プレスリリース
オプジーボと低用量のヤーボイの併用療法が、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベルのファーストラインの肺がん患者において、化学療法と比較して病勢進行または死亡リスクを42%低減
2018/04/17
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社
※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2018年4月16日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
- 第Ⅲ相CheckMate -227試験において、TMBが高レベル(10mut/Mb以上)のファーストラインの非小細胞肺がん患者における1年無増悪生存率は、化学療法群と比較して、併用療法群で3倍以上高くなりました(併用療法群43% vs 化学療法群13%)。
- 併用療法群の奏効率は、化学療法群と比較してほぼ2倍になりました(併用療法群45.3% vs 化学療法群26.9%)。併用療法群では、1年時点で、奏効が認められた患者の68%で奏効が持続していました(化学療法群では25%)。
- グレード3~4の治療に関連する有害事象の発現率は、オプジーボと低用量のヤーボイの併用療法群で31%、化学療法群では36%でした。
(ニュージャージー州プリンストン、2018年4月16日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)3mg/kgと低用量のヤーボイ(一般名:イピリムマブ)1mg/kgの併用療法を、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベル(10変異/メガベース以上、以下「mut/Mb」)のファーストラインの進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に評価した重要な第Ⅲ相CheckMate -227試験の初回の結果を発表しました。本試験において、併用療法は、主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)において、化学療法と比較して優れたベネフィットを示しました(ハザード比= 0.58;97.5% 信頼区間:0.41 - 0.81];p = 0.0002)。PFSのベネフィットは、PD-L1発現の有無および扁平上皮がんおよび非扁平上皮がんの組織型にかかわらず認められました。さらに、早期の記述的解析において、併用療法は、TMBが高レベル(10mut/Mb以上)の患者において、化学療法と比較して有望な全生存期間を示しました(ハザード比 = 0.79;95%信頼区間:0.56 - 1.10)。
本試験の治験担当医師であり、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの腫瘍内科医であるMatthew D. Hellmann(M.D.)は、次のように述べています。「CheckMate -227試験は、TMBが高レベルのファーストラインのNSCLC患者さんの治療に、2つのがん免疫療法薬を併用する重要な臨床ベネフィットを示した初めての第Ⅲ相臨床試験です。これらの結果は、TMBが10mut/Mb以上のNSCLC患者さんにおいて、ファーストラインのニボルマブとイピリムマブの併用療法が、化学療法と比較して、より高い頻度で、より強い、持続的な効果を提供できる可能性があることを示しています。また本試験は、肺がんの患者さんにおけるバイオマーカーを判定するための分子検査を実施する根拠を裏付けるものです。」
これらのデータは、シカゴで開催中の2018年米国がん学会(AACR)年次総会において、本日、公式プレスプログラムで取り上げられました(抄録番号#CT077)。また、臨床試験プレナリーセッション「Immunotherapy Combinations: The New Frontier in Lung Cancer」において午前11時35分~11時55分(米国中央部夏時間)に発表される予定であり、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌にも同時に掲載されます。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の胸部悪性腫瘍担当開発責任者であるSabine Maierは、次のように述べています。「肺がんは、さまざまなサブタイプによって定義される非常に複雑な疾患であり、より高精度の治療アプローチを特定する重要性がますます高まっています。化学療法に代わる治療選択肢であるオプジーボと低用量のヤーボイの併用療法により臨床的に意義のある無増悪生存ベネフィットを得られるファーストラインの肺がん患者さんを予測する上で、TMBが重要なバイオマーカーであったことを本試験において立証し、科学に進展をもたらせたことをうれしく思います。これらの結果は、業界をリードする当社のトランスレーショナルリサーチのケイパビリティを通じて、患者さん一人一人のタイプを理解するという目標の達成に向けた取り組みの一例です。」
併用療法群で報告されたグレード3~4の治療に関連する有害事象(AE)は、皮膚反応(34%)、内分泌系(23%)、消化器系(18%)、肝臓系(15%)、肺系(8%)、過敏症(4%)、腎臓系(4%)でした。全体で、治療に関連する死亡が併用療法群および化学療法群の両群の1%で報告されました。
2018年AACRで発表されたCheckMate -227試験の追加データ
2018年AACRで発表されたCheckMate -227試験の追加データには、TMBが10mut/Mb以上の患者におけるPD-L1発現レベルごとのサブグループ解析が含まれています。これらの解析では、PD-L1発現レベルが1%以上の患者(ハザード比=0.62;95% 信頼区間:0.44 - 0.88)および1%未満の患者(ハザード比=0.48;95% 信頼区間: 0.27 - 0.85)において、化学療法群と比較して、併用療法群でPFSの有意な改善が示されました。オプジーボと低用量のヤーボイの併用療法群では、化学療法群と比較して、より高いベネフィットが、扁平上皮がん(ハザード比=0.63;95% 信頼区間: 0.39 - 1.04)および非扁平上皮がん(ハザード比=0.55;95% 信頼区間:0.38 - 0.80)のどちらの組織型においても示されました。
本試験では、副次評価項目として、TMBが13mut/Mb以上およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるPFSが、オプジーボ群と化学療法群で比較評価されました。オプジーボの単剤療法群ではPFSの改善は認められませんでした(ハザード比=0.95;97.5% 信頼区間:0.61 - 1.48;P=0.7776)。
CheckMate -227試験について
CheckMate -227試験は、ファーストラインの進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、非扁平上皮がんおよび扁平上皮がんの両方の組織型にわたり、オプジーボを含むレジメンとプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を比較評価した非盲検第Ⅲ相臨床試験です。このプログラムは、3つのPartで構成されています。
- Part 1a:PD-L1陽性患者を対象に、オプジーボと低用量のヤーボイの併用療法またはオプジーボ単剤療法を化学療法と比較評価。
- Part 1b:PD-L1陰性患者を対象に、オプジーボと低用量のヤーボイの併用療法またはオプジーボと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価。
- Part 2:広範な患者集団を対象に、PD-L1またはTMBの状態にかかわらず、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価。
Part 1では、オプジーボとヤーボイの併用療法(化学療法と比較評価)について、2つの主要評価項目を設定しました。1つはPD-L1陽性患者における全生存期間(OS)(Part 1aに組み入れられた患者で評価)、もう1つはPD-L1発現の有無にかかわらず、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベル(10mut/Mb以上)の患者における無増悪生存期間(PFS)(Part 1aおよび1bに組み入れられた患者で評価)です。Part 2の主要評価項目はOSです。
TMBで評価された患者集団の副次評価項目は、階層的に解析されました:TMBが13mut/Mb以上およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるPFSを、オプジーボ単剤療法群と化学療法群で比較評価/TMBが10mut/Mb以上の患者におけるOSを、オプジーボとヤーボイの併用療法群と化学療法群で比較評価。この統計学的階層に基づき、TMBが10mut/Mb以上の患者におけるOSに関するオプジーボとヤーボイの併用療法群と化学療法群との比較評価は、記述的解析で行われました。
本試験のPart 1において、患者はオプジーボ3mg/kgを2週間間隔で投与+低用量のヤーボイ1mg/kgを6週間間隔で投与する群、プラチナ製剤を含む2剤併用の組織型に基づく化学療法を3週間間隔で最長4サイクルにわたり投与する群、およびオプジーボ240mgを2週間間隔(Part 1a)またはオプジーボ360mg+プラチナ製剤を含む2剤併用の組織型に基づく化学療法を3週間間隔で最長4サイクル投与し、続けてオプジーボ単剤投与する群(Part 1b)に無作為に割り付けられました(1:1:1)。
Part 1で無作為化された全患者(1,739例)のうち、1,004例(58%)がTMB解析での評価が可能でした。TMBについて評価可能な全患者のうち、444例(44%)が10mut/Mb以上のTMBを有しており、オプジーボとヤーボイの併用療法に割り付けられた患者では139例、化学療法に割り付けられた患者では160例でした。本試験において、TMBは実証されたアッセイであるFoundationOne CDxを用いて測定されました。
腫瘍遺伝子変異量(TMB)について
正常細胞とは異なり、がん細胞では、時間の経過とともに遺伝子変異が蓄積していきます。腫瘍遺伝子変異量(TMB)は、がん細胞における遺伝子変異の総量を示す定量的バイオマーカーです。TMBが高レベルのがん細胞では、ネオアンチゲンの発現レベルが高くなります。ネオアンチゲンは、体の免疫系が腫瘍を認識するのを助け、がんを攻撃するT細胞や抗腫瘍応答を活性化させると考えられています。TMBは、免疫療法薬に患者が奏効するか否かを予測するのに役立つ可能性があるバイオマーカーの1つです。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:がん免疫の科学とオンコロジー研究の最前線
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、がん治療の未来に関し、治療困難ながん患者さんの予後を改善する革新的ながん免疫療法(I-O)薬の研究開発に焦点を置いたビジョンを持っています。
当社は、がん免疫の科学を進展させており、研究中の化合物および承認済みの医薬品からなる広範囲に及ぶポートフォリオを有しています。臨床開発プログラムにおいては、50以上のがん腫にわたる幅広い患者集団を対象に、様々な免疫系経路を標的とする24種類の分子について臨床研究を進めています。当社は、深い専門知識と革新的な臨床試験デザインにより、複数のがん腫において、I-O/I-O、I-O/化学療法、I-O/分子標的薬およびI-O/放射線療法といった併用療法を進歩させ、治療法の次なる波を一日も早く実現すべく取り組んでいます。また、業界をリードするトランスレーショナルなケイパビリティを通じて、免疫生物学研究の最前線に立ち、PD-L1、TMB、MSI-H/dMMRおよびLAG-3を含め、効果予測に役立つ可能性のある数々のバイオマーカーを特定し、より多くのがん患者さんへのプレシジョン・メディシン(精密医療)の可能性を推進しています。
がん免疫療法による治療をより多くの患者さんに提供するためには、社内のイノベーションだけでなく、この領域を率いる専門家との密接な協働が不可欠です。当社は、臨床現場での標準治療を上回る新たな治療選択肢を臨床現場に提供することを共通の目標として、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。
オプジーボについて
オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、25,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割を理解すること、特に、PD-L1の発現によりオプジーボが患者さんにどのような利益をもたらすかを理解することに役立っています。
オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州および日本を含む60カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の組み合わせとして初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。
オプジーボの適応症および安全性情報について
米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、こちらから原文リリースをご参照ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について
2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTubeおよびFacebookをご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述
本プレスリリースは、医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、オプジーボの単剤療法またはヤーボイとの併用療法がNSCLCの追加適応の承認を受ける、または本リリースに記載されている適応でTMBのコンパニオン診断薬の開発が成功する保証はありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2017年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。