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プレスリリース

オプジーボとヤーボイの併用療法、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する国内製造販売承認事項一部変更承認申請

2018/01/15

小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ·バルラン)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体「オプジーボ®点滴静注20mg、同100mg(一般名:ニボルマブ)(以下、オプジーボ)」およびヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体「ヤーボイ®点滴静注液50mg(一般名:イピリムマブ)(以下、ヤーボイ)」について、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたのでお知らせします。

今回の申請は、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がん患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法とスニチニブの単剤療法を比較評価した日本を含む国際共同第Ⅲ相無作為化非盲検臨床試験(ONO-4538-16/CA209214;CheckMate-214試験)の結果に基づいています。本試験では、オプジーボとヤーボイの併用療法が、対照薬であるスニチニブと比較して、主要評価項目である中および高リスク患者の全生存期間の有意な延長を示しました。

 

腎細胞がんについて


腎細胞がんは成人の腎がんの中で最も一般的な型であり、毎年世界で10万人以上の方が亡くなっています。淡明細胞型腎細胞がんは腎細胞がんの中で最も多い組織型であり、全患者の80-90%を占めています。腎細胞がんは男性が女性の約2倍発症し、罹患率は北米と欧州で特に高くなっています。世界的に、進行性又は転移性の腎がんと診断された患者の5年生存率は12.1%です。

 

CheckMate -214試験について


CheckMate -214試験は、未治療の進行または転移性腎細胞がん患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法をスニチニブと比較評価した第Ⅲ相無作為化非盲検臨床試験です。併用療法群の患者は、オプジーボ3mg/kgおよびヤーボイ1mg/kgを3週間間隔で計4回投与され、その後、オプジーボ3mg/kgを2週間間隔で投与されました。対照群の患者は、スニチニブ50mgを1日1回、4週間投与され、その後2週間休薬するサイクルを継続しました。患者には、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続しました。本試験の主要評価項目は、中および高リスク患者(患者の約75%)における全生存期間、無増悪生存期間および奏効率です。安全性は、副次評価項目です。本試験において、併用療法群は、スニチニブ群と比較して、Co-Primary Endpointである中および高リスク患者における全生存期間および奏効率の改善を達成しました。また、Co-Primary Endpointである無増悪生存期間についても、併用療法群は、スニチニブ群と比較して改善を示したものの、統計学的な有意差は認められませんでした。

投与の中止につながる副作用は、併用療法群(547例)の22%、スニチニブ群(535例)の12%で報告されました。併用療法群で多く報告されたグレード3~4の副作用は、疲労(4%)、下痢(4%)、発疹(2%)、悪心(2%)であり、1%未満ではそう痒症、甲状腺機能低下症、嘔吐および高血圧が発現しました。スニチニブ群で多く報告されたグレード3~4の副作用は、高血圧(16%)、疲労(9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(9%)、口内炎(3%)、粘膜炎(3%)、嘔吐(2%)、悪心(1%)、食欲減退(1%)、甲状腺機能低下症(1%未満)および味覚異常(1%未満)でした。治療に関連する死亡が、併用療法群で7例、スニチニブ群で4例報告されました。

 

オプジーボについて


オプジーボは、PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。オプジーボは、日本では、小野薬品が2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する承認を取得しました。また、悪性胸膜中皮腫、悪性黒色腫の術後補助療法などについても承認申請しており、食道がん、食道胃接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験も実施中です。現在、オプジーボは、日本、韓国、台湾、米国および欧州連合を含む60ヵ国以上で承認されています。

現在、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)は、オプジーボの単剤療法または他のがん免疫治療薬などとの併用療法による350以上の臨床試験を遂行しています。BMSは、固形がんから血液悪性腫瘍まで約50種類のがん腫に対してオプジーボを研究しており、トランスレーショナル メディシンに対する能力を駆使し、患者さん一人一人に最大限のベネフィットをもたらすことを目標に取り組んでいます。

 

ヤーボイについて


ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイは、CTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応としてヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。ヤーボイは現在、切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、50カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。国内においては、2015年7月に、根治切除不能な悪性黒色腫を適応とする製造販売承認を取得しました。

 

小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社の提携について


2011 年、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社が締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。