プレスリリース
骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血の治療薬として、新規作用機序を有するレブロジル®の製造販売承認を取得
がん領域
2024/01/18
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
※本プレスリリースに記載されている情報(本邦未承認情報を含む)は、ブリストル マイヤーズ スクイブに関連する最新情報をステークホルダーの皆様にお知らせするものであり、医薬品のプロモーションや宣伝・広告を目的とするものではありません。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は、本日、レブロジル皮下注用25mg、同75mg(一般名:ルスパテルセプト(遺伝子組換え))について、骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得しました。
レブロジルは、赤血球成熟促進薬として造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導する新規作用機序の治療薬です。
今回の承認は、赤血球輸血依存でIPSS-Rによるリスク分類のVery low、Low又はIntermediateに分類される(以下、低リスク)MDS患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(COMMANDS試験)、海外第Ⅲ相試験(MEDALIST試験)、および赤血球輸血非依存の低リスクMDS患者を対象とした国内第Ⅱ相試験(MDS-003試験)の結果にもとづいています。これらの試験から、レブロジルは赤血球造血刺激因子製剤の治療歴の有無ならびに赤血球輸血依存・非依存に関わらず、低リスクMDS患者の貧血の治療として、臨床的意義の高い効果を示しました。安全性については、いずれの試験でも低リスクMDS患者に対して忍容性があり、十分に管理可能な安全性プロファイルであることが示されました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社研究開発本部長の杉田真は次のように述べています。「今回、レブロジルがMDSに伴う貧血の治療薬として承認されたことを嬉しく思います。MDSに伴う貧血は進行性で、主な支持療法は輸血ですが、輸血の負荷が高くなると低リスクMDS患者さんの生存率を低下させる可能性があることに加え1、頻繁な輸血は時間の拘束や鉄過剰症のリスクという点で患者さんは大きな負担を抱えています。また、これまでMDSに伴う貧血に対する治療選択肢が限られていたことから、貧血の症状があるにもかかわらず、診断されても未治療のまま経過観察をされている方もいます。今回の承認により、レブロジルがMDS患者さん貧血に対する新たな治療選択肢として、症状の改善とQOL向上に貢献できることを期待しています。」
臨床試験について
国際共同第Ⅲ相試験(COMMANDS試験)は、赤血球輸血依存で、赤血球造血刺激因子製剤の治療歴がなく、環状鉄芽球(RS)陽性又は陰性を問わない、IPSS-Rによるリスク分類のVery low、Low又はIntermediateに分類されるMDS患者(366名、日本人患者20名を含む)を対象としたランダム化実薬対照オープンラベル試験です。主要評価項目である24週間以内に連続12週間以上の赤血球輸血非依存(赤血球輸血を必要としない状態)を達成し、かつ平均ヘモグロビン濃度がベースライン値より1.5g/dL以上増加した患者の割合[95%信頼区間]の中間解析結果は、本剤群で58.5%[50.1,66.6](86/147例)、対照群で31.2%[24.0,39.1](48/154例)であり、本剤はエポエチン アルファ(遺伝子組換え)に対して統計学的に有意な改善を示しました[共通リスク差(95%信頼区間)26.6(15.8,37.4)、p<0.0001(Cochran-Mantel-Haenszel検定)](2022年8月31日データカットオフ)。副作用発現頻度は、本剤群で30.3%(54/178例)であり、主な副作用は、悪心5.1%(9/178例)、疲労3.9%(7/178例)、呼吸困難及び高血圧各3.4%(6/178例)でした。
海外第Ⅲ相試験(MEDALIST試験)は、赤血球輸血依存で、赤血球造血刺激因子製剤に対して不応、不耐容又は不適格で、RS陽性の、IPSS-Rによるリスク分類のVery low、Low又はIntermediateに分類されるMDS患者(299名)を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検試験です。主要評価項目である24週間以内に連続8週間以上の赤血球輸血非依存(赤血球輸血を必要としない状態)を達成した患者の割合[95%信頼区間]は、本剤群で37.9%[30.2,46.1](58/153例)、プラセボ群で13.2%[6.5,22.9](10/76例)であり、本剤はプラセボに対して統計学的に有意な改善を示しました[共通リスク差(95%信頼区間)24.6(14.5,34.6)、p<0.0001(Cochran-Mantel-Haenszel検定)](2018年5月8日データカットオフ)。
副作用発現頻度は、本剤群で46.4%(71/153例)であり、主な副作用は、悪心7.2%(11/153例)、疲労5.9%(9/153例)、筋肉痛5.2%(8/153例)、頭痛4.6%(7/153例)、ALT増加3.9%(6/153例)及び下痢3.3%(5/153例)でした。
国内第Ⅱ相試験(MDS-003試験)は、赤血球輸血非依存で、RS陽性又は陰性を問わない、IPSS-Rによるリスク分類のVery low、Low又はIntermediateに分類される患者(21例を対象とした単一群試験です。主要評価項目である、24週間以内に国際ワーキンググループ2006基準に基づく血液学的改善‐赤血球反応(赤血球輸血を受けることなく、連続8週間以上、ヘモグロビン濃度がベースライン値より1.5g/dL以上増加)を達成した患者の割合[95%信頼区間]は、47.6%[25.7,70.2](10/21例)でした。副作用発現頻度は、33.3%(7/21例)であり、主な副作用は、注射部位反応、下痢、口内炎、血中クレアチニン増加、高尿酸血症、高トリグリセリド血症、低リン血症、高血圧、網膜出血及び膀胱炎各4.8%(1/21例)でした。
MDSについて
MDSは、健康な赤血球、白血球、血小板の産生不全を特徴とする、密接に関連した血液がんのグループであり、貧血や頻繁または重篤な感染症を引き起こす可能性があります。2,3。MDSの疾患の経過とともに約80%~90%の患者が貧血を発症します4。貧血を呈するMDS患者の多くは、正常な赤血球の循環量を確保するために定期的に輸血が必要となりますが5、頻繁な輸血によって鉄過剰症、輸血反応、輸血血液からの感染など多くのリスクにさらされ6、輸血の負荷が高くなると低リスクMDS患者の生存率を低下させることが報告されています1。
日本におけるMDSの罹患率は、人口10万人あたり、年間約3.0例と報告されており7、厚生労働省による2020年の患者数調査では、日本のMDS患者の総数は約22,000人と報告されています8。
レブロジルについて
レブロジル(海外での製品名:Reblozyl®)は、2024年1月時点で、β-サラセミアに伴う貧血、または骨髄異形成症候群に伴う貧血に係る効能・効果にて、米国や欧州等の国で承認されています。
【製品概要】
販売名 |
レブロジル皮下注用25mg |
一般名 |
ルスパテルセプト(遺伝子組換え) |
製造販売承認日 |
2024年1月18日 |
効能又は効果 |
骨髄異形成症候群に伴う貧血 |
用法及び用量 |
通常、成人にはルスパテルセプト(遺伝子組換え)として1回1.0mg/kgを3週間間隔で皮下投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回1.75mg/kgを超えないこと。 |
製造販売元 |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 |
参考文献
- Malcovati L, et al. Haematologica. 2006;91:1588–1590
- Mount Sinai. Myelodysplastic Syndrome. Available at: https://www.mountsinai.org/care/cancer/services/mds. Accessed May 2023.
- Myelodysplastic Syndromes Foundation. What is MDS? Available at: https://www.cancer.org/cancer/myelodysplastic-syndrome/about/what-is-mds.html. Accessed May 2023.
- Zeidan AM, Linhares Y, Gore SD. Current therapy of myelodysplastic syndromes. Blood Rev. 2013 Sep;27(5):243-59.
- Johns Hopkins Medicine. Myelodysplastic Syndrome. Available at: https://www.hopkinsmedicine.org/kimmel_cancer_center/types_cancer/myelodysplastic_syndrome.html. Accessed May 2023.
- Rasel M, Mahboobi SK. Transfusion Iron Overload. PubMed. 2021. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562146/. Accessed May 2023.
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録).2020. Available at: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html Accessed May 2023.
- 「政府統計の総合窓口(e-Stat)」.統計で見る日本.患者調査.令和2年度患者調査.閲覧(報告書非掲載表)119表. Available at: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450022&tstat=000001031167&cycle=7&tclass1=000001166809&tclass2=000001166811&tclass3=000001166812&tclass4=000001166814&stat_infid=000032212145&cycle_facet=tclass1%3Atclass2%3Atclass3%3Atclass4&tclass5val=0 Accessed May 2023.
ブリストル マイヤーズ スクイブについて
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