の慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の患者さんを対象として海外と日本で臨床試験を行いました。海外臨床試験における主要評価では、慢性期CMLにおける細胞遺伝学的Major寛解率59%、移行期、急性期CML及びPh+ ALLにおける血液学的Major寛解率は33~64%であり、いずれの疾患と病期においてもすぐれた細胞遺伝学的及び血液学的効果を示しました。国内臨床試験においても同様に有効性が確認されております。さらに、イマチニブに対する治療抵抗性の重要な原因となるBCR-ABL変異に対し有効であることが示されています。

一方、本剤の副作用としては、骨髄抑制(血小板減少や好中球減少等)と、体液貯留、特に胸水等の発現がみられます。これらを含め、重大な安全性の問題を未然に防ぐために、副作用情報については今後も慎重に情報収集、提供活動を行ってまいります。

国内での治験症例が少なく、製造販売後には安全性に関する情報収集が必須であることから、承認条件として製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じることとしています。

ブリストル・マイヤーズは、患者さんの安全性の確保を第一に考え、スプリセル®の適正使用を推進していきます。発売後一定期間は、施設や医師および患者さんに対して要件を設けて、本剤の使用成績調査(全例調査)を実施します。また医療機関には、この調査に協力いただくことを条件に、本剤をご使用いただくことになります。その際、対象の医療機関と医師の方々に、本剤の適正使用と副作用に関してご説明させていただくと共に、医療機関と医師の方々から、事前に患者さん又はそのご家族の方に本剤に関する適切なご説明を十分に行っていただくことをお願いし、同意を得た上でご使用いただくこととさせていただきます。この使用成績調査を通じて、適正使用のために適切な情報提供活動を行ってまいります。

スプリセル®は2006年6月に米国で、同年11月にヨーロッパで承認を取得し、現在世界50カ国以上で使用されています。日本においては2007年8月に承認申請を行い、今回の承認を取得することとなりました。

 

慢性骨髄性白血病及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病について*1


慢性骨髄性白血病(CML)は、国内で8,200人の患者数が推定される造血器腫瘍で*2、フィラデルフィア染色体とよばれる融合染色体に由来するBCR-ABLチロシンキナーゼが病因とされています。また、腫瘍細胞で活性化されるSRCチロシンキナーゼが、BCR-ABLとともに病態を悪化させることが知られています。この疾患は、比較的安定した慢性期から、骨髄中及び末梢血中に幼若細胞(芽球)の増加をみる移行期を経て急性期へと悪化し、疾患の進行とともに予後が悪化します。BCR-ABLは一部の急性リンパ性白血病(ALL)においても認められており、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)と呼ばれています。国内の患者数は350人と推定されており*2、いずれも難治性の白血病とされています*2。

  • *1大野竜三 編「よくわかる白血病のすべて」(2005年、永井書店)
  • *26地域がん登録データより算出した年齢調整罹患率に基づく

 

スプリセル®の概要


製品名 「スプリセル®錠20mg」及び「スプリセル®錠50mg」
一般名 ダサチニブ水和物
製造販売承認日 2009年1月21日
製造販売 ブリストル・マイヤーズ株式会社
効能又は効果 1,イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
2,再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
用法及び用量 1,イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
(1) 慢性期
通常、成人にはダサチニブとして1日1回100 mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(2) 移行期又は急性期
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。
2,再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。

 

ブリストル・マイヤーズ株式会社について


ブリストル・マイヤーズ株式会社は、「より長く豊かな人生の実現」をミッションとする世界的なバイオ医薬品企業です。詳細については、www.bms.co.jpをご覧ください。

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