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プレスリリース

CAR T細胞療法「アベクマ®点滴静注」
2つ以上の前治療を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する承認を申請

がん領域

2023/04/17

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

※本プレスリリースに記載されている再生医療等製品情報(本邦未承認情報を含む)は、ブリストル マイヤーズ スクイブに関連する最新情報をステークホルダーの皆様にお知らせするものであり、医薬品のプロモーションや宣伝・広告を目的とするものではありません。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするCAR T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子改変自家T細胞療法)「アベクマ®点滴静注」(一般名:イデカブタゲン ビクルユーセル)について、免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む2つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした効能又は効果の追加に係る再生医療等製品製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。

今回の承認申請は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及びダラツムマブを含む2から4レジメンの前治療歴を有する再発及び難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、アベクマの有効性及び安全性を検討する国際共同第Ⅲ相KarMMa-3試験(BB2121-MM-003試験)の中間解析結果にもとづいています。

多発性骨髄腫は、B細胞から分化した形質細胞ががん化して骨髄腫細胞となり、主に骨髄で増殖する病気です。形質細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守る抗体を作る役割をしますが、形質細胞ががん化して骨髄腫細胞になると、異物を攻撃する能力がない単クローン性免疫ブロブリン(Mタンパク)を産生し続けます。骨髄腫細胞やMタンパクが増えることにより、貧血を主とする造血障害、腎臓障害、溶骨製病変等の多彩な臨床症状が現れます1,2

近年、多発性骨髄腫の治療法は大きく進歩しているものの、初回治療に奏効を示しても、その後再発を繰り替えし、治療を重ねるごとに悪性度が増し、最終的に難治性に進行します3,4,5。主要な薬剤クラスであるプロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38抗体による治療を受けた再発又は難治性の多発性骨髄腫患者の予後は前治療の数に関わらず不良であり、治療選択肢は限られています。また、近年は初回治療または初回再発時の治療に抗CD38抗体と免疫調節薬又はプロテアソーム阻害剤との併用療法を使用する頻度も増加しています。そのため、前治療歴が少ないにも関わらず、これらの薬剤に対して再発又は難治性の多発性骨髄腫患者にも、高い有効性が期待される新規作用機序を有する治療薬が必要とされています。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社研究開発本部長の杉田真は次のように述べています。「弊社では、深刻な病気を抱える日本の患者さんにいち早く新たな治療選択肢をお届けするため、開発中のほぼすべての国際共同臨床試験に参加し、グローバルで同時開発、同時申請を行っています。今回のアベクマの承認申請についても、米国および欧州との同時申請を達成できたことを嬉しく思います。日本においても2つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんに、より早期に、そして米国や欧州から遅れることなく、CAR T細胞療法という選択肢を提供できるようになることを期待しています。」

 

KarMMa-3試験(BB2121-MM-003試験)について


本試験は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む2~4レジメンの前治療歴を有し、直近の治療に難治性であった再発および難治性の多発性骨髄腫患者において、アベクマと標準レジメンを比較評価したピボタルな第Ⅲ相国際共同多施設共同無作為化試験です。患者は、アベクマまたは標準レジメンのいずれかを投与する群に無作為に割り付けられました。標準レジメンは、ダラツムマブ+ポマリドマイド+デキサメタゾン(DPd)、ダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン(DVd)、イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(IRd)、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(Kd)、エロツズマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン(EPd)を含む併用療法で構成され、最新の治療レジメンと医師の判断に基づいて選択されました。本試験の主要評価項目は無増悪生存期間であり、無作為化の時点から最初の病勢進行またはあらゆる原因による死亡のいずれかが最初に認められた時点までと定義されました。主な副次評価項目には、奏効率および全生存期間が含まれます。

 

アベクマについて


アベクマは、ファースト・イン・クラスのB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞免疫療法です。アベクマが多発性骨髄腫細胞の表面にあるBCMAを認識し結合すると、CAR T細胞が増殖することによりサイトカインを放出し、結果としてBCMA発現細胞が融解・殺傷されます。国内では、2022年1月20日に、「アベクマ®点滴静注」として製造販売承認を取得し、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤および抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫に対する適応を有しています。海外においては、米国では2021年3月に、「免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む4つ以上の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者の治療」として、欧州では2021年8月に、「免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤、抗CD38抗体を含む3つ以上の前治療を受け、最後の治療で病勢進行が認められた再発難治性多発性骨髄腫の成人患者さんの治療」として、製造販売承認を取得しています。その他、カナダ、スイス、イギリス等でも製造販売承認を取得しています。また、今回、本試験の結果にもとづいて、日本、米国、欧州において、同時申請が行われています。

参考文献

  1. がん情報サービス「多発性骨髄腫」(2023年1月時点)
    https://ganjoho.jp/public/cancer/MM/index.html
  2. 日本骨髄腫学会編,多発性骨髄腫の診療指針第5版,2020.
  3. Yong K, Delforge M, Driessen C, et al. Multiple myeloma: patient outcomes in real-world practice. Br J Haematol. 2016;175(2):252-64.
  4. Gandhi UH, Cornell RF, Lakshman A, et al. Outcomes of patients with multiple myeloma refractory to CD38- targeted monoclonal antibody therapy. Leukemia. 2019;33(9):2266-75.
  5. Kumar SK, Dimopoulos MA, Kastritis E, et al. Natural history of relapsed myeloma, refractory to immunomodulatory drugs and proteasome inhibitors: a multicenter IMWG study. Leukemia. 2017;31(11):
    2443-8.

 

ブリストル マイヤーズ スクイブについて


ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルバイオファーマ企業です。詳細は、bms.com/jpLinkedInFacebookYouTubeInstagramをご覧ください。