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プレスリリース

オプジーボとヤーボイの併用療法、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを対象とした化学療法との併用療法に係る一部変更承認申請

がん領域

2020/03/26

小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注」(以下、オプジーボ)とヒト型抗ヒトCTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4)モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注液」(以下、ヤーボイ)について、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対するプラチナ製剤を含む2剤化学療法との併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたので、お知らせします。

今回の承認申請は、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY、以下、BMS)が、PD-L1発現レベルおよび腫瘍の組織型にかかわらず、化学療法未治療の進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法にプラチナ製剤を含む2剤化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験(CheckMate -9LA試験)の結果に基づいています。本試験の中間解析の結果、オプジーボとヤーボイにプラチナ製剤を含む2剤化学療法を追加した併用療法は、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)を有意な延長を達成しました。本試験における併用療法群の安全性プロファイルは、化学療法未治療のNSCLC治療において免疫療法と化学療法との併用療法でこれまでに認められているものと一貫していました。

 

肺がんについて


肺がんは、気管、気管支および肺胞の細胞が悪性化した腫瘍であると考えられています。肺がんは、組織型によって小細胞肺がんと非小細胞肺がん(NSCLC)の2種類に分類されます。NSCLCは、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、肺がんの約85%を占めています1)。さらに、NSCLCは腺がん(肺がんの40%)、扁平上皮がん(同25%)、大細胞がん(同10%)などに分類されます2)。肺がんは、日本では年間約11.8万人(世界全体で約209万人)が新たに診断されています。肺がんによる死亡者数は、日本では年間約8.1万人(世界全体で約176万人)と推定されており、いずれもがんによる死亡原因の第1位となっています3)。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。転移性肺がんと診断された患者の5年生存率は約5%です。

1) American Cancer Society; What Is Non-Small Cell Lung Cancer?: https://www.cancer.org/content/cancer/en/cancer/lung-cancer/about/what-is.html
2) Non-Small Cell Lung Cancer Treatment (PDQ®)-Health Professional Version, National Cancer Institute: https://www.cancer.gov/types/lung/hp/non-small-cell-lung-treatment-pdq#_12_toc
3) Globocan 2018; Lung Cancer: Estimated cancer incidence, mortality and prevalence worldwide. World Health Organization. Available from: http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf

 

CheckMate -9LA試験について


CheckMate -9LA試験は、PD-L1発現レベルおよび腫瘍の組織型にかかわらず、進行・再発のNSCLC患者を対象に、オプジーボ360mg(3週間間隔)、ヤーボイ1mg/kg(6週間間隔)にプラチナ製剤を含む2剤化学療法(3週間間隔で2サイクル)を追加した併用療法を、プラチナ製剤を含む2剤化学療法と比較した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。併用療法群の患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長24カ月間投与されました。対照群の患者は、病勢進行または毒性が認められるまで、最大4サイクルの化学療法および(適格であれば)ペメトレキセドによる維持療法を任意で施行しました。本試験の主要評価項目は、ITT集団でのOSでした。副次評価項目には、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)およびバイオマーカーに基づく有効性判定が含まれていました。

 

オプジーボについて


オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。

日本では、2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売され、その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん、2018年8月にがん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫および悪性黒色腫の術後補助療法、2020年2月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん、およびがん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がんの承認を取得しました。

また、食道胃接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、膀胱がん、膵がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験も実施中です。

 

ヤーボイについて


ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応として、ヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として60カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で幅広い開発プログラムが進められています。

日本においては、2015年7月に根治切除不能な悪性黒色腫の効能又は効果で承認を取得しました。その後、2018年5月にオプジーボとの併用療法による同効能又は効果、および2018年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞癌の効能又は効果で承認を取得しました。

 

小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社の提携について


2011年、小野薬品は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。