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プレスリリース

オプジーボとヤーボイの併用療法、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がんに対する効能又は効果の追加に係る承認申請

がん領域

2019/11/12

小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注」(以下、オプジーボ)とヒト型抗ヒトCTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4)モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注液」(以下、ヤーボイ)との併用療法について、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High:microsatellite instability-High)を有する結腸・直腸がんに対する両剤の併用療法に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたので、お知らせします。

今回の承認申請は、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法の治療中または治療後に病勢進行した、もしくは同治療法に忍容性がなかった再発または転移性のMSI-Highまたはミスマッチ修復欠損(dMMR:mismatch repair deficient)を有する結腸・直腸がん患者を対象に、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY、以下、BMS)が実施した多施設共同非盲検第Ⅱ相臨床試験(CheckMate-142試験)のオプジーボとヤーボイの併用療法コホートによる結果などに基づいています。

結腸・直腸がんは、全世界における年間新規発症患者数が約180万人と3番目に多いがん腫であり、年間約86.1万人の死亡が報告されています。日本では、年間新規発症患者数が約14.6万人と1番多く、年間約5.7万人の死亡が報告されています*1
MSI-Highを有する結腸・直腸がんは、切除不能の結腸・直腸がんの約5%に認められ、標準治療のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法の有効性が乏しく、予後不良の傾向がある*2ことから、本疾患における新規治療薬の開発が期待されています。

*1:Globocan 2018. Available at: http://globocan.iarc.fr/
*2:大腸癌研究会、大腸癌治療ガイドライン 医師用 2019年版

 

CheckMate-142試験について


本試験は、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法の治療中または治療後に病勢進行した、もしくは同治療法に忍容性がなかった再発または転移性のMSI-HighまたはdMMR、およびnon-MSI-Hの結腸・直腸がん患者を対象としたオプジーボ単剤療法およびオプジーボと他剤の併用療法による複数のコホートから成る多施設共同非盲検第Ⅱ相臨床試験です。オプジーボとヤーボイの併用療法のコホートでは、オプジーボ3mg/kgおよびヤーボイ1mg/kgが3週間間隔で計4回投与され、その後オプジーボ3mg/kgが2週間間隔で投与されました。患者には、病勢進行または忍容できない毒性の発現が認められるまで継続投与されました。オプジーボとヤーボイの併用療法の主要評価項目は、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST 1.1)の基準に基づく治験担当医師の評価による奏効率です。

 

オプジーボについて


オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。

日本では、2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売され、その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん、および2018年8月にがん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫および悪性黒色腫の術後補助療法などの承認を取得しました。

また、MSI-Highを有する結腸・直腸がんおよび食道がんについて、効能又は効果の追加の承認申請をしており、食道がん、食道胃接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、膀胱がん、大腸がん、膵がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験も実施中です。

 

ヤーボイについて


ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応として、ヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として60カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で幅広い開発プログラムが進められています。

日本においては、2015年7月に根治切除不能な悪性黒色腫の効能又は効果で承認を取得しました。その後、2018年5月にオプジーボとの併用療法による同効能又は効果、および2018年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞癌の効能又は効果で承認を取得しました。

 

小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社の提携について


2011年、小野薬品は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。