プレスリリース
ファーストラインの進行非小細胞肺がん患者を対象としたCheckMate -9LA試験において、化学療法を限定して追加したオプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法と比較して、有意に全生存期間を改善
がん領域
2020/05/14
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社
※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2020年5月13日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
- オプジーボとヤーボイの併用療法に化学療法2サイクルを追加した併用療法が、中間解析で全生存期間の延長を示し、その後、最短1年間の追跡調査における解析で、引き続き改善を示しました。
- PD-L1発現および腫瘍の組織型にかかわらず、全ての有効性評価項目において一貫して臨床的なベネフィットを示しました。
- 今回、CheckMate -9LAの結果が、初めて2020年ASCOの口頭セッションで発表されます。
(ニュージャージー州プリンストン、2020年5月13日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法に化学療法2サイクルを追加した併用療法が、進行非小細胞肺がん(NSCLC)のファーストライン治療薬として、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある生存ベネフィットを示した第Ⅲ相CheckMate -9LA試験の結果を初めて公表したことを発表しました。本試験において、免疫療法薬の2剤併用療法と化学療法の併用療法が、主要評価項目および重要な副次評価項目を達成し、化学療法と比較して、良好な全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)を示しました。
主要評価項目であるOSについて、あらかじめ計画されていた中間解析では、最短8.1カ月の追跡調査において、オプジーボとヤーボイの併用療法に化学療法2サイクルを追加した併用療法が、化学療法と比較して、死亡リスクを31%低減しました[ハザード比(HR):0.69;96.71%信頼区間(CI):0.55 - 0.87;p=0.0006)]。さらに、長期の追跡調査(最短12.7カ月)においても、併用療法が、化学療法と比較して、引き続きOSの持続的な改善を示しました(OSの中央値は、併用療法で15.6カ月、化学療法で10.9カ月[HR 0.66;95% CI:0.55 - 0.80])。PD-L1発現および腫瘍の組織型(扁平上皮がんまたは非扁平上皮がんの両組織型)を含む患者集団の重要なサブグループで、全ての有効性評価項目において、臨床的なベネフィットが示されました。
オプジーボ(360mgを3週間間隔)とヤーボイ(1mg/kgを6週間間隔)の併用療法に化学療法2サイクルを追加した併用療法の安全性プロファイルは、ファーストラインのNSCLCを対象とした免疫療法と化学療法の併用療法でこれまでに認められているものと一貫していました。これらの結果(抄録番号#9501)は、5月29日~31日にオンラインで開催される2020年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、口頭発表される予定です。
CheckMate -9LA試験の治験担当医師である、ドイツ肺疾患研究センターグロスハンスドルフ肺クリニックのMartin Reck(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、ファーストラインの非小細胞肺がん患者さんの生存期間を延長することが示されており、化学療法のサイクルを限定して追加することにより、早期の病勢進行のリスクを低減できる可能性があります。CheckMate -9LA試験のこれらの結果により、この免疫療法薬の2剤併用療法に化学療法2サイクルを追加することで、この患者集団において生存ベネフィットが示されるというエビデンスを得ることができました。このベネフィットは早期に示され、1年間の追跡調査において、患者の重要なサブグループ全体で持続しました。今後、データがより詳細になることを期待しています。」
最短12.7カ月の追跡調査において、化学療法を限定して追加したオプジーボとヤーボイの併用療法は、PD-L1発現レベルにかかわらずOSを改善し、PD-L1発現率が1%未満の患者では38%(HR 0.62;95% CI:0.45 - 0.85)、PD-L1発現率が1%以上の患者では36%(HR 0.64;95% CI:0.50 - 0.82)、死亡リスクを低減しました。さらに、1年PFS率は、免疫療法薬の2剤併用療法と化学療法の併用療法群の33%に対し、化学療法群では18%(HR 0.68;95% CI:0.57 - 0.82)、ORRは併用療法群の38%に対し、化学療法群では25%でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の腫瘍臨床開発担当バイスプレジデントであるNick Botwood(M.D.)は、次のように述べています。「進行非小細胞肺がんの診断を受ける患者さんの状態が一人一人異なることを踏まえ、新たな治療選択肢を依然として必要としている多数のファーストラインの患者さんに多くの持続的な治療法をお届けするため、開発プログラムに取り組んできました。CheckMate -9LA試験の1年間の全生存期間に関する最新のデータは、CheckMate -227試験の3年間の結果とともに、ファーストラインの非小細胞肺がんの治療薬として初の免疫療法薬の2剤併用療法であるオプジーボとヤーボイを含む併用療法の臨床的な価値をさらに強固にするものです。」
オプジーボとヤーボイの併用療法は、相乗的な作用機序を特徴とし、がん細胞を攻撃するために二つの異なるチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の2剤併用療法です。ヤーボイはT細胞の活性化と増殖を促し、オプジーボはT細胞によるがん細胞への攻撃を助けます。ヤーボイにより活性化したT細胞の一部はメモリーT細胞となり、長期の免疫反応を可能にします。オプジーボとヤーボイの併用療法に化学療法を限定して追加することで、早期の病勢コントロールが可能となり得ます。
CheckMate -9LA試験について
CheckMate -9LA試験は、PD-L1発現レベルおよび腫瘍の組織型にかかわらず、進行NSCLC患者のファーストライン治療薬として、オプジーボ(360mgを3週間間隔)とヤーボイ(1mg/kgを6週間間隔)の併用療法に化学療法(2サイクル)を追加した併用療法を、化学療法(最大4サイクル後に、適格であればペメトレキセドによる維持療法を任意で施行)と比較した多施設共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。併用療法群の患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長2年間、免疫療法による治療を受けました。対照群の患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最大4サイクルの化学療法および(適格であれば)ペメトレキセドによる維持療法を任意で施行しました。本試験の主要評価項目は、ITT集団でのOSでした。階層的な副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)であり、本試験ではバイオマーカーに基づく有効性評価項目も評価しました。
肺がんについて
肺がんは、世界的にがんによる死亡の主な原因となっています。肺がんは、小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類に大きく分類されます。非小細胞肺がん(NSCLC)は、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、およそ84%を占めています。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。転移性肺がんと診断された患者の5年生存率は約5%です。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:がん研究の最前線
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、患者さんに質の高い長期生存をもたらし、治癒を実現することを目標にがん研究を行っています。サイエンスにおける豊富な経験を生かし、最先端の技術と創薬プラットフォームを駆使して、患者さんのために革新的な治療法を開発し、提供しています。
当社は、血液疾患領域およびがん免疫領域における革新的な研究と実績を通じて、さまざまながん腫において生存期間の改善をもたらすとともに、さまざまな治療法を探索し、豊富かつ多様なパイプラインを構築しています。免疫細胞療法の分野においては、多数の疾患でCAR-T細胞療法を導入し、細胞・遺伝子治療の標的の発見や技術の発展につながる早期パイプラインを拡大しています。また、多発性骨髄腫における承認済の療法、および早期・中期開発段階にある有望な化合物を生み出す基盤として、タンパク質ホメオスタシスなどの新たなプラットフォームを活用し、主要な生物学的経路を標的としたがん治療法の研究を進めています。当社は、さまざまな免疫経路を標的とした治療法の開発に取り組み、腫瘍、腫瘍の微小環境および免疫系の相互作用に着目することで、より多くの患者さんが奏功を示す治療を提供できるよう、更なる進化を目指しています。このような複数の治療アプローチを融合させることは、がん治療の新たな選択肢を提供し、免疫療法に対する耐性を克服するために重要です。当社は、革新的な医薬品を患者さんに提供するため、社内でイノベーションを創出するとともに、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。
オプジーボについて
オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。
ヤーボイについて
ヤーボイは細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CLTA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖など、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として、ヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として50ヵ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。
オプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報について
米国でのオプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について
2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTube、FacebookおよびInstagramをご覧ください。
セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の100%子会社です。米国以外の幾つかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。
将来予測等に関する記述の注意事項
本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではない全ての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、今後の試験結果が現在までの結果と一貫する可能性、またオプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2019年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。