プレスリリース
オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注
尿路上皮癌における術後補助療法に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得
がん領域
2022/03/28
小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、本日、小野薬品が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、尿路上皮癌における術後補助療法に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得しましたので、お知らせします。
今回の承認は、根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法として、オプジーボ単剤療法をプラセボと比較した多施設国際共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験であるCheckMate -274試験(ONO-4538-33)の結果に基づいています。本試験において、オプジーボ単剤療法群は、プラセボ群と比較して、主要評価項目である全無作為化患者およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者における無病生存期間(DFS)で統計学的に有意な延長を示しました。全無作為化患者におけるDFSの中央値は、オプジーボ群で20.8カ月、プラセボ群で10.8カ月と、オプジーボ群は、プラセボ群と比較して、2倍近く延長し、再発または死亡リスクを30%低減しました[ハザード比(HR)0.70、98.22%信頼区間(CI):0.55 - 0.90、p=0.0008]。PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるDFSの中央値は、オプジーボ群で未達、プラセボ群で8.4カ月と、オプジーボ群は、プラセボ群と比較して、再発または死亡リスクを45%低減しました(HR 0.55、98.72% CI: 0.35 - 0.85、p=0.0005)。本試験におけるオプジーボ単剤療法の安全性プロファイルは、これまでにオプジーボの固形がんの試験で認められているものと一貫していました。
CheckMate -274試験(ONO-4538-33)について
CheckMate -274試験は、膀胱または上部尿路(腎盂または尿管)が原発である根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者を対象に、オプジーボ単剤療法とプラセボを比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験です。本試験では、オプジーボ単剤(240mg)またはプラセボを2週間間隔で投与する群に1:1の割合で無作為に割り付けられました。投与は再発または忍容できない毒性の発現が認められるまで、あるいは患者が同意を撤回するまで、最長1年間継続されました。本試験の主要評価項目は、無作為化された全ての患者およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者における無病生存期間(DFS)です。主な副次評価項目は、全生存期間、非尿路上皮無再発生存期間および疾患特異的生存期間です。
尿路上皮がんについて
尿路上皮がんは腎盂、尿管、膀胱および尿道に発生する腫瘍で、そのほとんどが膀胱がんです。病理組織学的には膀胱がんの90%以上を尿路上皮がん(移行上皮がん)が占めています1)。日本では、年間約36,900人2)(全世界では約573,200人3))が新たに膀胱がんと診断され、年間約10,900人2)(全世界では約212,500人3))の死亡が報告されています。膀胱がんの標準治療は術前補助化学療法とそれに続く根治的切除術ですが、根治的切除後の経過観察では50%以上が再発すると言われています4)。転移性がんとして再発した患者の予後は不良であることから、再発抑制を目的とした術後補助療法への医療ニーズは高いと考えられています。
参考文献:
1)Lynch CF, Cohen MB. Urinary System. Cancer. 1995;75:316-29.
2)Globocan 2020: Bladder Cancer, Japan, World Health Organization. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf
3)Globocan 2020: Bladder Cancer, World, World Health Organization. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf
4)日本泌尿器科学会編 膀胱癌診療ガイドライン 2019 年版 医学図書出版株式会社
オプジーボ®点滴静注の概要
製品名 |
オプジーボ®点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg |
一般名(JAN) |
ニボルマブ(遺伝子組換え) |
効能又は効果 |
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用法及び用量 |
〈悪性黒色腫〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。 根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。 〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 カボザンチニブと併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 通常、小児にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。なお、体重40kg以上の小児には、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注することもできる。 〈再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、原発不明癌〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。 〈がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌、食道癌における術後補助療法〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、食道癌における術後補助療法の場合は、投与期間は12カ月間までとする。 〈尿路上皮癌における術後補助療法〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、投与期間は12ヵ月間までとする。 |
製造販売 |
小野薬品工業株式会社 |
プロモーション提携 |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 |
※今回の承認による改訂箇所は下線で表示
オプジーボについて
オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
日本では、小野薬品が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の承認を取得しました。
また、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。
小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について
2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
以上