プレスリリース
根治切除後のステージⅢの悪性黒色腫患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験でヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)が全生存期間を改善
2016/10/11
※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2016年10月8日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。
- 重要な試験であるCA184-029(EORTC 18071)試験の全生存期間データが初めて発表され、ヤーボイはプラセボと比較して死亡リスクを28%低減しました。
- ヤーボイはプラセボと比較して遠隔転移のリスクを24%低減しました。
- これまでより長期間の追跡調査において、無再発生存ベネフィットと安全性プロファイルは、これまでに報告された主要解析結果と一貫していました。
(ニュージャージー州プリンストン、2016年10月8日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、再発リスクが高い根治切除後のステージⅢ悪性黒色腫患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験であるCA184-029(EORTC 18071)試験において、ヤーボイ10mg/kgが、プラセボと比較して生存期間に関する全ての評価項目で優れた有効性を示したことを発表しました。本試験において、5年生存率は、ヤーボイ群で65.4%、プラセボ群で54.4%であり、ヤーボイはプラセボと比較して、副次的評価項目である全生存期間(OS)を有意に(ハザード比=0.72 [95.1%信頼区間:0.58 - 0.88; p=0.001])改善しました。副次的評価項目である無遠隔転移生存期間(DMFS)においても、5年DMFS率は、ヤーボイ群で48.3%、プラセボ群で38.9%であり、プラセボ群と比較して有意な改善(ハザード比=0.76 [95.8%信頼区間:0.64 - 0.92; p=0.002])がみられました。今回の最新の5年間の解析結果では、これまでに報告されたヤーボイの無再発生存期間(主要評価項目)の延長効果が引き続き認められました(ハザード比=0.76 [95%信頼区間:0.64 - 0.89; p<0.001)。安全性プロファイルは、初回解析結果と一貫しており、新たな死亡および安全性シグナルは認められませんでした。ヤーボイ群で最も一般的に報告されたグレード3~4の免疫介在性有害事象は、消化器系(16.1%)、肝臓(10.8%)、内分泌系(7.9%)に関連するものでした。
これらのデータは、本日10月8日、2016年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)総会のプレスプログラムで取り上げられ、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に同時に掲載されました。また、本日開催されるプレジデンシャル・シンポジウムにおいて、午後5時00分~5時15分(中央ヨーロッパ夏時間)に発表予定です(抄録番号#LBA2_PR)。
フランス・ビルジュイフのギュスターヴ・ルシーがん研究所所長のAlexander M.M. Eggermont(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「ステージⅢの悪性黒色腫の患者さんのほとんどが、外科的介入にもかかわらず再発と転移を経験しており、術後補助療法として有効な全身療法がアンメット・ニーズとなっています。-029試験でヤーボイが示した優れた全生存期間、無遠隔転移生存期間、無再発生存期間は、悪性黒色腫の術後補助療法に関して、医師たちに新たな知見をもたらすものです。」
ステージⅢの悪性黒色腫では、遠隔リンパ節や身体の他の臓器への転移は認められず、原発腫瘍および所属リンパ節の外科的切除を行います。ステージⅢの悪性黒色腫は細分化されており、疾患特異的生存率は、ステージⅢaで78%、Ⅲbで59%、Ⅲcで40%です。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のメラノーマおよび泌尿生殖器がん領域開発責任者であるVicki Goodman(M.D.)は、次のように述べています。「-029試験の結果は、科学界にとって重要なデータであり、悪性黒色腫の全ステージで生存率向上を目指す当社の継続的な努力を示すものです。ヤーボイは、リスクの高い根治切除後のステージⅢの悪性黒色腫患者さんにおいて、統計的に有意な生存ベネフィットを示した初めての免疫チェックポイント阻害薬です。当社は引き続き、がん免疫療法薬および様々な用法の選択肢について評価を進め、悪性黒色腫のあらゆる治療段階に関してさらなる研究に尽力していきます。」
CA184-029(EORTC 18071)試験について
CA184-029(EORTC 18071)試験は、欧州がん治療研究機構(EORTC)によって2008年に開始され、リスクの高いステージⅢの悪性黒色腫の術後補助療法としてヤーボイ10mg/kgの有効性および安全性を評価した、第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験です。独自に実施されたこの試験には、EORTCの欧州全土におけるネットワークおよび専門研究基盤から、19カ国99のセンターが参加しました。本試験には、ステージⅢの皮膚悪性黒色腫の根治切除を受けた18歳以上の患者を組み入れました(1mm以下のリンパ節転移またはin-transit転移を除く)。本試験において、患者はヤーボイ10mg/kg投与群(475例)とプラセボ群(476例)に無作為に割り付けられ、ヤーボイ10mg/kgまたはプラセボを3週間ごとに4回静脈内投与した後、24週目から156週目(3年間)まで、あるいは再発または忍容できない毒性が認められるまで、12週間ごとに投与しました。ヤーボイについては、リンパ節1mmを超えるステージⅢa(20%)、ステージⅢb(44%)、in-transit転移のないステージⅢc(36%)などの幅広い患者特性にわたり、試験が進められました。患者の42%が潰瘍化した原発巣を有し、58%が肉眼で確認できるリンパ節転移を伴っていました。
主要評価項目は、独立評価委員会によって評価された、無作為化の時点から最初の再発または死亡の時点までと定義された無再発生存期間(RFS)でした。この解析に基づき、2015年10月、ヤーボイ10mg/kgは悪性黒色腫の術後補助療法として米国で承認されました。副次的評価項目は、全生存期間(OS)、無遠隔転移生存期間(DMFS)、安全性、および健康に関連する生活の質でした。
本試験において、ヤーボイはプラセボと比較して、主要評価項目であるRFSを全患者群において有意に改善しました。最新の5年追跡調査の結果では、引き続きヤーボイがプラセボと比較してRFSを有意に延長したことが示され、RFSの中央値は、ヤーボイ群で27.6カ月(95%信頼区間:19.3 - 37.2)、プラセボ群では17.1カ月(95%信頼区間:13.6 - 21.6)(ハザード比=0.76; 95%信頼区間:0.64 - 0.89; p<0.001)でした。
ヤーボイは、本試験の副次的評価項目であるOSについても有意な改善を示し、プラセボと比較して死亡リスクを28%低減し(ハザード比=0.72 [95%信頼区間:0.58 - 0.88; p=0.001])、推定5年生存率は、ヤーボイ群で65.4%(95%信頼区間:60.8 - 69.6)、プラセボ群では54.4%(95%信頼区間:49.7 - 58.9)でした。さらに、ヤーボイはプラセボと比較して遠隔転移リスクを24%低減し(ハザード比=0.76 [95.8%信頼区間:0.64 - 0.92; p=0.002])、推定5年無遠隔転移生存率は、ヤーボイ群で48.3%、プラセボ群で38.9%でした。無遠隔転移生存率の中央値は、ヤーボイ群で48.3カ月、プラセボ群で27.5カ月でした。
最新の解析結果に基づく、ヤーボイの安全性プロファイルは、これまでに報告されたCA184-029(EORTC 18071)試験の結果と一貫していました。初回の結果では、薬剤に関連する有害事象(AE)による死亡が5例報告されました。その後、新たに報告された死亡例はありませんでした。ヤーボイの投与を受けた患者471例のうち、465例(98.7%)でグレードを問わないAEが発現し、255例(54.1%)でグレード3~4のAEが発現しました。プラセボ群では、患者474例のうち432例(91.1%)でグレードを問わないAEが発現し、124例(26.2%)でグレード3~4のAEが発現しました。免疫介在性AEは、プラセボ群よりヤーボイ群で多く認められました。ヤーボイ群で最も一般的に報告されたグレード3~4の免疫介在性AEは、消化器系(16.1%)、肝臓(10.8%)、内分泌系(7.9%)に関連するものでした。試験中のグレード2~5の免疫介在性AE発現までの期間の中央値は、4.0週間(皮膚に関連する免疫介在性AE)~13.1週間(神経系の免疫介在性AE)でした。内分泌系のグレード2~4の免疫介在性AEは、51.5%の患者で回復し、回復までの期間の中央値は、54.3週間でした。その他のグレード2~4の免疫介在性AEの大多数(82~97%)が回復し、回復までの期間の中央値は4.0~8.0週間でした。
進行悪性黒色腫(メラノーマ)について
悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚にある色素産生細胞(メラノサイト)の無秩序な増殖を特徴とする皮膚がんの一形態です。転移性悪性黒色腫は、この疾患の中でも最も致死性が高く、皮膚表面だけでなく、リンパ節、肺、脳、その他の部位など、他の臓器にもがんが転移した状態です。悪性黒色腫は、限局、厚さ、潰瘍の有無、リンパ節転移の有無、その他の部位への転移状態に基づき、5つのステージ(0~IV)に分類されます。ステージⅢの悪性黒色腫は、所属リンパ節への転移が認められますが、遠隔リンパ節および体の他の部位への転移が認められない段階で、原発腫瘍および所属リンパ節の外科的切除を行います。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:がん免疫の科学とイノベーションの最前線
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、がん治療の未来に関し、治療困難ながん腫における生存期間を延長し、がん患者さんの生活の質を向上する革新的ながん免疫療法薬の研究開発に焦点を置いたビジョンを持っています。
当社は、がん免疫の科学をリードしており、転移性悪性黒色腫を適応として初めて承認された2つのがん免疫療法薬の併用療法を含め、研究中および承認済みのがん免疫療法薬からなる包括的なポートフォリオを有しています。また、臨床開発プログラムにおいては、20以上のがん腫にわたる幅広い患者集団を対象に、異なる免疫系経路を標的とする11種類の分子について臨床研究を進めています。当社は、深い専門知識と革新的な臨床試験デザインによって、複数のがん腫にわたり併用療法の科学を進歩させ、がん免疫療法薬の併用療法の次なる波を一日も早く実現すべく取り組んでいます。また、免疫バイオマーカーの役割に対する理解を深め、がん免疫療法が奏効する患者さんを識別するための研究においても、最前線に立ち続けています。
がん免疫療法による治療をより多くの患者さんに提供するためには、社内のイノベーションだけでなく、この領域を率いる専門家との協働が不可欠です。当社は、標準治療を上回る新たな治療選択肢を臨床現場に提供することを共通の目標として、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。
ヤーボイについて
ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイは、CTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応としてヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。ヤーボイは現在、切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、50か国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。
米国で承認されたヤーボイ®(イピリムマブ)の適応症および重要な安全性情報
※本項目の内容は米国での承認に際しての情報であり、日本国内には適用されません。
ヤーボイ®(イピリムマブ)は、切除不能または転移性悪性黒色腫を適応としています。
ヤーボイ®(イピリムマブ)は、リンパ節全摘出を含む根治切除後に所属リンパ節への1mmを超える病理学的転移を起こした皮膚悪性黒色腫患者の術後補助療法を適応としています。
重要な安全性情報
※本項目の内容は米国での承認に際しての情報であり、日本国内には適用されません。
警告:免疫介在性副作用
ヤーボイを使用すると、重度かつ致死的な免疫介在性副作用が起こる可能性があります。このような免疫介在性反応は、どの器官系でも起こり得ますが、最も一般的に見られる重度の免疫介在性副作用は、腸炎、肝炎、皮膚炎(中毒性表皮壊死融解症など)、神経障害および内分泌障害です。これらの免疫介在性反応の大部分は治療中に発現しましたが、ヤーボイ使用中止後、数週間から数カ月経って発現する例も少数見られました。
重度の免疫介在性反応が認められた場合には、ヤーボイを完全に中止し、高用量の副腎皮質ホルモン剤の全身投与を開始する必要があります。
患者について、ベースライン時と毎回の投与前に、腸炎、皮膚炎、神経障害、および内分泌障害の徴候や症状がないかどうかを評価し、肝機能検査(LFTs)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)レベル、および甲状腺機能検査を含む生化学検査の評価を行う必要があります。
推奨される用量調整
内分泌:全身の内分泌障害についてはヤーボイの投与を中断してください。副作用が完全もしくは部分的に回復(グレード0~1)し、かつ1日当たり7.5mg相当未満のプレドニゾンを投与されている患者はヤーボイの投与を再開してください。症候性反応が6週間以上継続する場合、または副腎皮質ホルモン剤の用量を1日当たりプレドニゾン7.5mg相当にまで減らすことができない場合、ヤーボイの投与を完全に中止してください。
眼部:グレード2~4の副作用が、局所療法を受けても2週間以内にグレード1に改善しない場合、もしくは全身療法が必要な場合、ヤーボイの投与を完全に中止してください。
その他全ての器官:グレード2の副作用についてはヤーボイの投与を中断してください。副作用が完全もしくは部分的に回復(グレード0~1)し、かつ1日当たり7.5mg相当未満のプレドニゾンを投与されている患者はヤーボイの投与を再開してください。グレード2の副作用が6週間以上継続する場合、または副腎皮質ホルモン剤の用量を1日当たりプレドニゾン7.5mg相当にまで減らすことができない場合、そしてグレード3または4の場合は、ヤーボイの投与を完全に中止してください。
免疫介在性腸炎
- ヤーボイの投与により、致死例を含む免疫介在性腸炎が発現する可能性があります。腸炎の徴候や症状(発熱の有無を問わず、下痢、腹痛、粘血便など)、および腸管穿孔の徴候や症状(腹膜刺激症状や腸閉塞など)がないかどうかをモニターする必要があります。症状がみられた患者では、感染性病因を排除し、持続的または重度の症状に対して、内視鏡で評価することを検討してください。中等度の腸炎については、ヤーボイの投与を中断し、止瀉治療を行う必要があります。それでも1週間以上持続する場合は、副腎皮質ホルモン剤(1日あたりプレドニゾン0.5mg/kg相当)の全身投与を開始する必要があります。重度の腸炎が認められた場合は、ヤーボイを完全に中止し、副腎皮質ホルモン剤(1日あたりプレドニゾン1~2mg/kg相当)の全身投与を開始する必要があります。グレード1以下まで改善した時点で、副腎皮質ホルモン剤の漸減を開始し、1カ月以上かけて漸減します。これまでに実施された臨床試験では、副腎皮質ホルモン剤の減量を急速に実施したことで、一部の患者で腸炎の症状の再発または悪化がみられました。副腎皮質ホルモン剤の全身投与を開始して3~5日以内に治療に対する反応がみられない場合もしくは症状改善後に再発した免疫介在性腸炎の対処として、TNF阻害薬もしくは他の免疫抑制剤の追加を検討してください。試験1でヤーボイ3mg/kgの投与を受けた患者において、重度、生命を脅かす、あるいは致死的な免疫介在性腸炎(ベースラインの7回以上の排便を伴う下痢、発熱、腸閉塞、腹膜刺激症状;グレード3~5)が34例(7%)、中等度の腸炎(ベースラインの最大6回の排便を伴う下痢、腹痛、粘血便;グレード2)が28例(5%)認められました。ヤーボイの投与を受けたすべての患者(511例)において、腸管穿孔が5例(1%)、合併症による死亡が4例(0.8%)、重度の腸炎による入院が26例(5%)認められました。中等度、重度、または生命を脅かす免疫介在性腸炎の患者62例中5例(8%)で副腎皮質ホルモン剤への反応が不十分であったため、インフリキシマブが投与されました。試験2でヤーボイ10mg/kgの投与を受けた患者において、グレード3~5の免疫介在性腸炎が76例(16%)、グレード2の腸炎が68例(14%)で認められました。7例(1.5%)が腸管穿孔を発症し、3例(0.6%)が合併症で死亡しました。
免疫介在性肝炎
- ヤーボイの投与により、致死例を含む免疫介在性肝炎が発現する可能性があります。毎回の投与前に肝機能検査値異常(肝臓トランスアミナーゼやビリルビン異常)や肝毒性の徴候や症状がないかどうかモニターしてください。肝毒性が認められた患者は、感染性もしくは病態の増悪要因を排除し、回復するまで肝機能検査の頻度を増やしてください。グレード2の肝毒性を発症した患者についてはヤーボイの投与を中断してください。グレード3~4の肝毒性を発症した患者についてはヤーボイの投与を完全に中止し、副腎皮質ホルモン剤(1日当たりプレドニゾン1~2mg/kg相当)の全身投与を開始する必要があります。肝機能検査値の継続的な改善もしくはベースラインまでの回復がみられた時点で、副腎皮質ホルモン剤の漸減を開始し、1カ月以上かけて漸減します。これまでに実施された臨床試験では、高用量の副腎皮質ホルモン剤の投与にもかかわらず重度の肝炎が持続した患者でミコフェノール酸モフェチルが投与されました。試験1でヤーボイ3mg/kgの投与を受けた患者において、重度、生命を脅かす、あるいは致死的な肝毒性(ASTまたはALTの上昇が基準値上限(ULN)の5倍超、または総ビリルビン上昇がULNの3倍超;グレード3~5)が8例(2%)認められ、そのうち0.2%で致死的な肝不全、0.4%で入院となりました。さらに、13例(2.5%)において中等度の肝機能検査値異常(ASTまたはALTの上昇がULNの2.5倍~5倍、またはビリルビン上昇がULNの1.5倍~3倍;グレード2)の肝毒性が認められました。用量設定試験では、ヤーボイ(3mg/kg)とベムラフェニブ(960mgまたは720mgを1日2回投与)の併用投与群10例中6例で、総ビリルビン上昇の併発の有無を問わず、グレード3のトランスアミナーゼ上昇が認められました。試験2でヤーボイ10mg/kgの投与を受けた患者において、51例(11%)でグレード3~4の免疫介在性肝炎が、22例(5%)でグレード2の免疫介在性肝炎が報告されました。グレード3~4の肝炎を発症した6例の患者で実施された肝生検で中毒性もしくは自己免疫性肝炎が認められました。
免疫介在性皮膚炎
- ヤーボイ投与により、致死例を含む免疫介在性皮膚炎が発現する可能性があります。患者に対して、皮膚炎の症状や徴候(発疹やそう痒症など)がないかどうかをモニターする必要があります。別の病因が特定されていない限り、皮膚炎の症状や徴候は、免疫介在性のものと考えるべきです。軽度から中等度の皮膚炎(限局性の皮疹やそう痒症など)を治療して、1週間以内に改善がみられなかった場合は、副腎皮質ホルモン剤の局所投与または全身投与を開始する必要があります。中等度から重度の徴候や症状が認められた場合は、ヤーボイの投与を一時中断する必要があります。重度、生命を脅かす、あるいは致死的な免疫介在性皮膚炎(グレード3~5)についてはヤーボイの投与を完全に中止、副腎皮質ホルモン剤(1日当たりプレドニゾン1~2mg/kg相当)の全身投与を行ってください。皮膚炎が回復した時点で、副腎皮質ホルモン剤の漸減を開始し、1カ月以上かけて漸減します。試験1でヤーボイ(3mg/kg)の投与を受けた患者において、重度、生命を脅かす、あるいは致死的な免疫介在性皮膚炎(スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症、または真皮全層の潰瘍・壊死・水疱・出血を伴った皮疹など;グレード3~5)が13例(2.5%)認められました。そのうち、中毒性表皮壊死融解症による死亡が1例、また重度の皮膚炎による入院が1例認められました。ヤーボイ治療群において、中等度(グレード2)の皮膚炎が63例(12%)認められました。試験2でヤーボイ10mg/kgの投与を受けた患者において、19例(4%)でグレード3~4の免疫介在性皮膚炎が、99例(21%)でグレード2の皮膚炎が報告されました。
免疫介在性神経障害
- ヤーボイ投与により、致死例を含む免疫介在性神経障害が発現する可能性があります。患者に対して、片側性もしくは両側性の衰弱、感覚変化、感覚異常などの神経障害の症状や徴候がないかどうかをモニターする必要があります。中等度の神経障害(日常生活に影響を及ぼさないもの)の患者はヤーボイの投与を一時中断する必要があります。ギランバレー症候群などの重度の神経障害(日常生活に影響を及ぼすもの)が認められた患者ではヤーボイの投与を完全に中止してください。重度の神経障害については適切な治療の開始が必要となり、重度の神経障害については副腎皮質ホルモン剤(1日当たりプレドニゾン1~2mg/kg相当)の全身投与を検討してください。試験1でヤーボイ(3mg/kg)の投与を受けた患者において、致死的なギランバレー症候群が1例、重度の末梢運動神経障害(グレード3)が1例報告されました。これまでに実施されたヤーボイの臨床試験では、重症筋無力症、およびさらなるギランバレー症候群が報告されました。試験2でヤーボイ10mg/kgの投与を受けた患者において、8例(2%)でグレード3~5の免疫介在性神経障害が、報告され、1例の死亡例はギランバレー症候群の合併症によるものでした。1例(0.2%)でグレード2の免疫介在性皮膚炎が報告されました。
免疫介在性内分泌障害
- 生命を脅かす場合を含む免疫介在性内分泌障害がヤーボイの投与を受けた患者において発生する可能性があります。下垂体炎、副腎機能不全(副腎クリーゼなど)、甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症の症状や徴候がないかどうかをモニターする必要があります。疲労、頭痛、精神状態変化、腹痛、排便異常、低血圧症、または脳転移やその他の基礎疾患などの原因に似た非特異的症状を発症する可能性があります。別の病因が特定されていない限り、症状や徴候は、免疫介在性のものと考えるべきです。臨床生検、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)レベル検査、および甲状腺機能検査を、ベースライン時と毎回の投与前および症状が表れた時点でモニターしてください。少数の患者で、画像検査により下垂体の腫大が確認されました。症状がみられる患者ではヤーボイの投与を中断し、内分泌科医への紹介を検討してください。副腎皮質ホルモン剤(1日当たりプレドニゾン1~2mg/kg相当)の全身投与を開始し、適切なホルモン補充療法を開始してください。試験1でヤーボイ(3mg/kg)の投与を受けた患者において、重度、または生命を脅かす免疫介在性内分泌障害(入院や緊急医療介入を要するもの、または日常生活に支障を来すもの、グレード3~4)が9例(1.8%)認められました。9例すべてに下垂体機能低下症がみられ、一部の患者は、副腎機能不全、性腺機能低下症、甲状腺機能低下症などの内分泌障害を併発していました。9例中6例は、重度の内分泌障害のために入院しました。中等度の内分泌障害(ホルモン補充療法や医療介入を要するもの、グレード2)が12例(2.3%)認められ、それらは甲状腺機能低下症、副腎機能不全、下垂体機能低下症であり、甲状腺機能亢進症とクッシング症候群もそれぞれ1例みられました。免疫介在性内分泌障害の発症までの期間中央値は、ヤーボイの投与開始から2.5カ月であり、投与開始から4.4カ月経過して発現した症例もありました。試験2でヤーボイ10mg/kgの投与を受けた患者において、39例(8%)でグレード3~4の免疫介在性内分泌障害が、93例(20%)でグレード2の免疫介在性内分泌障害が認められました。グレード3~4の内分泌障害を発症した39例の患者のうち、35例が下垂体機能低下症(副腎機能不全、性腺機能不全、または甲状腺機能低下症などの、1つ以上の二次的な内分泌障害を併発)を、3例が甲状腺機能亢進症を、1例が甲状腺機能低下症を発症しました。免疫介在性内分泌障害の発症までの期間中央値は、2.2カ月(2日~8カ月の範囲)でした。39例のうち27例(69.2%)が免疫介在性内分泌障害で入院しました。グレード2の免疫介在性内分泌障害を発症した93例の患者のうち、74例が下垂体機能低下症(副腎機能不全、性腺機能不全、または甲状腺機能低下症などの、1つ以上の二次的な内分泌障害を併発)を、9例が原発性甲状腺機能低下症を、3例が甲状腺機能亢進症を、3例が甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症を併発した甲状腺炎を、2例が性腺機能不全を発症し、1例が甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症を併発し、1例がグレーブス眼症を発症しました。グレード2の免疫介在性内分泌障害の発症までの期間中央値は、2.1カ月(9日~19.3ヵ月の範囲)でした。
眼症状を含むその他の免疫介在性副作用
- 臨床的に重大な、もしくは重度の免疫介在性副作用が認められた場合、ヤーボイの投与を完全に中止してください。重症の免疫介在性副作用については副腎皮質ホルモン剤(1日当たりプレドニゾン1~2mg/kg相当)の全身投与を開始してください。ぶどう膜炎、虹彩炎または上強膜炎については副腎皮質ホルモン点眼薬を投与してください。局所免疫抑制療法に不応の免疫介在性眼疾患についてはヤーボイの投与を完全に中止してください。試験1では、以下の臨床的に重大な免疫介在性副作用がヤーボイ投与群の1%未満で認められました:腎炎、肺臓炎、髄膜炎、心膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎症、溶血性貧血。試験2では、特定されたものとして、以下の臨床的に重大な免疫介在性副作用がヤーボイ投与群の1%未満で認められました:好酸球増加(2.1%)、膵炎(1.3%)、髄膜炎、肺臓炎、サルコイドーシス、心膜炎、ぶどう膜炎、および致死的な心筋炎。0.1~20mg/kgの用量でヤーボイを投与した21の用量範囲探索試験(2,478例)では、以下の免疫介在性副作用と考えられる事象が1%未満で認められました;血管障害、側頭動脈炎、血管炎、リウマチ性多発筋痛、結膜炎、眼瞼炎、上強膜炎、強膜炎、虹彩炎症、白血球破砕性血管炎、多形紅斑、乾癬、関節炎、自己免疫性甲状線炎、感音性聴力低下、自己免疫性中枢神経症(脳炎)、筋炎、多発性筋炎、眼性筋炎、溶血性貧血、および腎炎。
胚・胎児毒性
- 作用機序に基づき、ヤーボイを妊婦に投与した場合、胎児に影響を及ぼす可能性があります。ヤーボイの影響は妊娠の第2および第3三半期でより大きいと考えられています。妊婦に対しては胎児への潜在的リスクを説明してください。妊娠可能な女性に対しては、ヤーボイを含む併用療法の投与を受けている期間およびヤーボイを最後に投与してから3カ月間、効果的な避妊法を用いるよう助言してください。
授乳
- ヤーボイの母乳中への移行については確認されていません。ヤーボイ投与中および最後に投与してから3カ月間は授乳を中止するよう助言してください。
一般的な副作用
- ヤーボイ3mg/kgの投与を受けた患者において最もよくみられた副作用(5%以上)は、疲労(41%)、下痢(32%)、そう痒症(31%)、発疹(29%)、大腸炎(8%)でした。ヤーボイ10mg/kgの投与を受けた患者において最も一般的(5%以上)にみられた副作用は、発疹(50%)、下痢(49%)、疲労(46%)、そう痒症(45%)、頭痛(33%)、体重減少(32%)、悪心(25%)、発熱(18%)、腸炎(16%)、食欲減退(14%)、嘔吐(13%)、および不眠(10%)でした。
免疫介在性副作用に関する詳細は、ヤーボイの黒枠警告を含め、米国におけるヤーボイの添付文書をご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTubeおよびFacebookをご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述
本プレスリリースは、医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2015年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。