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プレスリリース

SPRYCEL®(一般名:ダサチニブ水和物)
新たに診断された慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病の治療における、イマチニブとの比較試験の追跡結果が12カ月データと一致

2010/12/07

本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と大塚製薬株式会社が、12月6日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に再編集したものです。内容とその解釈については原文である英文が優先します。

  • 米国血液学会議(American Society of Hematology)の第52回年次総会において、18カ月の追跡試験データを発表
  • 本試験の結果により、新たに慢性期のフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病と診断された患者さんの治療における1日1回服用の経口剤という利便性の高い新たな選択肢としてのSPRYCELの医療上の価値を確認

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(本社:米国ニューヨーク州、CEO:ランベルト・アンドレオッティ)と 大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本 太郎)は、新たに慢性期のPh+慢性骨髄性白血病と診断された患者さんを対象とした、SPRYCEL(一般名:ダサチニブ水和物)とイマチニブの効果を評価した第III相臨床試験であるDASISION試験の18カ月の追跡結果を発表しました。本追跡試験の結果は12カ月データと一致し、イマチニブ群(400mg/日)に対しSPRYCEL群(100mg/日)において、継続して高い分子遺伝学的寛解(MMR(*1))および確定した細胞遺伝学的完全寛解(CCyR(*2))が確認されました。本結果は、米国フロリダ州オーランドで開催された米国血液学会議(ASH:American Society of Hematology)の第52回年次総会において12月6日に発表されました。

DASISION試験において最も頻度が高かったSPRYCELの重篤な有害事象として、胸水(2%)、出血(2%)、うっ血性心不全(1%)、発熱(1%)が報告されました。SPRYCEL群およびイマチニブ群の両群で共通して報告された有害事象(≥10%、全グレード)は、表在性浮腫(10%、36%)、胸水(12%、0%)、筋肉痛(22%、38%)、悪心(9%、21%)、嘔吐(5%、10%)、下痢(18%、19%)、疲労感(8%、11%)、頭痛(12%、10%)、発疹(11%、17%)でした(括弧内はそれぞれ、SPRYCEL群、イマチニブ群における発現率)。また、本試験において報告された体液貯留の割合は、SPRYCEL群で23%に対し、イマチニブ群で43%でした。

本追跡試験結果を発表したカリフォルニア大学サンフランシスコ校 血液/腫瘍学部 ニール・シャー(M.D., Ph.D.)助教は、「今回のDASISION試験の追跡結果は、新たに診断されたPh+慢性骨髄性白血病の患者さんの治療の第一選択肢として、SPRYCELの投与を支持することを示す重要な結果といえる。」と述べています。

SPRYCELは、DASISION試験における12カ月間のデータに基づき、「新たに診断された成人のPh+慢性期慢性骨髄性白血病の治療」の効能・効果で、米国食品医薬品局(FDA)より2010年10月28日に適応追加承認されています。12カ月間のDASISION試験の試験結果は、New England Journal of Medicine誌に掲載されるとともに、本年6月に開催された第46回米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)年次総会で発表されました。SPRYCELの有効性は、細胞遺伝学的完全寛解率および分子遺伝学的寛解率に基づいています。長期服用の結果を評価するために、同試験は現在も継続中です。

 

試験結果の詳細について


DASISION試験では18カ月以内に、確定したCCyR(確定したCCyR:28日以上間隔を置いて二回連続してCCyRを評価すること)を達成した患者さんの割合は、イマチニブ群の70%に対し、SPRYCEL群では78%でした(p=0.0366)。また、MMRを達成した患者さんの割合は、イマチニブ群の41%に対し、SPRYCEL群で57%でした(p=0.0002)。移行期または急性期への進行は、スプリセル群で6例であったのに対し、イマチニブ群では9例でした。
一方、SPRYCEL群では胸水(全てのグレード)が12%で報告されたのに対し、イマチニブ群では報告されませんでした。グレード3の胸水の報告は1%未満でした。その他、血小板減少症は、SPRYCEL群で19%、イマチニブ群で10%、好中球減少症は、SPRYCEL群で22%、イマチニブ群で20%でした。

 

DASISION試験の概要について


DASISION (Dasatinib versus Imatinib Study in Treatment-Naïve CML Patients)試験は、新たに慢性期フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病と診断された患者さんの治療において、SPRYCEL 100 mgの1日1回投与と、イマチニブ 400 mgの1日1回投与を比較した非盲検、ランダム化、第III相国際共同臨床試験です。この試験には、519人の患者さんが登録され、259人にSPRYCELが、260人にイマチニブがランダムに割りつけられました。試験の主要評価項目として、12カ月目までの確定したCCyR率、副次評価項目として、確定したCCyRまでの期間、MMR率およびMMRまでの期間が評価されています。

 

慢性骨髄性白血病(CML)について


CMLは、体内で無数の異常な白血球が生成される、ゆっくり進行するタイプの白血病です。統計では、米国で約24,800人がこの病気に罹患しています。2010年には、4,870人が新たにCMLと診断されたと推定されます。 CMLは、2つの異なる染色体の一部分が切断され、相互に転座することによって発症します。この新たに生じた染色体はフィラデルフィア染色体と呼ばれ、bcr-abl遺伝子という異常な遺伝子を含んでいます。この遺伝子は、体内で異常な白血球細胞を過剰に産生させるBCR-ABLタンパク質を生成します。CMLを引き起こす遺伝子変化の原因は明らかにはなっていません。

*ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と大塚製薬株式会社は、米国、日本および主要ヨーロッパ諸国におけるSPRYCELの販売に関して提携しています。SPRYCELは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によって創薬、開発されました。日本におけるスプリセルの概要に関しては、以下の「ご参考」をご確認ください。

  1. 分子遺伝学的寛解(MMR)とは、末梢血のリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RQ-PCR)で測定したBCR-ABL転写レベルが0.1%以下(3 log以上の減少)と定義されます。
  2. 細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)とは、骨髄細胞の細胞遺伝学的評価でフィラデルフィア染色体陽性の分裂中期細胞がない状態と定義されます。

【ご参考:日本におけるスプリセルの概要】

製品名 「スプリセル®錠20mg」及び「スプリセル®錠50mg」
一般名 ダサチニブ水和物
製造販売承認日 2009年1月21日
製造販売元 ブリストル・マイヤーズ株式会社
効能又は効果 1.イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
2.再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
用法及び用量 1.イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
(1) 慢性期
通常、成人にはダサチニブとして1日1回100 mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(2) 移行期又は急性期
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。
2.再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
通常、成人にはダサチニブとして1回70 mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回90 mgを1日2回まで増量できる。

 

 

会社概要


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(Bristol-Myers Squibb Company)
設立:1989年
代表者:CEO Lamberto Andreotti (ランベルト・アンドレオッティ)
所在地:345 Park Avenue, New York, NY, U.S.A.
従業員数:30,000名
ウェブサイト:www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>

 

大塚製薬株式会社 (Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.)
設立:1964年8月10日
資本金:200億円
代表者:代表取締役社長 岩本 太郎 (いわもと たろう)
本社所在地:〒101-8535 東京都千代田区神田司町2丁目9番地
従業員数:5,826名 (2010年3月31日現在)
事業内容:医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造、製造販売、販売、輸出並びに輸入