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プレスリリース

オプジーボとヤーボイの併用療法における「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」への適応拡大およびオプジーボの単独投与時における用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得

がん領域

2020/09/25

小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン、以下、BMSKK)は、本日、ヒト型抗ヒトprogrammed cell death-1(PD-1)モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注」(以下、オプジーボ)とヒト型抗ヒトcytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4(CTLA-4)モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注液」(以下、ヤーボイ)との併用療法について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High:microsatellite instability-High)を有する結腸・直腸がん」への適応拡大に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたので、お知らせします。

また、小野薬品は、オプジーボについて、単独投与時における1回480mgを4週間間隔で点滴静注(点滴静注時間:30分以上かけて)する用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたので、お知らせします。

<MSI-Highを有する結腸・直腸がんについて>

今回の承認は、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による治療中または治療後に病勢進行した、もしくは同治療法に忍容性がなかった進行・再発のMSI-Highまたはミスマッチ修復欠損(dMMR:deficient mismatch repair)を有する結腸・直腸がん患者を対象に、ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY、以下、BMS)が実施した多施設共同非盲検第Ⅱ相臨床試験(CheckMate -142試験)のオプジーボとヤーボイの併用療法コホートによる結果に基づいています。本試験では、オプジーボとヤーボイの併用療法は、主要評価項目である治験担当医師の評価による奏効率(ORR)において有効性を示しました。本試験におけるオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された臨床試験のものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

オプジーボは、単剤療法でがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発のMSI-Highを有する結腸・直腸がんの効能又は効果で承認されていますが、今回の承認によって、同効能又は効果に対して、オプジーボとヤーボイの併用療法でも使用が可能となりました。

 

CheckMate -142試験について


本試験は、進行・再発のMSI-HighまたはdMMR、およびnon-MSI-Highの結腸・直腸がん患者を対象としたオプジーボ単剤療法およびオプジーボと他剤の併用療法による複数のコホートから成る多施設共同非盲検第Ⅱ相臨床試験です。オプジーボとヤーボイの併用療法のコホートでは、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による治療中または治療後に病勢進行した、もしくは同治療法に忍容性がなかった患者を対象に、オプジーボ3mg/kgおよびヤーボイ1mg/kgが3週間間隔で計4回投与され、その後オプジーボ3mg/kgが2週間間隔で投与されました。患者には、病勢進行または忍容できない毒性の発現が認められるまで継続投与されました。オプジーボとヤーボイの併用療法の主要評価項目は、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST 1.1)の基準に基づく治験担当医師の評価による奏効率(ORR)です。その他の主な評価項目は、盲検化された独立画像評価委員会の評価による奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)等です。

 

結腸・直腸がんについて


結腸・直腸がんは、結腸または直腸に原発性に発生する悪性腫瘍です。日本では、年間約14.6万人(全世界では約180万人)が新たに結腸・直腸がんと診断され、年間約5.7万人(全世界では約86.1万人)の死亡が報告されています1)。切除不能な結腸・直腸がんの約5%にMSI-Highが認められています。MSI-Highを有する結腸・直腸がんの患者では、それを有さない患者と比べて、予後不良の傾向があり、標準治療のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法の有効性が乏しい2)ことが報告されていることから、この患者集団では、新たな治療選択肢が必要とされています。

1):Globocan 2018. Available at: http://gco.iarc.fr/today/fact-sheets-populations
2):大腸癌研究会、大腸癌治療ガイドライン 医師用 2019年版

<オプジーボの用法及び用量について>

オプジーボの単独投与時の用法及び用量に関しては、すでに承認を取得している全ての9つのがん腫において、これまでの1回240mgを2週間間隔で点滴静注(点滴静注時間:30分以上かけて)する用法及び用量に加え、今回の承認によって、1回480mgを4週間間隔で点滴静注(点滴静注時間:30分以上かけて)する用法及び用量が追加になりました。

今回の用法及び用量の追加の承認によって、投与間隔について治療選択肢が増えることから、患者さんの病状や臨床経過に応じた柔軟性のある治療計画を設計することが可能となります。また、患者さんの来院回数の減少や医療スタッフの負担が軽減できることから、患者さんおよび医療スタッフの利便性の向上に繋がるものと期待しています。

 

オプジーボ®点滴静注の概要


製品名 オプジーボ®点滴静注 20mg、同100mg、同240m
一般名(JAN) ニボルマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果
  • 悪性黒色腫
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
  • がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌
  • がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌
用法及び用量

〈悪性黒色腫〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。
根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌〉

通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。

製造販売 小野薬品工業株式会社
プロモーション提携 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
承認条件 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

※今回の承認による改訂箇所は下線で表示

 

ヤーボイ®点滴静注液の概要


製品名 ヤーボイ®点滴静注液50mg
一般名(JAN) イピリムマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果
  • 根治切除不能な悪性黒色腫
  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌
用法及び用量

〈根治切除不能な悪性黒色腫〉

通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。なお、他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、ニボルマブ(遺伝子組換え)と併用すること。

〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌

ニボルマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1回1mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。

製造販売 ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
プロモーション提携 小野薬品工業株式会社
承認条件 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

※今回の承認による改訂箇所は下線で表示

 

オプジーボについて


オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。

日本では、2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売され、その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん、2018年8月にがん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫および悪性黒色腫の術後補助療法、および2020年2月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がんおよびがん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がんの承認を取得しました。

また、食道胃接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、膀胱がん、膵がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験も実施中です。

 

ヤーボイについて


ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖など、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。

2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性悪性黒色腫を適応として、ヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として50カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。

 

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について


2011年、小野薬品は、BMSと締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。