プレスリリース
米国食品医薬品局が、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法による前治療を受けた進行食道扁平上皮がん患者の治療薬として、オプジーボを承認
がん領域
2020/06/11
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社
※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2020年6月10日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
- オプジーボが、ドセタキセルまたはパクリタキセルと比較して、良好な生存ベネフィットを示しました1。
- PD-L1発現レベルにかかわらず、この患者集団において初めて承認された免疫療法です。
(ニュージャージー州プリンストン、2020年6月10日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)が、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法による前治療を受けた切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました1。本申請はFDAより優先審査の対象に指定され、本承認は第Ⅲ相ATTRACTION-3試験に基づいています。同試験において、オプジーボ(n=210)は、タキサン系化学療法(治験担当医師が選択するドセタキセルまたはパクリタキセル)(n=209)と比較して、良好な全生存期間(OS)の延長を示しました[ハザード比(HR):0.77;95%信頼区間(CI):0.62 - 0.96;p=0.0189]1,2。OSの中央値は、オプジーボ群で10.9カ月(95% CI:9.2 - 13.3)、ドセタキセルまたはパクリタキセル群では8.4カ月(95% CI:7.2 - 9.9)でした1。オプジーボは、PD-L1発現レベルにかかわらず、この患者集団において初めて承認された免疫療法です。
オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が記載されています:免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および免疫介在性腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、免疫介在性脳炎、その他の免疫介在性副作用、infusion reaction、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対象試験以外では推奨されません)の死亡率の増加1。「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん・免疫疾患・心血管疾患担当米国責任者兼ゼネラルマネジャーのAdam Lenkowskyは、次のように述べています。「食道がんは進行期に診断されることが多く、その時点では病状により患者さんの健康に重大な影響を及ぼしかねません3。進行食道扁平上皮がん患者さんの病状が進行した場合、治療選択肢は限定的です2,4。PD-L1の発現にかかわらず、治療歴を有する進行食道扁平上皮がん患者さんの新たな治療選択肢としてオプジーボが承認されたことは、患者さんのアンメットニーズを満たす新たな治療選択肢を提供するという当社のコミットメントを示しており、消化管がんにおける免疫療法の最大限の可能性に対する私たちの理解をさらに深めるものです1,2,5,6,7。」
ATTRACTION-3試験について
ATTRACTION-3試験(NCT02569242)は、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む1回以上のレジメンに不応または不耐の切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん患者を対象に、オプジーボとタキサン系化学療法(治験担当医師が選択するドセタキセルまたはパクリタキセル)を比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検実薬対照第Ⅲ相臨床試験です1,2。患者は、PD-L1発現にかかわらず試験に組み入れられましたが、腫瘍検体は、中央研究所でPD-L1 IHC 28-8 pharmDx アッセイを用いて前向きに評価されました1。
タキサン系薬剤に不応または不耐の患者、症候性または治療を必要とする脳転移を有する患者、自己免疫疾患を有する患者、コルチコステロイドまたは免疫抑制剤の全身投与を受けた患者、食道腫瘍に隣接する臓器に明らかな腫瘍浸潤があった患者および食道または気道にステントのある患者は、本試験の対象から除外されました1。患者は、オプジーボ240mgを30分以上かけて2週間間隔で点滴静注する群(210例)、または治験担当医師が選択するタキサン系化学療法群(209例)に無作為に割り付けられました。化学療法群は、ドセタキセル75mg/m2を3週間間隔で点滴静注する群(65例)、またはパクリタキセル100mg/m2を1週間間隔で、6週間点滴静注し、その後1週間休薬する群(144例)のいずれかに割り付けられました1,2。試験には、アジアの患者を中心に、米国や欧州の患者も組み入れられました2。投与は、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST v1.1)に基づき、治験担当医師により評価された病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました1。
主な有効性指標はOSでした1。その他の有効性指標は、奏効率(ORR)、RECIST v1.1に基づき、治験担当医師により評価された無増悪生存期間(PFS)および奏効期間(DOR)でした1。ORRは、オプジーボ群で19.3%(171例中33例、95% CI:13.7 - 26.0)、うち完全奏効率(CR)0.6%、部分奏効率(PR)18.7%で、治験担当医師が選択した化学療法群で21.5%(158例中34例、95% CI:15.4 - 28.8)、うちCR 1.3%、PR 20.3%であり、両群間に統計学的な有意差は認められませんでした(p=0.6323)1。PFSの中央値は、オプジーボ群で1.7カ月(95% CI:1.5 - 2.7)、治験担当医師が選択した化学療法群で3.4カ月(95% CI:3.0 - 4.2)でしたが(HR 1.1;95% CI:0.9 - 1.3)、あらかじめ計画されていた階層的検定手順のために解析されませんでした1。本試験は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のオプジーボ開発パートナーである小野薬品工業株式会社の資金提供のもとに実施されました8。
ATTRACTION-3試験における安全性プロファイルの抜粋
オプジーボの安全性は、ATTRACTION-3試験に参加した患者209例で評価されました1。重篤な副作用は、オプジーボ群の38%で発症しました1。オプジーボ群の2%以上で報告された重篤な副作用は、肺炎、食道瘻、間質性肺疾患および発熱でした。オプジーボ群で発症した致死性の副作用は、間質性肺疾患または肺臓炎(1.4%)、肺炎(1.0%)、敗血症性ショック(0.5%)、食道瘻(0.5%)、胃腸出血(0.5%)、肺塞栓症(0.5%)および突然死(0.5%)でした1。副作用により、患者の13%でオプジーボの投与が中止され、患者の27%で投与が延期されました1。オプジーボ群の20%以上で報告された副作用は、発疹(22%)および食欲減退(21%)でした1。
食道がんについて
米国では、今年だけで約18,440人が新たに食道がんと診断され、約16,170人が亡くなると推定されています9。食道がんは、食道の内面(粘膜)から発生し増殖する消化管がんの一種です10。粘膜は通常扁平上皮細胞で覆われており、これらの細胞から発生するがんは扁平上皮がんと呼ばれ、米国では食道がんの30%未満を占めています10。食道がん患者の約25%は、病状の進行期に診断され、その場合には治療することが難しい疾患とされています3,7。
オプジーボの適応症および安全性情報について
米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:がん研究の最前線
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、患者さんに質の高い長期生存をもたらし、治癒を実現することを目標にがん研究を行っています。サイエンスにおける豊富な経験を生かし、最先端の技術と創薬プラットフォームを駆使して、患者さんのために革新的な治療法を開発し、提供しています。
当社は、血液疾患領域およびがん免疫領域における革新的な研究と実績を通じて、さまざまながん腫において生存期間の改善をもたらすとともに、さまざまな治療法を探索し、豊富かつ多様なパイプラインを構築しています。免疫細胞療法の分野においては、多数の疾患でCAR T細胞療法を導入し、細胞・遺伝子治療の標的の発見や技術の発展につながる早期パイプラインを拡大しています。また、多発性骨髄腫における承認済の療法、および早期・中期開発段階にある有望な化合物を生み出す基盤として、タンパク質ホメオスタシスなどの新たなプラットフォームを活用し、主要な生物学的経路を標的としたがん治療法の研究を進めています。当社は、さまざまな免疫経路を標的とした治療法の開発に取り組み、腫瘍、腫瘍の微小環境および免疫系の相互作用に着目することで、より多くの患者さんが奏功を示す治療を提供できるよう、更なる進化を目指しています。このような複数の治療アプローチを融合させることは、がん治療の新たな選択肢を提供し、免疫療法に対する耐性を克服するために重要です。当社は、革新的な医薬品を患者さんに提供するため、社内でイノベーションを創出するとともに、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について
2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTube、FacebookおよびInstagramをご覧ください。
セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の100%子会社です。米国以外の幾つかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb Company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb Company」と称されています。
将来予測等に関する記述の注意事項
本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではない全ての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、オプジーボが本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点、またそのような製品候補が本プレスリリースに記載された追加の適応症で継続的に承認されるかどうかは検証的試験における臨床的ベネフィットの実証および記述に左右される可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2019年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。
参考文献
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