BMS logo

プレスリリース

新たに多発性骨髄腫と診断された日本人患者において、エロツズマブとレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法が良好な奏効を示す

2017/12/11

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

  • 無作為化非盲検第Ⅱ相臨床試験であるCA204-116試験において、主要評価項目である奏効率を達成しました。
  • これは、エロツズマブとして、新たに多発性骨髄腫と診断された患者に対する世界初の無作為化臨床試験データの発表です。
  • この結果は、同患者集団におけるエロツズマブの可能性をさらに裏付けるものです。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、本日、無作為化非盲検第Ⅱ相臨床試験であるCA204-116試験の結果を発表しました。日本人の患者82例が参加した本試験では、新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象に、エロツズマブとレナリドミドおよびデキサメタゾンとの三剤併用療法(ELd群、40例)と、レナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用療法(Ld群、42例)を比較評価しました。本試験は、主要評価項目である治験担当医師の評価に基づく奏効率(ORR)を達成しました。このデータは、ジョージア州アトランタで開催中の第59回米国血液学会(ASH)年次総会の「多発性骨髄腫の最新治療:導入と維持」セッションで、12月10日午後12時15分(米国東部標準時間)に発表されました。

本試験において、ELd群のORRは88%(40例中35例)だったのに対し、Ld群のORRは74%(42例中31例)でした。また、ELd群の45%、Ld群の29%で、Very good PR以上の奏効が示されました。治療期間の中央値は、ELd群で13.0サイクル、Ld群で11.5サイクルでした。最短6カ月の追跡調査において、ELd群の31例(78%)、Ld群の25例(60%)が試験を継続中でした。安全性プロファイルは、過去に報告された試験と同様であり、エロツズマブをレナリドミドとデキサメタゾンに加えた場合にも、有害事象(AE)の増加は最小限にとどまりました。また、ELd群は、18サイクルまで10mg/kgを1週間間隔または2週間間隔で投与した場合、19サイクル以降に20mg/kgを1カ月間隔で投与した場合のいずれにおいても、同様の安全性プロファイルを示しました。

本試験の筆頭著者であり、国立病院機構災害医療センター血液内科医長の竹迫直樹医師は、次のように述べています。「近年の治療の進展にもかかわらず、多発性骨髄腫の完治はいまだに難しく、新たに診断を受けた患者さんの大半が再発しています。未治療の多発性骨髄腫患者さんにおいてエロツズマブの肯定的な結果が示され、うれしく思っています。このデータから、エロツズマブのファーストライン治療薬としての評価、そして投与速度を上げた場合の有効性と忍容性についての評価を、さらに進める必要性があると思います。」

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社専務執行役員メディカル・開発部門長の玉田寛は、次のように述べています。「エロツズマブの重要なマイルストーンを日本から発表できることを喜ばしく思います。この試験を通じて、エロツズマブが、新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんに対する新たな治療選択肢となる可能性が示されました。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、この重篤な疾患と闘う患者さんとご家族の皆さんのお役に立てるよう、今後も尽力してまいります。」

 

CA204-116試験について


CA204-116試験は、造血幹細胞移植を伴う大量化学療法に不適格な新たに多発性骨髄腫と診断された患者を対象に、エロツズマブとレナリドミドおよびデキサメタゾンとの三剤併用療法と、レナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用療法を比較評価した、多施設共同無作為化非盲検第Ⅱ相臨床試験です。本試験では、日本人患者82例を、エロツズマブ(10mg/kgを最初の2サイクルは1週間間隔、3~18サイクルは2週間間隔、以降は20mg/kgを4週間間隔で投与)とレナリドミドおよびデキサメタゾンの三剤併用群(ELd群)、またはレナリドミドとデキサメタゾンのみの二剤併用群(Ld群)のいずれかに1:1の割合で無作為に割り付け、病勢進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで、28日を1サイクルとして投与しました。ベースラインでの年齢中央値は、ELd群で72歳、Ld群で73歳でした。主要評価項目は、国際骨髄腫ワーキンググループの基準に基づく、治験担当医師の評価によるELd群の奏効率(ORR)でした。副次的評価項目には、両群のORRの差および無増悪生存期間(PFS)が含まれました。探索的評価項目は安全性でした。

治験担当医師の評価に基づくORRは、ELd群で88%(95% 信頼区間、73-96)、Ld群で74%(95% 信頼区間、58-86)でした。ELd群の45%、Ld群の29%で、Very good PR以上の奏効が示されました。治療期間の中央値は、ELd群で13.0サイクル、Ld群で11.5サイクルでした。最短6カ月の追跡調査において、ELd群の31例(78%)、Ld群の25例(60%)が試験を継続中でした。患者38例(95%)が、投与速度を5mL/分に速めてエロツズマブの投与を受けましたが、インフュージョン・リアクションは報告されませんでした。

ELd群の40例(100%)、Ld群の41例(98%)で、AEが報告されました。ELd群とLd群の20%以上で報告されたAEは、便秘(ELd群43% vs Ld群31%)、発熱(同35% vs 同7%)、発疹(同28% vs 同36%)、下痢(同28% vs 同21%)、鼻咽頭炎(同25% vs 同26%)、味覚異常(同23% vs 同19%)、倦怠感(同23% vs 同2%)、末梢浮腫(同20% vs 同14%)、好中球減少症(同20% vs 同14%)、白血球減少症(同20% vs 同7%)、腰痛(18% vs 21%)でした。グレード3~4のAEは、ELd群の31例(78%)、Ld群の19例(45%)で報告されました。最も多く(10%以上)報告されたグレード3~4のAEは、好中球減少症(ELd群18% vs Ld群7%)、白血球減少症(同15% vs 同0%)、好中球数減少(13% vs 2%)および白内障(同13% vs 同2%)でした。患者38例(95%)が、投与速度を5mL/分に速めてエロツズマブの投与を受け(投与回数1176回中1046回に相当[89%])ましたが、インフュージョン・リアクションは報告されませんでした。ELd群は、10mg/kgを18サイクルまで1週間間隔または2週間間隔で投与した場合、または20mg/kgを19サイクル以降に月1回投与した場合のいずれにおいても、同等の安全性プロファイルを示しました。PFSについては、データの収集が進められています。

 

エロツズマブについて


エロツズマブは、細胞表面に発現するSLAMF7というタンパクと特異的に結合する、ヒトモノクローナル抗体(IgG1クラス)です。SLAMF7は、骨髄腫細胞(抗体産生能力をもつ形質細胞ががん化した細胞)やナチュラルキラー(NK)細胞(腫瘍細胞を攻撃する免疫細胞)の表面に発現します。エロツズマブは、二つの作用機序で働きます。NK細胞を活性化させると同時に、骨髄腫細胞上のSLAMF7と結合し、NK細胞が認識するためのタグとなり、エロツズマブのFc領域とNK細胞上のFc受容体が結合することで、NK細胞による抗体依存性細胞障害(ADCC)が誘導され骨髄腫細胞が死滅します。

エロツズマブは、「エムプリシティ」という製品名で、2015年11月30日、米国食品医薬品局(FDA)より、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、1から3種類の前治療歴を有する多発性骨髄腫患者の治療薬として承認されました。2016年5月11日には、欧州委員会より、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、1種類以上の前治療歴を有する多発性骨髄腫成人患者の治療薬として承認されました。ブリストル・マイヤーズ スクイブとアッヴィはグローバルで、エロツズマブを共同で開発しており、商業的活動はブリストル・マイヤーズ スクイブが単独で行っています。

日本では、2016年9月28日、再発又は難治性の多発性骨髄腫の適応で、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法として、厚生労働省より製造販売承認を取得しました。

 

多発性骨髄腫について


多発性骨髄腫は、血液がんの一種で、体内に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する抗体を産生する、形質細胞という血液細胞ががん化したものです。病気が進行するまで症状が現れることが少なく、早期診断が難しい病気です。多発性骨髄腫はいまだ完治を望むことが難しく、大きなアンメット・メディカル・ニーズが残されています。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブについて


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(本社:ニューヨーク、CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、160年の歴史を有し世界各国で事業展開をしているグローバルバイオファーマ企業です。深刻な病気を抱える患者さんとご家族のために革新的な医薬品を開発し提供することを使命に、「がん」「免疫系疾患」「心血管疾患」「線維症」の専門性の高い4つの重点疾患領域で研究開発を進めています。日本法人であるブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、1960年の設立以来、日本の患者の皆様やご家族のことを第一に、医療ニーズが満たされていない疾患領域で、これまでにない新たな治療法をお届けすることを通じて、疾患の治療と生活の質の向上に取り組んでいます。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社についての詳細はhttp://www.bms.co.jpよりご確認ください。

 

アッヴィについて


アッヴィは、世界で最も複雑かつ深刻な疾患に対する革新的な先進治療薬の開発に努める研究開発型のグローバルなバイオ医薬品企業です。その専門知識、献身的な社員、イノベーション実現に向けた独自の手法を通じて、自己免疫疾患、オンコロジー、ウイルス感染症およびニューロサイエンスの4つの主要治療領域での治療を大きく向上させることをミッションに掲げています。世界中の人々が持つ健康上の課題への解決策を進歩させるため、75ヵ国以上の国でアッヴィ社員が日々取り組んでいます。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。

よろしければTwitterアカウント@abbVieもフォローください。また、人材情報はFacebookLinkedInをご参照ください。

日本においては、アッヴィ合同会社の約1,000人の社員が、医療用医薬品の研究・開発や販売に従事しています。自己免疫疾患・新生児・肝疾患・ニューロサイエンスの各領域を中心に、患者さんの生活に大きく貢献できることを願っています。詳しくは、www.abbvie.co.jpをご覧ください。