プレスリリース
米国食品医薬品局、局所進行または転移性ROS1陽性非小細胞肺がんの治療薬として、次世代チロシンキナーゼ阻害剤のAugtyro™(レポトレクチニブ)を承認
がん領域
2023/12/04
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
※本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2023年11月15日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。本プレスリリースに記載されている医薬品情報(本邦未承認情報を含む)は、ブリストル マイヤーズ スクイブに関連する最新情報をステークホルダーの皆様にお知らせするものであり、医薬品のプロモーションや宣伝・広告を目的とするものではありません。
本承認は、Augtyroが高い奏効率と持続的な奏効を示した主要なTRIDENT-1試験の結果に基づいています1。
Augtyroは、ブリストル マイヤーズ スクイブの発展を続ける差別化された非小細胞肺がん(NSCLC)のポートフォリオを強化し、プレシジョン・メディシンの分野における同社のプレゼンスを拡大します。
(ニュージャージー州プリンストン、2023年11月15日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:クリス・バーナー)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)が、局所進行または転移性ROS1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者の治療薬として、Augtyro™(レポトレクチニブ)を承認したことを発表しました1。経口薬として投与されるAugtyroは、ROS1発がん性融合遺伝子を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)です1。
本承認は、TKIの投与歴がない患者と投与歴がある患者を対象にAugtyroを評価した第Ⅰ/Ⅱ相非盲検単群TRIDENT-1試験の結果に基づいています2。TKIの投与歴がない患者(71例)において、主要評価項目であり、特定期間の治療により腫瘍の大きさが縮小した(部分奏効)またはがんの兆候が見られなくなった(完全奏効)患者の割合と定義された奏効率(ORR)は、79%(95% 信頼区間 [CI]:68 - 88)でした1,3。奏効期間の中央値(mDOR)は34.1カ月でした。1種類のROS1 TKIの投与歴があり、かつ化学療法の投与歴がない患者(56例)におけるORRは38%(95% CI:25 - 52)、mDORは14.8カ月でした1。ベースラインで測定可能な中枢神経系(CNS)転移を有していた患者では、TKIの投与歴がない群(71例)の8例中7例、TKIの投与歴がある群(56例)の12例中5例で、頭蓋内病変での奏効が認められました1。
TRIDENT-1試験の治験責任医師であり、マサチューセッツ総合病院胸部がんセンターのアテンディングフィジシャン(指導医)、ハーバード大学医学大学院医学助教授のJessica J. Lin(MD)は、次のように述べています。「ROS1融合遺伝子陽性のNSCLC患者さんに対しては、依然として、持続的な治療効果といった重要な臨床目標の達成を支援する新しい治療選択肢が必要とされています4,5,6,7。TRIDENT-1試験で認められたデータにより、レポトレクチニブは、局所進行または転移性ROS1融合遺伝子陽性肺がん患者さんの新しい標準治療となる可能性があります1。」
Augtyroの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:中枢神経系(CNS)への影響、間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎、肝毒性、クレアチンホスホキナーゼ増加を伴う筋肉痛、高尿酸血症、骨折および胚胎児毒性1。詳細は原文リリースの「重要な安全性情報」の項目をご参照ください。
ブリストル マイヤーズ スクイブのエグゼクティブ・バイスプレジデント、最高医療責任者兼グローバル医薬品開発担当であるSamit Hirawat(MD)は、次のように述べています。「NSCLCの治療法は過去十年間で進展したものの、この特に治療困難なタイプに対しては、革新的サイエンスと標的アプローチによる治療法がいまだ必要とされています6,7。ROS1陽性のNSCLC患者さんに対し唯一承認された次世代TKIであるAugtyroは、胸部がんの患者さんに革新的医薬品を提供してきた当社の実績に基づいています6,8,9。」
患者支援団体「ROS1ders」の共同設立者兼プレジデントであるJanet Freeman-Dailyは、次のように述べています。「ROS1陽性のNSCLC患者さんとその家族は、闘病において精神的な負担に直面します。このがんは難治性の場合があり、脳に転移した場合はさらに治療困難であるためです10。本日の承認は、ROS1陽性の患者コミュニティに新しい治療選択肢をもたらし、大切な人とより長い時間を過ごす希望を与えてくれます。」
Augtyroは、ROS1陽性の転移性NSCLC患者において、特定の薬剤耐性の獲得につながる相互作用を最小限に抑えるよう設計されています6,8,11。米国では、2023年12月半ばより利用可能になる予定です。ブリストル マイヤーズ スクイブは、TRIDENT-1臨床試験プログラムにご参加いただいた患者さんおよび治験担当医師の皆様に感謝の意を表明します。
TRIDENT-1試験について
TRIDENT-1は、非小細胞肺がん(NSCLC)を含む進行性固形がん患者を対象に、レポトレクチニブの安全性、忍容性、薬物動態および抗腫瘍活性を評価する国際多施設共同単群非盲検複数コホート第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験です1,2。第Ⅰ/Ⅱ相には、ROS1融合遺伝子を有する局所進行または転移性固形がんの患者が含まれています2。本試験の追加解析が現在も進行中です。無症候性中枢神経系(CNS)転移を有する患者の登録は許容されています1,2。除外基準のひとつとして、症候性の脳転移を有する患者は本試験から除外されました1。同試験の第Ⅰ相で実施した用量漸増に基づき、第Ⅱ相の推奨用量を決定しました2。
本試験の第Ⅱ相の主要評価項目は、奏効率(ORR)です1,2。主な副次評価項目は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の投与歴がない患者と投与歴があるROS1陽性の局所進行または転移性NSCLC患者を含む6つの異なる拡大コホートにおける、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST v1.1)を用いた盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)及び頭蓋内奏効です1,2。
TRIDENT-1では、TKIの投与歴がない患者の79%(95% 信頼区間 [CI]:68 - 88)が治療に奏効し、そのうち6%が完全奏効、73%が部分奏効を達成しました1。奏効期間の中央値(mDOR)は34.1カ月でした1。TKIの投与歴がある患者(56例)で治療に奏効した38%(95% CI:25 - 52)のうち、5%が完全奏効、32%が部分奏効を達成し、mDORは14.8カ月でした1。BICRの評価に基づきベースラインで測定可能なCNS転移を有していた患者では、TKIの投与歴がない群(71例)の8例中7例、TKIの投与歴がある群(56例)の12例中5例で頭蓋内病変での奏効が認められました1。
FDAが承認したAugtyroの用法用量では、160mgを1日1回14日間にわたり経口投与した後、160mgを1日2回に増量し、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続します1。
TRIDENT-1試験における安全性プロファイルの抜粋
患者の8%がAugtyroの投与を完全に中止しました1。患者の48%が有害事象によりAugtyroの投与を中断し、患者の35%が有害事象により投与量を減量しました1。重篤な有害事象がAugtyroの投与を受けた患者の33%で発現しました1。患者の2%以上で発現した重篤な有害事象には、肺炎(5.7%)、呼吸困難(3.8%)、胸水(3.4%)および低酸素症(3%)が含まれました1。Augtyroの投与を受けた患者の4.2%で発現した致死的な有害事象には、死亡、肺炎、誤嚥性肺炎、心停止、心臓突然死、心不全、突然死、低酸素症、呼吸困難、呼吸不全、振戦および播種性血管内凝固が含まれました1。最も多く(20%以上)報告された副作用は、めまい(63%)、味覚異常(48%)、末梢神経障害(47%)、便秘(36%)、呼吸困難(30%)、運動失調(28%)、疲労(24%)、認知障害(23%)および筋力低下(21%)でした1。グレード3のめまいが患者の1.9%で発現しました1。最も多い重篤な有害事象と致死的事象は、TRIDENT-1においてAugtyroの第Ⅱ相推奨用量の投与を受けた患者264例で評価されました1。
肺がんについて
肺がんは、米国においてがんによる死亡の主な原因となっています12。肺がんは、小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類に大きく分類されます12。非小細胞肺がん(NSCLC)は、診断の最大85%を占めています12。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります13。ROS1融合遺伝子の発現はまれであり、NSCLC患者の約1~2%で認められます10。ROS1陽性の腫瘍を有する患者の年齢中央値は50歳と、平均的な肺がん患者よりも若い傾向にあり、男性より女性に多く、喫煙歴はほとんどないかまったくない場合もあります10。ROS1陽性の肺がんは悪性度が高い傾向にあり、脳への転移が多く認められます10。ROS1チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法は、この遺伝子変異を有する患者に対する現在の標準治療です4。
ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して
ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。ヒトの生物学と疾患の関係に対する深い知見、最先端の技術および独自の研究プログラムにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。
がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。
Augtyroの適応症および安全性情報について
米国でのAugtyroの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。
ブリストル マイヤーズ スクイブについて
ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルバイオファーマ企業です。詳細は、BMS.com、LinkedIn、Facebook、YouTube、Instagramをご覧ください。
将来予測等に関する記述の注意事項
本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、Augtyro™(レポトレクチニブ)の本プレスリリースに記載された適応症が商業的に成功する可能性、販売承認が得られた場合にその使用が著しく制限される可能性、Augtyro™(レポトレクチニブ)の本プレスリリースに記載された適応症での承認の継続が検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2022年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。
参考文献
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- Yun MR, Kim DH, Kim SY, et al. Repotrectinib exhibits potent antitumor activity in treatment-naïve and solvent-front-mutant ROS1-rearranged non-small cell lung cancer. Clin Cancer Res. 2020;13(26):3287-3295
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