プレスリリース
開発中のORENCIA®の皮下投与が、静脈内投与と同様に疾患活動性を改善することを確認
中等度から重度の関節リウマチ患者におけるORENCIAの皮下投与に関する安全性と有効性のデータが米国リウマチ学会で発表予定
2010/11/17
本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が、11月8日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に再編集したものです。内容とその解釈については原文である英文が優先します。
米国・ニューヨーク-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(本社:米国ニューヨーク、CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は本日、ORENCIA(一般名:アバタセプト)に関する新しい第III相臨床試験データを発表しました。この結果、中等度から重度の関節リウマチ(RA)患者において、ORENCIAの皮下投与群(初回のみローディングドーズとして静脈内投与を1回行い、その後は1週間に1回、開発中のORENCIAの皮下投与を行った群)は、ORENCIAを1カ月に1回静脈内投与した群と同様に疾患活動性を改善することが明らかになりました。疾患活動性の改善は、関節リウマチの病状の改善を評価するACR20を基準として評価されました。ACQUIREスタディ(Abatacept Comparison of Sub(Qu)cutaneous vs. Intravenous in Inadequate Responders to Methotrexate:メトトレキサートに効果不十分な患者におけるアバタセプトの皮下投与と静脈内投与の比較)は、患者1,457人が参加する多国籍共同臨床試験です。ORENCIAは、1週間に1回の皮下投与と1カ月に1回の静脈内投与を選択できるという柔軟性を、医師と関節リウマチ患者に提供する初の生物学的製剤となる可能性を持っています。ACQUIREスタディの結果は、11月6日~11日にアトランタで開催された米国リウマチ学会(ACR:American College of Rheumatology)の年次学術会議で11月10日に発表されました。
ACQUIREスタディでは、ORENCIAの皮下投与が静脈内投与に対して非劣性を示すという主要評価項目が達成されました。6カ月目の時点でACR20を達成した患者の割合は、静脈内投与の75.7%に対して皮下投与では76.1%となりました。重篤な有害事象の発生率は、静脈内投与では4.9%、皮下投与では4.2%となりました。そのうち、重篤な感染症(最も一般的に見られたのは肺炎)の発生率は、静脈内投与の1.4%に対して皮下投与では0.7%であり、悪性腫瘍(最も一般的に見られたのは基底細胞がん)の発生率は、静脈内投与の0.7%に対して皮下投与では0.4%でした。
スタンフォード大学医学部免疫・リウマチ科の内科学教授兼共同学科長であり、試験の主執筆者であるマーク・ジェノベーゼ教授(M.D.)は、「これらの結果は、ORENCIAの皮下投与が患者さんと医師にとって新たな投与オプションを追加し得ることを示しており、大きな意味を持ちます。患者さんと医師にとって、関節リウマチを管理するための治療オプションがあることは重要です」と述べています。
詳細な結果
この多国籍共同二重盲検臨床試験の主要評価項目は、6カ月の時点でACR20反応率の差について、ORENCIAの皮下投与法が静脈投与法に対して非劣性であるかを評価することでした。ACR20は、患者の関節リウマチの症状が少なくとも20%改善したかどうかを評価する一般的な指標です(*1)。6カ月の時点でACR20を達成した患者の割合は、静脈内投与の75.7%に対して皮下投与では76.1%となり、ORENCIAの皮下投与が静脈内投与に対して非劣性であるという主要評価項目が達成されました。副次的評価項目は、ACR50反応率とACR70反応率、HAQ-DI(Health Assessment Questionnaire Disability Index:健康評価質問票を用いた機能障害指数)で評価した身体機能、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:酵素結合免疫吸着法)で評価した免疫原性でした。
試験には、メトトレキサートに効果不十分な中等度から重度の活動性関節リウマチ患者1,457人が参加しました。患者をランダム化し、ORENCIAの皮下投与群(初回のみローディングドーズとして静脈内投与を1回行い、その後はORENCIAの皮下投与(125mgを含有する1.0mLの液剤]を1週間に1回投与する群)と、ORENCIAを静脈内投与(体重1 kgあたり約10 mg相当)で1日目・15日目・29日目とそれ以降4週間に1回投与する試験群のいずれかに割り付け6ヵ月間継続しました。両群ともメトトレキサート(1週間当たり15 mg以上)と併用下で行いました。また両郡とも盲検下で試験を実施するため、ORENCIAの皮下投与群には静脈内注射のプラセボを、静脈内投与群には皮下注射のプラセボを投与しました。6カ月の時点で治療を継続している患者の割合は、静脈内投与群の93.8%に対して皮下投与群では94.2%でした。
6カ月の時点でHAQ-DIの反応(HAQ-DIスコアがベースラインから0.3以上改善と定義)を達成した患者の割合は、静脈内投与群の65.0%に対して皮下投与群では69.8%となりました。6カ月間に有害事象を報告した患者の割合は、静脈内投与群の65.2%に対して皮下投与群では67.0%でした。同じ期間に重篤な有害事象を報告した患者の割合は、静脈投与群の4.9%に対して皮下投与群では4.2%でした。重篤な感染症、悪性腫瘍、既定の自己免疫疾患など、生物製剤による治療を行う際に特に重点が置かれる有害事象の発生率は、静脈内投与群、皮下投与群ともに1.4%以下であり、最も一般的に見られた有害事象は、肺炎、基底細胞がん、乾癬でした。局所的な皮下注射部位の反応の発生率は、プラセボの皮下投与群で2.5%、ORENCIAの皮下投与群で2.6%でした。注射部位反応のために試験を中止した例はありませんでした。ORENCIAによって誘導された抗体は、静脈内投与群の2.3%、皮下投与群の1.1%で見られました。
ORENCIAの皮下投与製剤の開発プログラムについて
第III相開発プログラムは、有効性に関する主要な臨床試験が1試験と安全性に関する3つの臨床試験から構成されます。安全性に関する3つの試験では、ORENCIAの静脈内投与から皮下投与に切り替えた場合の安全性と有効性の評価(ACR学会で発表予定)、ORENCIAの皮下投与を中止および再開した場合の免疫原性、安全性、および有効性の評価(ACR学会で発表予定)、ならびに、ORENCIA単剤療法の免疫原性、安全性、および有効性の評価(発表済み)が行われました。
関節リウマチについて
関節リウマチ(RA)は、関節の内膜(滑膜)の炎症を特徴とする全身性(*2)の慢性自己免疫疾患であり、慢性的な痛み、こわばり、腫脹、疲労(*3)を伴う関節破壊を引き起こします。関節リウマチによって、影響を受けた関節が変形したりずれたりした結果、身体の動きが制限され、機能が低下します(*4)。
100万人以上の米国人を含め(*2)、世界人口の約1%が関節リウマチに罹患しています(*5)。この疾患は男性よりも女性に多く見られ、関節リウマチと診断される患者の75%を女性が占めています(*3)。ORENCIAは、中等度から重度の活動性関節リウマチの成人患者を適応とする治療オプションの1つです。ORENCIAは、単剤療法として、またはTNF拮抗剤以外のDMARDとの併用療法として使用することができます。アナキンラなど、他の関節リウマチ用生物製剤とORENCIAの併用は推奨されません。
<将来予想に関する記述>
本ニュースリリースは、製品の開発に関して、1995年私募証券訴訟改革法で定義されるところの将来予測に関する記述を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関する記述は保証できるものではありません。特に、Orenciaの皮下投与法が規制上の承認を受ける、また承認を受けたとしても商業的に確実に成功するという保証はできません。本ニュースリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2009年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事の結果を問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を持つ患者さんを助けるための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命とする世界的なバイオファーマ企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>をご覧ください。をご覧ください。
- ORENCIAは、日本においては2010年7月に製造販売承認され、9月に販売開始されています。日本における本製品に関する詳しい情報についてはwww.bms.co.jpを参照ください。
- ORENCIAは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の登録商標です。
参考資料
- Felson DT, Anderson JJ, Boers M, Bombardier C, Furst D, Goldsmith C, Katz LM, Lightfoot Jr. R, Paulus H, Strand V, Tugwell P, Weinblatt M, Williams HJ, Wolfe F, Kieszak S; American college of rheumatology preliminary definition of improvement in rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 1995;June;38(6):727-735.
- Helmick CG, Felson DT, Lawrence RC, Gabriel S, Hirsch R, Kwoh CK, Liang MH, Kremers HM, Mayes MD, Merkel PA, Pillemer SR, Reveille JD, Stone JH; National Arthritis Data Workgroup. Estimates of the prevalence of arthritis and other rheumatic conditions in the United States. Part I. Arthritis Rheum. 2008;Jan;58(1):15-25.
- American College of Rheumatology, Practice Management, Rheumatoid Arthritis. Available at: http://www.rheumatology.org/practice/clinical/patients/diseases_and_conditions/ra.asp. Accessed September 2010.
- National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases. National Institutes of Health. U.S. Department of Health and Human Services. Rheumatoid Arthritis. May 2004.
- Lee DM, Weinblatt ME. Rheumatoid Arthritis. The Lancet. 2001;358:903-11.
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