プレスリリース
オプジーボとヤーボイの併用療法が、未治療の悪性胸膜中皮腫患者において、化学療法と比較して持続的な生存ベネフィットを示す
がん領域
2020/08/11
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社
※本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2020年8月8日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
- CheckMate -743試験は、悪性胸膜中皮腫患者のファーストライン治療において、免疫療法が生存期間を改善した最初で唯一の第Ⅲ相試験です。
- 今回の肯定的な結果により、オプジーボとヤーボイの併用療法は6つのがん腫で臨床的なベネフィットを示し、2つの胸部がんで化学療法と比較して持続的かつ良好な全生存期間の改善を示したことになります。
(ニュージャージー州プリンストン、2020年8月8日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)患者を対象とした第Ⅲ相CheckMate -743試験において、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法が、化学療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善したことを発表しました。最短22カ月の追跡調査において、オプジーボとヤーボイの併用療法は死亡リスクを26%低減し、OSの中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で18.1カ月、標準治療であるプラチナ製剤を含む化学療法群では14.1カ月でした[ハザード比(HR):0.74;96.6%信頼区間(CI):0.60 - 0.91;p=0.002]。2年生存率は、併用療法群で41%、化学療法群で27%でした。
オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された試験のものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
これらのデータは、国際肺癌学会(IASLC)の2020年世界肺癌学会議(WCLC)バーチャル・プレジデンシャル・シンポジウムにおいて、2020年8月8日、午前7時(米国東部夏時間)に発表される予定です(抄録番号#3)。
オランダがん研究所およびライデン大学、胸部腫瘍科のPaul Baas(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「悪性胸膜中皮腫は、5年生存率が10%未満で悪性度の高いがんであり、多くの臨床治療に耐性を示しています。今回、私たちは初めて、全ての組織型の悪性胸膜中皮腫のファーストライン治療において、免疫療法薬による2剤併用療法が、化学療法と比較して良好で持続的な生存ベネフィットを示すエビデンスを得ることができました。CheckMate -743試験のデータは、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が新たな標準治療となる可能性を裏付けるものです。」
組織型は中皮腫における確立した予後因子であり、非上皮型の患者の予後は一般的に不良とされています。CheckMate -743試験において、オプジーボとヤーボイの併用療法は非上皮型および上皮型の両組織型のMPMにおける生存期間を改善し、非上皮型のサブグループでより顕著な改善が認められました。OSの中央値は、併用療法群の上皮型患者で18.7カ月、非上皮型患者で18.1カ月であったのに対し、化学療法群では上皮型患者で16.5カ月、非上皮型患者で8.8カ月でした[上皮型サブグループのHR:0.86(95% CI:0.69 - 1.08)、非上皮型サブグループのHR:0.46(95% CI:0.31 - 0.68)]。
ブリストル マイヤーズ スクイブの腫瘍臨床開発担当バイスプレジデントであるSabine Maier(M.D.)は、次のように述べています。「悪性胸膜中皮腫におけるこれらのデータは、非小細胞肺がん患者さんにおいて、オプジーボとヤーボイの併用療法の確立された長期の有効性に基づくものであり、この併用療法が胸部がんにおける生存期間に変化をもたらす可能性をさらに示すものです。過去15年以上にわたり、悪性胸膜中皮腫患者さんの生存期間を延長できる新たな全身療法は承認されていません。今後、CheckMate -743試験の肯定的な結果について、世界の保健当局と協議してまいります。」
オプジーボとヤーボイの併用療法は、潜在的に相乗的な作用機序を特徴とし、がん細胞を攻撃する二つの異なるチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の2剤併用療法です。ヤーボイはT細胞の活性化と増殖を促し、オプジーボはT細胞によるがん細胞への攻撃を助けます。ヤーボイにより活性化したT細胞の一部はメモリーT細胞となり、長期の免疫反応をもたらす可能性があります。
CheckMate -743試験について
CheckMate -743試験は、未治療の悪性胸膜中皮腫患者(n=605)を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。本試験では、患者303例がオプジーボ3mg/kgを2週間間隔で、ヤーボイ1mg/kgを6週間間隔で投与され、投与は病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長24カ月間継続されました。患者302例はシスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC 5とペメトレキセド500mg/m2の併用療法を、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、21日間を1サイクルとして、最大6サイクル投与されました。本試験の主要評価項目は全無作為化患者におけるOSでした。主な副次評価項目は、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)および無増悪生存期間(PFS)でした。探索的評価項目は、安全性、薬物動態、免疫原性および患者報告アウトカムでした。
悪性胸膜中皮腫について
悪性胸膜中皮腫は、悪性度の高い希少がんであり、肺を覆う膜から発生します。発症の主な原因はアスベストへの曝露です。早期発見が難しく、診断された時には、多くの患者ですでに進行または転移が認められます。一般的に予後は不良であり、未治療の進行または転移性悪性胸膜中皮腫患者の生存期間の中央値は1年未満、5年生存率は約10%です。
ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん研究の最前線
ブリストル マイヤーズ スクイブは、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、患者さんに質の高い長期生存をもたらし、治療を実現することを目標にがん研究を行っています。サイエンスにおける豊富な経験を生かし、最先端の技術と創薬プラットフォームを駆使して、患者さんのために革新的な治療法を開発し、提供しています。
当社は、血液疾患領域およびがん免疫領域における革新的な研究と実績を通じて、さまざまながん腫において生存期間の改善をもたらすとともに、さまざまな治療法を探索し、豊富かつ多様なパイプラインを構築しています。免疫細胞療法の分野においては、多数の疾患でCAR-T細胞療法を導入し、細胞・遺伝子治療の標的の発見や技術の発展につながる早期パイプラインを拡大しています。また、多発性骨髄腫における承認済の療法、および早期・中期開発段階にある有望な化合物を生み出す基盤として、タンパク質ホメオスタシスなどの新たなプラットフォームを活用し、主要な生物学的経路を標的としたがん治療法の研究を進めています。当社は、さまざまな免疫経路を標的とした治療法の開発に取り組み、腫瘍、腫瘍の微小環境および免疫系の相互作用に着目することで、より多くの患者さんが奏功を示す治療を提供できるよう、更なる進化を目指しています。このような複数の治療アプローチを融合させることは、がん治療の新たな選択肢を提供し、免疫療法に対する耐性を克服するために重要です。当社は、革新的な医薬品を患者さんに提供するため、社内でイノベーションを創出するとともに、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。
オプジーボについて
オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。
ヤーボイについて
ヤーボイは細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CLTA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖など、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として、ヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として50ヵ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。
オプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報について
米国でのオプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。
ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について
2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
ブリストル マイヤーズ スクイブについて
ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTube、FacebookおよびInstagramをご覧ください。
セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外の幾つかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb Company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb Company」と称されています。
将来予測等に関する記述の注意事項
本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではない全ての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、今後の試験結果が現在までの結果と一貫する可能性、オプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症の承認を受けられない可能性、また承認された場合でも、そのような併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2019年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。