プレスリリース
オプジーボ(一般名:ニボルマブ)の第I/II相臨床試験で、肝細胞がん患者における抗腫瘍活性を、PD-1免疫チェックポイント阻害薬として初めて示す
2015/06/02
小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ株式会社
※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2015年5月29日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。
- 中間解析結果で、オプジーボの良好な安全性プロファイルと治療歴を有する患者における持続的奏効が示されました。
- 中間解析で観察された12カ月間の全生存率は62%でした。
- 世界的に、肝細胞がんはがんによる死因の第2位となっており、依然として重大なアンメットメディカルニーズとなっています。
- 標準治療による治療後に再発または病勢進行した肝細胞がん患者における生存期間中央値は、最高の支持療法を受けて、最大7~8カ月です。
(ニュージャージー州プリンストン、2015 年5月29日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は、本日、治療歴を有する肝細胞がん(HCC)患者または進行期肝がん患者を対象としてオプジーボ(一般名:ニボルマブ)の安全性と抗腫瘍活性を評価する用量範囲探索第I/II相臨床試験であるCA209-040試験の中間解析結果を発表しました。評価可能な患者47名における12カ月時点の推定生存率は62%であることが初期の所見として示されました。また、中間解析の結果から、オプジーボの安全性プロファイルは、他のがん腫においてこれまで報告されているプロファイルとほぼ一致していることが示されました。これらのデータは、本日5月29日に、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の第51回年次総会の午後1時~2時(米国中央部夏時間)に開催される記者会見で取り上げられ、5月30日(土)午前8時27分~8時39分(米国中央部夏時間)に発表される予定です(最新情報抄録番号 #101)。
この試験の筆頭著者であり、南カリフォルニア大学ノリス総合がんセンターの臨床医学准教授兼第I相プログラム責任者のAnthony B. El-Khoueiry医学博士は次のように述べています。「肝細胞がんは悪性度が高く、致死率の高いがんで、世界中の成人の肝がんの90%を占めています。進行期の患者の治療選択肢は限られており、現在の標準治療で奏効が得られない、もしくは病勢進行した患者さんの治療にはこれまで全く進歩がありませんでした。今回、ニボルマブの投与を受けた患者さんの5人に1人で持続的な部分奏効または完全奏効が認められ、他の多くの患者さんで病勢安定が得られていることは、心強い予備データであり、こうした患者を対象に現在進められているニボルマブの評価を裏付けるものです。
世界で毎年70万人を超える人々がHCCと診断されており、その多くはB型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)への感染が原因です。そのため、HBVとHCVは全世界で肝がんの最も一般的な危険因子となっています。現在の標準治療を受けている進行期肝細胞がん患者の全生存期間中央値は1年未満です。再発または病勢進行した患者においては、生存期間中央値は、最高の支持療法を受けて約7~8カ月です。
腫瘍領域担当シニア・バイスプレジデント兼開発責任者のマイケル・ジョルダーノは次のように述べています。「ブリストル・マイヤーズ スクイブは、肝炎およびがん免疫療法における経験をもとに、今後もリーダーとして、オプジーボの肝細胞がんに関する臨床試験をさらに進めていきます。オプジーボは数多くのがん腫で生存率の改善を示しています。今回、この試験結果により、進行期の肝がんにおいてもオプジーボが有効である可能性が示されたことを私たちはとても喜ばしく思い、また、今後の臨床試験で今回の結果が確認されることを期待しています」。
CA209-040試験について
CA209-040試験は、HCC患者を対象にオプジーボの安全性および抗腫瘍活性を評価する用量範囲探索第I/II相臨床試験で、対象者の多くは前治療歴がありました。この試験には47名のHCC患者が登録され、HCVまたはHBV感染の有無に基づいて3つの投与群のいずれかに組み入れられました。試験に組み入れられた患者は、0.1~10mg/kgの用量範囲で2週間に1回、オプジーボの静脈内投与を最長2年間受けました。その主要評価目的は安全性、忍容性、用量制限毒性および最大耐量でした。抗腫瘍活性は副次的評価目的(RECIST 1.1規準を使用)で、全生存期間は探索的評価目的でした。
中間解析結果では、試験に登録した62%の患者が12カ月後に生存していました。42名の評価可能な患者のうち、8名(19%)の患者が完全奏効または部分奏効を達成し、オプジーボの投与により腫瘍がベースライン測定時から30%~100%縮小しました。奏効が得られた患者では、奏効期間は1.4カ月~12.5カ月を超えていました。17名の患者が試験投与を継続しており、30名の患者が、それぞれ病勢進行(26名)、完全奏効(2名)、または有害事象(2名)のため投与が中止されました。
CA209-040試験は、HCVとHBV感染を含めたHCC患者を対象にオプジーボ単剤療法の安全性プロファイルの特性を評価することを目的とした最初の試験です。この試験では、全てのオプジーボ用量にわたり薬剤関連有害事象の頻度および重篤度は同程度であり、オプジーボの安全性および忍容性が十分に明らかになりました。副作用の多くは軽度から中等度で、最も一般的な副作用は肝酵素異常(AST異常19%、ALT異常15%)、発疹(17%)、アミラーゼ上昇(15%)およびリパーゼ上昇(17%)でした。肝酵素異常、アミラーゼ上昇およびリパーゼ上昇では臨床的に重大な随伴症状は認められませんでした。グレード3~4の薬剤関連有害事象の発現は低い頻度でした(19%)。治療に関連した死亡の報告はありませんでした。
オプジーボについて
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、世界中の8,000人以上の患者さんを対象とし、ニボルマブを複数のがん腫において単剤療法または他の治療薬との併用療法として検討する50件以上の臨床試験から構成される幅広いグローバル開発プログラムを展開しています。
小野薬品工業は、2014年7月4日に根治切除不能な悪性黒色腫患者の治療薬として、日本でニボルマブの製造販売承認を取得したことを発表しました。これにより、ニボルマブは世界で初めて承認を取得した PD-1免疫チェックポイント阻害剤となりました。米国では、ニボルマブはYervoy(一般名:イピリムマブ)での治療後、かつ、BRAF V600変異陽性の場合は、BRAF阻害剤での治療後に病勢進行が認められた切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)からニボルマブとしての最初の承認を受けました。最近では2015年3月4日に、プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行・再発が認められた肺扁平上皮がん患者の治療を適応として、ニボルマブ はFDAから追加適応の承認を受けました。
重要な安全性情報
※本項目の内容は米国での承認に際しての情報であり、日本国内には適用されません。
詳細は、米国におけるオプジーボの添付文書をご覧ください。
免疫介在性肺臓炎
- オプジーボの投与に関連し、致死的なケースを含む重度の肺臓炎または間質性肺疾患が報告されました。固形がんを有する臨床試験被験者691例において、致死的な免疫介在性肺臓炎は、オプジーボ群の0.7%(691例中5例)で報告されました。試験1および試験3では、報告されませんでした。試験1では、間質性肺疾患を含む肺臓炎がオプジーボ群の3.4%(268 例中9 例)で報告され、化学療法群では、102 例中1例も報告されませんでした。免疫介在性肺臓炎は、オプジーボ群の2.2%(268例中6例)で報告され、うち1例がグレード3、5例がグレード2でした。試験3では、免疫介在性肺臓炎がオプジーボ群の6%(117例中7例)で報告され、うち5例がグレード3、2例がグレード2でした。肺臓炎の徴候や症状がないか、患者さんをモニターしてください。グレード2以上の肺臓炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード3または4の肺臓炎については、オプジーボの投与を完全に中止し、グレード2については、肺臓炎が消失するまでオプジーボの投与を中断してください。
免疫介在性大腸炎
- 試験1では、オプジーボ群の21%(268例中57例)、化学療法群の18%(102例中18例)で大腸炎/下痢が報告されました。免疫介在性大腸炎は、オプジーボ群の2.2%(268例中6例)で報告され、うち5例がグレード3、1例がグレード2でした。試験3では、オプジーボ群の21%(117例中24例)で下痢が報告されました。オプジーボ群の0.9%(117例中1例)でグレード3の免疫介在性大腸炎が報告されました。免疫介在性大腸炎について、患者さんをモニターしてください。グレード2(5日間以上持続した場合)、3、または4の大腸炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2または3については、オプジーボの投与を中断します。グレード4または再発性の大腸炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性肝炎
- 試験1における肝機能検査値異常は、オプジーボ群の方が化学療法群よりも多く見られ、AST上昇(オプジーボ群28%に対して化学療法群12%)、アルカリホスファターゼ(ALP)上昇(オプジーボ群22%に対して化学療法群13%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇(オプジーボ群16%に対して化学療法群5%)、総ビリルビン上昇(オプジーボ群9%に対して化学療法群0)となりました。免疫介在性肝炎は、オプジーボ群の1.1%(268例中3例)で報告され、うち2例がグレード3、1例がグレード2でした。試験3における肝機能検査値異常は、AST上昇(16%)、アルカリホスファターゼ上昇(14%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇(12%)、総ビリルビン上昇(2.7%)となりました。投与前、および投与期間中は定期的に、肝機能検査値異常がないかどうかモニターしてください。グレード2以上のトランスアミナーゼ上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を中断し、グレード3または4の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性腎炎および腎機能障害
- 試験1におけるクレアチニン値上昇は、オプジーボ群の方が化学療法群よりも多く見られました(オプジーボ群13%に対して化学療法群9%)。グレード2または3の免疫介在性腎炎または腎機能障害は、被験者の0.7%(268例中2例)で報告されました。試験3におけるクレアチニン値上昇は、22%でした。免疫介在性腎機能障害(グレード2)は、被験者の0.9%(117例中1例)で報告されました。投与前、および投与期間中は定期的に、血清クレアチニン上昇が見られないかどうかモニターしてください。グレード2または3の血清クレアチニン上昇については、オプジーボの投与を中断し、副腎皮質ホルモン剤を投与します。悪化した場合、または改善が見られない場合は、オプジーボの投与を完全に中止してください。グレード4の血清クレアチニン上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与し、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症
- 試験1では、グレード1 または2の甲状腺機能低下症は、オプジーボ群の8%(268例中21例)で報告され、化学療法群では、102例中1例も報告されませんでした。グレード1 または2の甲状腺機能亢進症は、オプジーボ群の3%(268例中8例)、化学療法群の1%(102例中1例)で報告されました。
試験3では、甲状腺機能低下症は、オプジーボ群の4.3%(117例中5例)で報告されました。甲状腺機能亢進症は、オプジーボ群の1.7%(117例中2例)で報告され、うち1例はグレード2でした。投与前、および投与期間中は定期的に甲状腺機能をモニターしてください。甲状腺機能低下症については、ホルモン補充療法を行います。甲状腺機能亢進症については、コントロールのために内科的治療を開始してください。
その他の免疫介在性副作用
- 試験1および試験3(385例)において、臨床的に重大な免疫介在性副作用(副腎機能障害、ぶどう膜炎、膵臓炎、顔面および外転神経不全麻痺、脱髄、自己免疫性神経障害、運動機能障害、脈管炎)がオプジーボ群の2%未満で報告されました。オプジーボが3mg/kg および10mg/kg 投与された複数の臨床試験において、臨床的に重大な免疫介在性副作用として下垂体炎、糖尿病性ケトアシドーシス、下垂体機能低下症、ギランバレー症候群、筋無力症候群が新たに認められました。副作用の重篤度に基づき、オプジーボの投与を中断し、高用量副腎皮質ホルモン剤を投与し、必要に応じてホルモン補充療法を開始してください。
胚・胎児毒性
- 作用機序に基づき、オプジーボは、妊婦に投与すると胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠中の女性には、胎児へのリスクを説明してください。妊娠の可能性がある女性には、オプジーボの投与を受けている期間、および最後にオプジーボを投与してから少なくとも5カ月間は、効果的な避妊法を用いるよう助言してください。
授乳
- オプジーボの母乳中への移行については確認されていません。抗体を含む多くの薬剤は母乳に移行します。オプジーボは、授乳中の乳児に重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、治療中は授乳を中止するよう助言してください。
重篤な副作用
- 試験1では、 重篤な副作用は、オプジーボ群の41%で報告されました。グレード3または4の副作用は、オプジーボ群の42%で報告されました。最も頻繁に報告されたグレード3または4の副作用は、オプジーボ群の2%以上5%未満で報告された腹痛、低ナトリウム血症、AST上昇、リパーゼ上昇でした。
試験3では、重篤な副作用は、オプジーボ群の59%で報告されました。患者群の2%以上で報告された副作用の内、最も多く報告された重篤な副作用は呼吸困難、肺炎、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺臓炎、高カルシウム血症、胸水、喀血、そして疼痛でした。
一般的な副作用
- オプジーボ群で最も一般的に(20%以上)報告された副作用は、試験1では、発疹(21%)でした。また、試験3では、疲労(50%)、呼吸困難(38%)、筋骨格痛(36%)、食欲減退(35%)、咳(32%)、吐き気(29%)、そして便秘(24%)でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん免疫領域への取り組みについて
過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、殺細胞薬または分子標的治療による治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、生存期間の改善や生活の質の向上はなかなか得られないものでした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を主とした薬剤によるがん免疫療法という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな経路を標的としたがん免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの生存期間の改善やがんとともに生きる患者さんの生活の質の向上を目標に、がん免疫学の発展に尽力しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述
本プレスリリースは、医薬品の研究、開発、および販売について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、オプジーボが肝細胞がんもしくは進行期の肝がんで追加適応の承認を受けるという保証はできません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2014年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。