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プレスリリース

再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するヒト化抗ヒトSLAMF7モノクローナル抗体「エムプリシティ®点滴静注用300mg・400mg」の製造販売承認取得のお知らせ

2016/09/28

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ダビデ・ピラス)は、本日、ヒト化抗ヒトSignaling Lymphocyte Activation Molecule Family member 7(SLAMF7)モノクローナル抗体「エムプリシティ®点滴静注用300mg・400mg」(一般名:エロツズマブ(遺伝子組換え)、以下:エムプリシティ)について、再発又は難治性の多発性骨髄腫の適応で、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、厚生労働省より製造販売承認を取得したことをお知らせ致します。

多発性骨髄腫は、血液がんの一つで、体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する抗体を産生する形質細胞という血液細胞ががん化したものです。病気が進行するまで症状が現れることが少なく、早期診断が難しい病気としても知られています。多発性骨髄腫は治療が困難な疾患で、更に治療法の選択肢が限られていることから、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患の一つです。

エムプリシティは、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした、日本人症例60例を含む国際共同ランダム化非盲検第Ⅲ相臨床試験であるELOQUENT-2(CA204-004)試験において、標準療法であるレナリドミド+デキサメタゾン(Ld群)に対し、本剤をレナリドミド+デキサメタゾンに加えることにより(E-Ld群)、無増悪生存期間(PFS)では、ハザード比=0.70(97.61%信頼区間:0.55, 0.88、p=0.0004)と有意な延長を示し、奏効率(ORR、部分奏効以上の割合)においてもE-Ld群78.5%に対し、Ld群65.5%と有意(共通オッズ比1.94、99.5%信頼区間:1.17, 3.23、p=0.0002)に改善しました。また、E-Ld群の安全性プロファイルはLd群とほぼ同等でした。

エムプリシティは、骨髄腫細胞(抗体産生能を持つ形質細胞ががん化した細胞)やナチュラルキラー(Natural Killer: NK)細胞(体内に侵入あるいは発生した異物を攻撃・除去する免疫細胞)の細胞表面に発現しているSLAMF7というタンパクと特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体(IgG1クラス)です。エムプリシティが骨髄腫細胞表面のSLAMF7に結合すると、NK細胞が認識するためのタグとなり、エムプリシティのFc領域とNK細胞上のFc受容体が結合し、NK細胞による抗体依存性細胞傷害(ADCC)が誘導され骨髄腫細胞が死滅します。また in vitroにおいては、エムプリシティがNK細胞表面のSLAMF7に結合することでNK細胞が直接活性化され、骨髄腫細胞を攻撃し骨髄腫細胞の細胞死を誘導します。このようにエムプリシティは、NK細胞と骨髄腫細胞に対する二つの作用で抗骨髄腫効果を発揮すると考えられています。エムプリシティはがん免疫療法薬であり、免疫チェックポイント阻害薬の開発など、がん免疫療法で世界をリードするブリストル・マイヤーズ スクイブの広範ながん免疫療法薬ポートフォリオの一角を担っています。

エムプリシティは、米国において「Empliciti」という製品名で、2015年11月30日、米国食品医薬品局より、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法として、1から3種類の前治療歴を有する多発性骨髄腫患者に対する治療薬として承認されました。また、欧州においては、2016年5月11日には、欧州委員会より、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、1種類以上の前治療歴を有する多発性骨髄腫の成人患者の治療薬として承認されました。

国内では、2015年11月19日に再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定される効能又は効果として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

当社は、エムプリシティが適正かつ有効に使用されるために、より一層のデータ蓄積が重要であると考えています。本剤の承認条件に従い、製造販売承認後の全症例を対象に使用成績調査(全例調査)を実施することにより、本剤の適正使用に必要な措置を講じていきます。

 

エムプリシティの製品概要


製品名 エムプリシティ®点滴静注用300mg
エムプリシティ®点滴静注用400mg
一般名 エロツズマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果 再発又は難治性の多発性骨髄腫
用法及び用量 レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人にはエロツズマブ(遺伝子組換え)として1回10 mg/kgを点滴静注する。28日間を1サイクルとし、最初の2サイクルは1週間間隔で4回(1、8、15、22日目)、3サイクル以降は2週間間隔で2回(1、15日目)点滴静注する。
製造販売承認取得日 2016年9月28日
製造販売元 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
承認条件

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

2. 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ(本社:ニューヨーク)の日本法人です。ブリストル・マイヤーズ スクイブは157年の歴史をもち、全世界では約24,000人の従業員を擁するグローバルな製薬企業です。革新的な医薬品を開発するバイオテクノロジー企業と、大規模な事業基盤を有する伝統ある製薬企業という2つの特徴を兼ね備えた「スペシャリティ・バイオファーマ企業」として、がん、ウイルス性疾患、心血管疾患、免疫系疾患など専門性の高い疾患領域で新薬の研究開発に注力しています。弊社の詳細については、http://www.bms.co.jpにてご覧いただけます。