プレスリリース
米国食品医薬品局が、PD-L1発現率が1%以上の進行非小細胞肺がん患者のファーストライン治療薬として、オプジーボとヤーボイの併用療法を承認
がん領域
2020/05/18
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社
※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2020年5月15日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
- CheckMate -227試験のPart1aにおいて、オプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法と比較して、良好かつ持続的な長期の生存期間の延長を示しました1,2,3。
- 今回の承認は、オプジーボとヤーボイの併用療法の五つ目の適応承認となり、この疾患でFDAの承認を取得した最初で唯一の免疫療法薬による2剤併用療法です。
(ニュージャージー州プリンストン、2020年5月15日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)3mg/kgとヤーボイ(一般名:イピリムマブ)1mg/kg(いずれも点滴静注)の併用療法が、PD-L1発現率が1%以上(FDAが承認した検査による測定)で、EGFRやALK遺伝子変異陰性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者のファーストライン治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました1。
この承認は、第Ⅲ相CheckMate -227試験のPart1aに基づいています。同試験において、最短29.3カ月の追跡調査で、腫瘍の組織型にかかわらず、オプジーボとヤーボイの併用療法(n=396)は、化学療法(n=397)と比較して、良好な全生存期間(OS)の延長を示しました[ハザード比(HR)0.79;95%信頼区間(CI):0.67 - 0.94;P=0.0066]1,2。OSの中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で17.1カ月(95% CI:15.0 - 20.1)、化学療法群では14.9カ月(95% CI:12.7 - 16.7)でした1。本試験における1年生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で63%、化学療法群で56%であり、2年生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で40%、化学療法群で33%でした4。3年(追跡期間の中央値は43.1カ月)生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で33%、化学療法群で22%でした3。盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による奏効率(ORR)は、最短28.3カ月の追跡調査において、オプジーボとヤーボイの併用療法群で36%(396例中142例、95% CI:31 – 41)、うち5.8%が完全奏効(CR)、30.1%が部分奏効(PR)であったのに対し、化学療法群では30%(397例中119例、95% CI:26 – 35)、うち1.8%がCR、28.2%がPRでした1,2,5。奏効患者における奏効期間(DOR)の中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で23.2カ月(95% CI:15.2 - 32.2)、化学療法群で6.2カ月(95% CI:5.6 - 7.4)でした1,2,5。ORRとDORは、あらかじめ計画された記述的解析でした1,2。
CheckMate -227試験の治験担当医師であり、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの腫瘍内科医であるMatthew D. Hellmann(M.D.)は、次のように述べています。「進行肺がんの患者さんは依然として、持続的な奏効をもたらし得る新たな治療選択肢を必要としています。CheckMate -227試験の結果は、免疫療法薬による2剤併用療法が、進行NSCLCの適格患者さんに長期生存の可能性をもたらすことを示しています1,2,3。」
オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および免疫介在性腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、免疫介在性脳炎、その他の免疫介在性副作用、infusion reaction、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対象試験以外では推奨されません)の死亡率の増加1。免疫介在性副作用に関しては、ヤーボイの黒枠警告を含め、「重要な安全性情報」の項目をご参照ください6。
GO2 Foundationの共同創設者兼会長であるBonnie J. Addarioは、次のように述べています。「進行肺がんは、複雑で治療が困難な疾患です7。進行NSCLC患者さんは、生存期間を有意に延長する可能性のあるさらなる追加選択肢を求め、免疫療法の分野における進展に絶えず注目してきました。未治療の特定の患者さんが、化学療法を含まない、免疫療法薬による併用療法を受けることができるようになり、3年以上の追跡調査において持続的な生存ベネフィットを示したことは、この疾患の治療における重要な一歩となるものです1,2,3。」
オプジーボとヤーボイの併用療法は、潜在的に相乗的な作用機序を特徴とし、がん細胞を攻撃するために二つの異なるチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の2剤併用療法です。ヤーボイはT細胞の活性化と増殖を促し、オプジーボはT細胞によるがん細胞への攻撃を助けます1,6,8。ヤーボイにより活性化したT細胞の一部はメモリーT細胞となり、長期の免疫反応をもたらす可能性があります8,9,10,11,12,13。正常な細胞を標的とすることもあり、重度かつ致死的な免疫介在性副作用が起こる可能性があります1。免疫介在性副作用に関しては、ヤーボイの黒枠警告を含め、「重要な安全性情報」の項目をご参照ください6。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、チーフ・コマーシャリゼーション・オフィサーのChris Boernerは、次のように述べています。「オプジーボは、2015年に、治療歴を有するNSCLC患者さんの治療薬として承認を受けた最初の免疫療法となり、NSCLCの治療法に変革をもたらす新たな時代の幕を開きました。オプジーボとヤーボイの併用療法は、ファーストライン治療で承認を取得した免疫療法薬による最初の2剤併用療法として、これまでの実績を積んでおり、進行肺がんの患者さんの長期生存に対する当社のコミットメントを示すものです。」
* Matthew D. Hellmann医師は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に有料コンサルティング/アドバイザリーサービスを提供しています。
CheckMate -227試験について
CheckMate -227試験は、未治療の進行または再発性NSCLC患者を対象に、非扁平上皮がんおよび扁平上皮がんの組織型にかかわらず、オプジーボとヤーボイの併用療法とプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を比較評価した多施設共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です1,2。本試験のPart1aには、PD-L1発現患者(PD-L1発現率が1%以上)が組み入れられました1。腫瘍検体は、中央研究所でPD-L1 IHC 28-8 pharmDxアッセイを用いて前向きに評価されました1。主な適格基準は、年齢18歳以上、ステージIVまたは再発性NSCLC、ECOG PS 0/1、全身抗がん療法による治療歴がない患者でした1。承認された分子標的阻害剤による治療に感受性を示すEGFR遺伝子変異またはALK遺伝子転座、未治療の脳転移、がん性髄膜炎、活動性自己免疫疾患または全身免疫抑制療法が必要な病態がある患者は、本試験の対象から除外されました1。患者396例がオプジーボ3mg/kg(Q2W)とヤーボイ1mg/kg(Q6W)の併用療法を受け、患者397例がプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法(Q3W)を受けました1。化学療法群に割り付けられた非扁平上皮がんの患者は、ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンを投与された後、任意でペメトレキセドによる維持療法を受け、扁平上皮がんの患者はゲムシタビンとシスプラチンまたはカルボプラチンを投与されました1。投与は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長24カ月間継続されました1。主な有効性指標はOSでした1。その他の記述的有効性指標は、無増悪生存期間、ORRおよびBICRの評価によるDORでした1,2。
CheckMate -227試験における安全性プロファイルの抜粋
重篤な副作用は、患者の58%で発症しました1。副作用により、患者の24%でオプジーボとヤーボイの併用療法が中止され、53%で少なくとも1回の投与が中断されました1。多く報告された重篤な副作用(≧2%)は、肺炎、下痢・大腸炎、肺臓炎、肝炎、肺塞栓症、副腎機能不全および下垂体炎でした1。患者の1.7%で致死的な副作用が認められ、これらには肺臓炎(4例)、心筋炎、急性腎障害、ショック、高血糖、多臓器不全および腎不全が含まれました1。多く報告された副作用(≧20%)は、疲労(44%)、発疹(34%)、食欲減退(31%)、筋骨格痛(27%)、下痢・大腸炎(26%)、呼吸困難(26%)、咳嗽(23%)、肝炎(21%)、悪心(21%)およびそう痒症(21%)でした1。
肺がんについて
肺がんは、米国においてがんによる死亡の主な原因となっています14。肺がんは、小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類に大きく分類されます15。非小細胞肺がんは、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、およそ84%を占めています15。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります14。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:オンコロジー研究の最前線
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、患者さんに質の高い長期生存をもたらし、治癒を実現することを目標にがん研究を行っています。サイエンスにおける豊富な経験を生かし、最先端の技術と創薬プラットフォームを駆使して、患者さんのために革新的な治療法を開発し、提供しています。
当社は、血液疾患領域およびがん免疫領域における革新的な研究と実績を通じて、さまざまながん腫において生存期間の改善をもたらすとともに、さまざまな治療法を探索し、豊富かつ多様なパイプラインを構築しています。免疫細胞療法の分野においては、多数の疾患でCAR T細胞療法を導入し、細胞・遺伝子治療の標的の発見や技術の発展につながる早期パイプラインを拡大しています。また、多発性骨髄腫における承認済の療法、および早期・中期開発段階にある有望な化合物を生み出す基盤として、タンパク質ホメオスタシスなどの新たなプラットフォームを活用し、主要な生物学的経路を標的としたがん治療法の研究を進めています。当社は、さまざまな免疫経路を標的とした治療法の開発に取り組み、腫瘍、腫瘍の微小環境および免疫系の相互作用に着目することで、より多くの患者さんが奏功を示す治療を提供できるよう、更なる進化を目指しています。このような複数の治療アプローチを融合させることは、がん治療の新たな選択肢を提供し、免疫療法に対する耐性を克服するために重要です。当社は、革新的な医薬品を患者さんに提供するため、社内でイノベーションを創出するとともに、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。
オプジーボの適応症および安全性情報について
米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について
2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTube、FacebookおよびInstagramをご覧ください。
セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の100%子会社です。米国以外の幾つかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb Company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb Company」と称されています。
将来予測等に関する記述の注意事項
本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではない全ての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、オプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点、またこの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で継続的に承認されるかどうかは検証的試験における臨床的ベネフィットの実証および記述に左右される可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2019年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。
参考文献
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