プレスリリース
米国食品医薬品局が、再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫に対する新たなCAR T細胞療法であるブリストル マイヤーズ スクイブのブレヤンジ(lisocabtagene maraleucel)を承認
がん領域
2021/02/15
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
※本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2021年2月5日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。本プレスリリースに記載されている医薬品情報(本邦未承認情報を含む)は、ブリストル マイヤーズ スクイブに関連する最新情報をステークホルダーの皆様にお知らせするものであり、医薬品のプロモーションや宣伝・広告を目的とするものではありません。
- 三次治療以降の大細胞型B細胞リンパ腫を対象とした最大のピボタル試験であるTRANSCEND NHL 001試験において、ブレヤンジは73%の奏効割合率および54%の完全奏効(CR)割合を示しました。
- ブレヤンジは、CRを達成した患者において持続的な奏効を示しました。
- ブレヤンジの投与後、グレード3以上のサイトカイン放出症候群およびグレード3以上の神経毒性が、それぞれ患者の4%および12%で発現しました。
(ニュージャージー州プリンストン、2021年2月5日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は本日、米国食品医薬品局(FDA)が、原発性中枢神経系リンパ腫を除く1、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)非特定型(インドレントリンパ腫に起因するものを含む)、高悪性度B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、およびグレード3B濾胞性リンパ腫を含む、2種類以上の全身療法による治療歴を有する再発または難治性(R/R)の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の成人患者の治療薬として、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法のブレヤンジ(lisocabtagene maraleucel:liso-cel)を承認したことを発表しました。なお。ブレヤンジは、あらかじめ定められた成分と4-1BB共刺激ドメインを有する、CD19を標的とするCAR T細胞療法です。ブレヤンジは、CD8陽性細胞成分およびCD4陽性細胞成分の成分量のばらつきを抑えるため、あらかじめ定められた成分比で投与されます。4-1BB共刺激ドメインは、ブレヤンジの増殖と持続性を高めます。ブレヤンジは、根治的な治療となる可能性があります。ブレヤンジの単回用量には、50~110×106個のCAR発現生T細胞(CD8およびCD4のCAR発現生T細胞を1対1の割合で含む)が含まれます。サイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性(NT)については、ブレヤンジのBoxed WARNINGSを含む重要な安全性情報をご覧ください。
ブリストル マイヤーズ スクイブのチーフ・メディカル・オフィサーであるサミット・ヒラワット(M.D.)は、次のように述べています。「CAR T細胞療法であるブレヤンジは、臨床現場において重要な役割を果たし、再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんに、個別化治療による持続的な奏効の可能性をもたらします。FDAによる本日の承認は、細胞療法の研究を進展させ、革新的な治療法を開発し、治療のすべての段階で患者さんを支えるべく取り組む私たちの深いコミットメントを反映しています。」
ブリストル マイヤーズ スクイブは、ワシントン州ボセルにある同社最新の細胞免疫療法製造施設において、個別の患者に対するブレヤンジを製造予定です。ブレヤンジはオーダーを受けてから患者への投与まで24日間で完了することを目標にしており、入院または通院による投与を選択することができます。広範な患者アクセスを支援するため、ブリストル マイヤーズ スクイブは、治療施設の大規模なネットワークにわたりブレヤンジを上市予定です。治療施設はリスク評価・緩和戦略(REMS)の認定を受け、適正使用を推進します。また、ブレヤンジはブレヤンジREMSプログラムを介してのみ入手可能です。病院および提携外来クリニックを含む医療施設は、同プログラムに登録の上、REMSの用件を遵守し、CRSおよびNTの管理について訓練を受ける必要があります。ブリストル マイヤーズ スクイブは、患者と医師の治療支援を目的として、デジタルサービスプラットフォーム「Cell Therapy 360」を開設し、関連情報、最新の製造情報、患者さんと介護者向けサポート、通院管理リソースへの最適なアクセスを提供します。ブリストル マイヤーズ スクイブは、治療施設から離れた場所でもスマートフォンでリアルタイムに体温を追跡できるよう、初回投与後のモニタリング期間中の患者に対し、使い捨ての着用型機器を提供します。
TRANSCEND NHL 001試験の治験責任医師であり、マサチューセッツ総合病院リンパ腫プログラムディレクターであるジェレミー・アブラムソン(M.D.、M.M.Sc.)は、次のように述べています。「TRANSCEND NHL 001試験において、ブレヤンジは、再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんの相当数に持続的な奏効をもたらしました。TRANSCEND試験では、外来での投与が実現可能であるという、患者さんや医師、医療制度にとって意義深い結果も示されました。今回の承認により、2種類以上の全身療法を受けた再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんに、新しい重要な治療選択肢を提供できるようになります。」
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、急速に進行する悪性度の高い疾患で、非ホジキンリンパ腫(NHL)の最も一般的な型であり、NHLと診断された患者の3人に1人がDLBCLです2。患者の73%が二次治療以降の治療に奏効しないか、治療後に再発します3。初回治療に奏効しない、または治療後に再発した場合、持続的に奏効する従来の治療選択肢は限られており、余命中央値は約6カ月です3。DLBCLにおける治療目標は、根治的治療によって治癒を目指すことです3。R/R DLBCLの患者さんに対しては、持続的な奏効をもたらす新たな治療選択肢が必要とされています。
リンパ腫研究財団のチーフ・エグゼクティブ・オフィサーであるメーガン・グティエレスは、次のように述べています。「再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫と闘う人々は、身体的にも精神的にも困難な治療に直面しつづけています。ブレヤンジは、患者さんの新たな選択肢となる革新的な治療薬であり、私たちのコミュニティが未来への希望を持ち続ける理由をまた一つ与えてくれました。」
ブリストル マイヤーズ スクイブは、患者さんと介護者のニーズに応えるためのさまざまなプログラムやリソースを提供しているほか、ブレヤンジを含む医薬品の利用を支援しています。
ブレヤンジは、欧州連合において、再発または難治性DLBCLを対象疾患としたPriority Medicines(PRIME)に指定されており、現在、欧州医薬品庁が販売承認申請(MAA)の審査を進めています。
TRANSCEND NHL 001ピボタル試験の結果
FDAによるブレヤンジの承認は、広範な組織学および高リスク疾患の患者を含むR/R LBCLの三次治療以降の治療を対象とした最大のピボタル試験であり、患者286例がブレヤンジの投与を受けたTRANSCEND NHL 001(017001)試験のデータに基づいています。本試験におけるブレヤンジの投与は、入院または外来通院で行われました1。
本試験では、患者192例がCAR T発現生T細胞50~110×106個を用量としてブレヤンジの投与を受け、有効性について評価されました。患者の73%が奏効し(95% CI:67%-80%)、そのうち54%では投与後のリンパ腫の残存が微小または検出不能であり(CR;95% CI:47%-61%)、19%が部分奏効を達成しました(PR;95% CI:14%-26%)。奏効期間の中央値は、奏効を示したすべての患者では16.7カ月(95% CI:5.3 - NR)、CRを達成した患者で未達(95% CI:16.7 - NR)、PRの最良効果を示した患者で1.4カ月(95% CI:1.1 - 2.2)でした。ブレヤンジの投与を受け、CRの最良総合効果を達成した患者104例のうち、65%で最低6カ月にわたり寛解が持続し、62%で最低9カ月にわたり寛解が持続しました。
本試験では、ブレヤンジの投与を受けた患者286例を対象に安全性が評価されました。Leeのグレード判定基準に基づき、全グレードのCRSが患者の46%(268例中122例)で発現しました4。グレード3以上のCRSが、患者の4%(268例中11例)で発現しました。患者1例で致死的なCRSが発現し、患者2例が死亡時にCRSを発症していました。最も一般的なCRSの症状には、発熱(93%)、低血圧(49%)、頻拍(39%)、悪寒(28%)および低酸素症(21%)が含まれました。CRSの発現期間の中央値は5日間(範囲:1~30日)、発症までの期間の中央値は5日間でした(範囲1~15日)。全グレードの神経毒性(NT)が、ブレヤンジの投与を受けた患者の35%(268例中95例)で発現しました。グレード3以上のNTが、患者の12%(268例中31例)で発現しました。患者3例で致死的な神経毒性が発現し、患者7例が死亡時に神経毒性を発症していました。最も一般的なNTの症状には、脳症(24%)、振戦(14%)、失語症(9%)、せん妄(7%)、頭痛(7%)、運動失調(6%)、めまい(6%)が含まれました。神経毒性は、患者95例中81例(85%)で消失し、消失までの期間の中央値は12日間(範囲:1~87日)でした。初回発現までの期間の中央値は8日間(範囲:1~46日)でした1。死亡時またはデータカットオフ時点で神経毒性を発症していた患者を含めた全患者における神経毒性の発現期間の中央値は、15日間(範囲:1~785日)でした。
重篤な副作用が、患者の46%で発現しました。最も一般的な臨床検査値に基づかない重篤な副作用(2%以上)は、CRS、脳症、敗血症、発熱性好中球減少症、失語症、肺炎、発熱、低血圧、めまい、せん妄でした。致死的な副作用が、患者の4%で発現しました。グレードを問わない最も一般的な臨床検査値に基づかない副作用(20%以上)は、疲労、CRS、筋骨格痛、悪心、頭痛、脳症、感染症(不特定病原体)、食欲減退、下痢、低血圧、頻拍、めまい、咳嗽、便秘、腹痛、嘔吐、浮腫でした。
ブレヤンジの適応症および安全性情報について
米国でのブレヤンジの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。
ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して
ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。
ブリストル マイヤーズ スクイブについて
ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTube、FacebookおよびInstagramをご覧ください。
ジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。ブレヤンジの承認は、ジュノ・セラピューティクス社が申請した生物学的製剤承認申請に基づいています。米国以外の幾つかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。
将来予測等に関する記述の注意事項
本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、ブレヤンジが本プレスリリースに記載された適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点、およびそのような製品候補の本プレスリリースに記載された適応症の承認の継続が検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性が含まれます。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2019年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。
参考文献
- Breyanzi Prescribing Information. Bristol Myers Squibb; February 2021.
- American Cancer Society. Types of B cell Lymphoma. Available at: https://www.cancer.org/cancer/non-hodgkin-lymphoma/about/b-cell-lymphoma.html. Accessed February 2021.
- Crump M., et al. Outcomes in refractory diffuse large B-cell lymphoma: results from the international SCHOLAR-1 study. Blood. 2017; 130(16): 1800-1808.
- Lee DW, et al. Current concepts in the diagnosis and management of cytokine release syndrome. Blood. 2014;124:188-195.