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プレスリリース

オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注の「悪性胸膜中皮腫」と「悪性黒色腫の術後補助療法」への適応拡大、「固定用量への用法・用量」の変更、およびオプジーボとヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注との併用療法における「腎細胞がん」への適応拡大に対する国内製造販売承認事項一部変更承認取得

2018/08/21

小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、小野薬品)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)」について、以下の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせします。
 -がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫への適応拡大
 -悪性黒色腫の術後補助療法への適応拡大
 -体重換算の用法・用量から固定用量への用法・用量の変更

また、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ·バルラン、以下、BMSKK)は、オプジーボとヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注液50mg(以下、ヤーボイ)」との併用における根治切除不能又は転移性の腎細胞がんへの適応拡大、ならびに同適応におけるオプジーボの用法・用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせします。

<悪性胸膜中皮腫について>
悪性胸膜中皮腫は、胸腔表面を覆う中皮やその下の結合組織の未分化な間葉細胞に由来する悪性腫瘍です。国内では、悪性胸膜中皮腫の総患者数は約2,000人と推定*1されています。その発症原因は職業環境及び生活環境から吸入した石綿(アスベスト)との関連が高く、石綿曝露から約30~50年という非常に長い期間を経て発症することが知られています。悪性胸膜中皮腫に対する初回薬物治療としては、ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法が行われますが、この併用療法に不応又は不耐となった患者では標準的な治療法はなく、新たな治療法が切望されていました。今回の承認によって、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対してもオプジーボの使用が世界で初めて可能となりました。

<悪性黒色腫について>
悪性黒色腫は、皮膚の色と関係が深いメラニン色素の産生能を持つ色素細胞(メラノサイト)ががん化した悪性腫瘍で、皮膚がんの中でも転移率が高く、きわめて悪性度が高いとされています。日本での悪性黒色腫の患者数は約4,000人*2、年間約700人*3が悪性黒色腫により死亡していると報告されています。オプジーボは根治切除不能な悪性黒色腫について承認されていましたが、今回の承認によって、悪性黒色腫に対する術後補助療法でも使用することが可能となりました。

<腎細胞がんについて>
腎細胞がんは、腎がんの一つの型です。腎がんは、成人の腎実質に発生する悪性腫瘍で、腎悪性腫瘍の中で患者数が最も多く、毎年世界で約27万人が腎がんと診断され、11.6万人*4が亡くなっている疾患です。腎細胞がんは、腎がんの全患者のほぼ90%*4を占めています。今回の承認によって、化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対するオプジーボとヤーボイの併用療法の使用が可能となりました。

<オプジーボの用法・用量について>
オプジーボの用法・用量に関しては、今回承認取得した「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」に加えて、すでに承認取得している以下の6つの効能・効果についても、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する(点滴静注時間:1時間以上かけて)用法・用量から、今回の承認によって、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する(点滴静注時間:30分以上かけて)用法・用量へと変更になりました。
 -根治切除不能な悪性黒色腫
 -切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
 -根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
 -再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
 -再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
 -がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌

なお、今回承認された「悪性黒色腫の術後補助療法」についても、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する(点滴静注時間:30分以上かけて)用法・用量が適用されました。

また、根治切除不能な悪性黒色腫に対してオプジーボをヤーボイと併用する場合は、オプジーボ1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注し、その後1回3mg/kgを2週間間隔で点滴静注する(点滴静注時間:1時間以上かけて)用法・用量から、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注し、その後1回240mgを2週間間隔で点滴静注する(点滴静注時間:30分以上かけて)用法・用量へ変更となりました。今回の固定用量への変更の承認によって、これまで体重換算での調剤に比べて利便性が高まるとともに、残薬の問題が解消されることを期待しています。
さらに、今回新たに承認された「化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」に対してオプジーボをヤーボイと併用する場合は、オプジーボ1回240mgとヤーボイ1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注し、その後はオプジーボ1回240mgを2週間間隔で点滴静注します。

*1:厚生労働省官房 統計情報部、平成26年患者調査
*2:平成23年 厚生労働省 患者調査(傷病基本分類別)、がんの統計’13
*3:平成24年 厚生労働省 人口動態調査
*4:The epidemiology of renal cell carcinoma. Euro Urol. 2011;60;615-621.

小野薬品およびBMSKKは、オプジーボおよびヤーボイがより適正に使用されるために一層のデータの蓄積が重要であると考えています。両剤の承認条件に従い、安全性および有効性に関する臨床データを収集して、両剤の適正使用に必要な措置を講じていきます。

 

オプジーボ®点滴静注の概要


製品名 オプジーボ®点滴静注
一般名(JAN) ニボルマブ(遺伝子組換え)
効能・効果
  • 悪性黒色腫
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
  • がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
用法・用量

1. 悪性黒色腫

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。

根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。

2. 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。

化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。

3. 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。

製造販売 小野薬品工業株式会社
プロモーション提携 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
承認条件 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

※今回の承認による改訂箇所は下線で表示

 

ヤーボイ®点滴静注液50mgの概要


製品名 ヤーボイ®点滴静注液50mg
一般名(JAN) イピリムマブ(遺伝子組換え)
効能・効果 根治切除不能な悪性黒色腫
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
用法・用量

1. 根治切除不能な悪性黒色腫

通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。なお、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、ニボルマブ(遺伝子組換え)と併用すること。

2. 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌

ニボルマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。

製造販売 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
プロモーション提携 小野薬品工業株式会社
承認条件 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

注:今回の承認による改訂箇所は下線で表示

 

オプジーボについて


オプジーボは、PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。オプジーボは、日本では、小野薬品が2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん、2018年5月に悪性黒色腫におけるヤーボイとの併用療法に対する承認を取得しました。また、食道がん、食道胃接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験も実施中です。

現在、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)は、オプジーボの単剤療法または他のがん免疫治療薬などとの併用療法による350以上の臨床試験を遂行しています。BMSは、固形がんから血液悪性腫瘍まで約50種類のがん腫に対してオプジーボを研究しており、トランスレーショナル メディシンに対する能力を駆使し、患者さん一人一人に最大限のベネフィットをもたらすことを目標に取り組んでいます。

現在、オプジーボは、日本、韓国、台湾、米国および欧州連合を含む60ヵ国以上で承認されています。

 

ヤーボイについて


ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイは、CTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応としてヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。国内においては、2015年7月に、根治切除不能な悪性黒色腫を適応とする製造販売承認を取得しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、60カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。

 

小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社の提携について


2011年、小野薬品とBMSが締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。