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プレスリリース

米国食品医薬品局が、ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん患者の治療薬として、オプジーボとヤーボイの併用療法を承認

がん領域

2020/03/12

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社

※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2020年3月11日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

  • オプジーボとヤーボイの併用療法は、この疾患の治療薬として承認された最初で唯一の免疫療法薬2剤による併用療法です。
  • 今回の承認は、オプジーボとヤーボイの併用療法が、この患者集団において33%の奏効率(49例中16例;95%信頼区間:20-48)を示したCheckMate -040試験に基づいています1
  • オプジーボとヤーボイの併用療法では、4つ目のがん腫での承認取得になります。

(ニュージャージー州プリンストン、2020年3月11日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)1mg/kgとヤーボイ(一般名:イピリムマブ)3mg/kg(いずれも点滴静注)の併用療法が、ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん(HCC)患者の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました1,2。この適応は、第Ⅰ/Ⅱ相CheckMate -040試験のオプジーボとヤーボイの併用療法コホートで認められた奏効率および奏効期間に基づき、迅速承認されました1,2,3。この適応の承認の継続条件は、検証的臨床試験において臨床的有用性を証明し示すことです1,2

米国、南カリフォルニア大学(USC)ケック医学部の臨床内科准教授およびUSCノリスがんセンターの第Ⅰ相プログラムディレクターであり、本試験の治験責任医師であるAnthony B. El-Khoueiry(M.D.)は、次のように述べています。「HCCは、さまざまな治療アプローチを必要とする悪性度の高い疾患です4,5,6。CheckMate -040試験のオプジーボとヤーボイの併用療法コホートで認められた奏効率は、この免疫療法薬2剤による併用療法が患者さんの新たな治療選択肢となる可能性を示しています1。」

ソラフェニブによる治療歴を有するHCC患者のCheckMate -040試験コホートでは、最短28カ月間の追跡調査の後1、オプジーボとヤーボイの併用療法の奏効率(ORR)は、33%(49例中16例;95%信頼区間:20-48)であり、そのうち、8%(49例中4例)が完全奏効(CR)、24%(49例中12例)が部分奏効(PR)を示しました1。奏効期間(DOR)は4.6~30.5カ月以上にわたり、患者の88%で6カ月以上、56%で12カ月以上、31%で24カ月以上継続しました1。ORRおよびDORは、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST v1.1)に基づき、盲検下独立中央評価委員会(BICR)により評価されました1。Modified RECISTに基づき、BICRが評価したORRは35%(49例中17例;95%信頼区間:22-50)、CR率は12%(49例中6例)、PR率は22%(49例中11例)でした1

オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および免疫介在性腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、免疫介在性脳炎、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対象試験以外では推奨されません)の死亡率の増加1。免疫介在性副作用に関しては、ヤーボイの黒枠警告およびCheckMate -040試験の安全性情報の抜粋を含め、「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。

ブルー・フェアリー:エイドリアン・ウィルソン肝がん協会の創立者であり会長のAndrea Wilsonは、次のように述べています。「肝がんの発症率は米国で増加しており、HCCは最も一般的かつ悪性度の高い疾患です4,5,6,7,8,9。本日の承認は、ソラフェニブによる治療歴を有するHCC患者さんに新たな選択肢を提供し、地域社会にさらなる希望をもたらすものです1。」

オプジーボとヤーボイの併用療法は、この疾患の治療薬としてFDAの承認を取得した唯一の免疫療法薬2剤による併用療法です。この治療法は、それぞれ異なる2つのチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とし、相互補完的に作用するという相乗的な作用機序を特徴としています1

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん領域、免疫疾患領域、心血管疾患領域の米国責任者でありゼネラルマネジャーのAdam Lenkowskyは、次のように述べています。「私たちは、HCCのような悪性度の高いがんの患者さんに、臨床的に意義があり、最終的には持続的な奏効をもたらし得る新たな治療選択肢を早急に提供する必要があると考えています。本日の発表は、免疫療法のパイオニアとして当社が築いてきた礎をさらに強固にするものであり、サイエンスを通じて患者さんの人生に転換をもたらすという当社の取り組みにおける重要な一歩となるものです。」

オプジーボとヤーボイの併用療法は、この適応に関してFDAからブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定され、申請は優先審査の対象として受理されていました。

* Anthony B. El-Khoueiry医師は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の有給コンサルタントです。

 

CheckMate -040試験の試験デザインについて


CheckMate -040試験(NCT01658878)は、ソラフェニブによる治療中に病勢進行した、またはソラフェニブに不耐のHCC患者を対象にオプジーボとヤーボイの併用療法を受けたコホートを含む非盲検第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験です1,10。本試験にはPD-L1発現患者および非発現患者が含まれました3。主要な適格基準には、組織学的に診断されたHCCであり、Child-Pugh分類Aの肝硬変の状態が含まれました1。追加の適格基準には、活動性のC型肝炎ウイルス(HCV)または活動性のB型肝炎ウイルス(HBV)の感染患者および非感染患者が含まれました1,3。活動性自己免疫疾患、脳転移、肝性脳症の病歴、臨床的に顕著な腹水を有する患者、HIV感染患者、活動性のHBV/HCVまたはHBV/HDVに同時感染した患者は、本試験の対象から除外されました1。Fibrolamellar HCC、肉腫様HCC、HCCと肝内胆管がんの混合型患者も除外されました1。合計、患者49例が、オプジーボ1mg/kgとヤーボイ3mg/kgを3週間間隔で4回点滴静注後、オプジーボ240mgを2週間間隔で点滴静注を受け、患者への投与は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました1。主な有効性の指標は、RECIST v1.1およびmRECISTを用いたBICRの評価によるORRでした1。DORも評価されました1

 

CheckMate -040試験における安全性プロファイルの抜粋


患者49例において、オプジーボ1mg/kgとヤーボイ3mg/kgの併用療法の安全性評価を行いました1。重篤な副作用は、オプジーボとヤーボイの併用療法を受けた患者の59%で発症しました1。副作用により、患者の29%で投与が中止され、患者の65%で投与が延期されました1。患者の4%以上で報告された重篤な副作用は、発熱、下痢、貧血、AST増加、副腎機能不全、腹水、食道静脈瘤出血、低ナトリウム血症、血中ビリルビン増加および肺臓炎でした1。多く報告された副作用(患者の20%以上)は、発疹(53%)、そう痒症(53%)、筋骨格痛(41%)、下痢(39%)、咳嗽(37%)、食欲減退(35%)、疲労(27%)、発熱(27%)、腹痛(22%)、頭痛(22%)、悪心(20%)、浮動性めまい(20%)甲状腺機能低下症(20%)および体重減少(20%)でした1

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:オンコロジー研究の最前線


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、患者さんに質の高い長期生存をもたらし、治療を実現することにフォーカスして研究を行っています。トランスレーショナルサイエンスに基づく独自の学際的アプローチを通じて、がん領域およびがん免疫療法(I-O)研究における豊富な経験を生かし、患者さん一人一人のニーズを満たす革新的治療法を探索しています。当社は、計画的に構築された多様なパイプラインを有しており、さまざまな免疫経路を標的とした分子や、腫瘍、腫瘍の微小環境および免疫系の複雑かつ特異的な相互作用の開発に取り組んでいます。当社は、I-Oをはじめとする革新的な医薬品を患者さんに提供するため、社内でイノベーションを創出するとともに、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。

 

オプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報について


米国でのオプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について


2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebookおよびInstagramをご覧ください。

セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の完全子会社です。米国以外の国では、各地の法律により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、それぞれ「ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の子会社であるセルジーン社」、「ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の子会社であるジュノ・セラピューティクス社」と記載されます。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述


本プレスリリースは、医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではない全ての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴っており、これらを予測することは困難で、制御できないものであり、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、オプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で継続的に承認されるかどうかは、検証試験における臨床的有用性の証明および記述に左右される可能性があること、将来の試験結果がこれまでの結果と一貫すること、またオプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業および市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2019年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書に注意事項およびリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、該当する法律で特段の定めのない限り、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。

 

参考文献


1. Opdivo Prescribing Information. Opdivo U.S. Product Information. Last updated: March 2020. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.
2. Yervoy Prescribing Information. Yervoy U.S. Product Information. Last updated: March 2020. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.
3. Yau T, Kang YK, Kim TY, et al. Nivolumab + Ipilimumab Combination Therapy in Patients With Advanced Hepatocellular Carcinoma: Results From CheckMate 040. Presentation at American Society of Clinical Oncology congress, May 31-June 4, 2019.
4. Kumari R, Sahu MK, Tripathy A, et al. Hepatocellular Carcinoma Treatment: Hurdles, Advances and Prospects. Hepatic Oncology. 2018;5(2):1-14.
5. Carusa S, Calatayud AL, Pilet J, et al. Analysis of Liver Cancer Cell Lines Identifies Agents With Likely Efficacy Against Hepatocellular Carcinoma and Markers of Response. Gastroenterology 2019;157:760–776.
6. Alqahtani A , Khan Z, Alloghbi A, et al. Hepatocellular Carcinoma: Molecular Mechanisms and Targeted Therapies. Medicina 2019; 9 (55):526.
7. Cronin KA , Lake AJ, Scott S, et al. Annual Report to the Nation on the Status of Cancer, Part I: National Cancer Statistics. Cancer. 2018; 2785-2800.
8. SEER. Liver and Intrahepatic Bile Duct Cancer, CSR 1975-2016. https://seer.cancer.gov/archive/csr/1975_2015/results_merged/sect_14_liver_bile.pdf. Accessed February 25, 2020.
9. American Cancer Society. What is Liver Cancer? https://www.cancer.org/cancer/liver-cancer/about/what-is-liver-cancer.html. Accessed February 25, 2020.
10. ClinicalTrials.gov. An Immuno-therapy Study to Evaluate the Effectiveness, Safety and Tolerability of Nivolumab or Nivolumab in Combination With Other Agents in Patients With Advanced Liver Cancer (CheckMate040).
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01658878. Published August 7, 2012. Updated January 21, 2020. Accessed February 25, 2020.