プレスリリース
新規経口抗凝固薬アピキサバン
心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制を評価する
ワルファリンとの比較試験(ARISTOTLE試験)の日本人サブ解析結果が発表
日本人患者群においても、試験全体と一貫した有効性と安全性が示された
2012/03/22
- 3月18日に実施された第76回日本循環器学会学術集会のレイト・ブレイキング・クリニカル・トライアルズにおいて、心房細動患者を対象とした第III相臨床試験であるARISTOTLE(アリストテレス)試験の日本人サブ解析結果が発表
- 脳卒中及び全身性塞栓症の発現率は、ワルファリン群で1.67%に対しアピキサバン群は0.87%で、大出血はワルファリン群5.99%に対しアピキサバン群1.26%。全出血イベントではワルファリン群と比較して、アピキサバン群で40%の有意なリスク減少が示された
ブリストル・マイヤーズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO:エマニュエル・ブリン)とファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:梅田一郎)は、少なくとも1つの脳卒中リスク因子を有する心房細動患者18,201人を対象とし、脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に関してアピキサバンをワルファリンと比較した第III相臨床試験(アリストテレス試験)に参加した日本人患者336人に対するサブ解析の主要結果を発表しました。本サブ解析において、有効性の主要評価項目である脳卒中及び全身性塞栓症の発現率は、ワルファリン群で1.67%に対し、アピキサバン群は0.87%であり、大出血(ISTH基準)においてもワルファリン群5.99%に対しアピキサバン群1.26%とアリストテレス試験の全体結果と一貫した有効性と安全性が示されました。また、全出血の発現においては、ワルファリン群40.13%に対し、アピキサバン群20.95%、ハザード比0.60( 95%信頼区間0.42-0.85)の有意な減少が認められ、アピキサバンの日本人心房細動患者に対する出血性イベントの発現率低下が認められました。
ARISTOTLE試験
ARISTOTLE試験(Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation)は、1つ以上の追加的な脳卒中リスク因子を持つ心房細動患者18,201人を対象とした多施設共同のランダム化二重盲検比較試験です。被験者のCHADS2スコアは平均2.1でした。患者は、アピキサバン 5 mg 1日2回投与群(n=9,120)(一部の患者については2.5 mg 1日2回投与)、またはINR(国際標準化比)が2.0~3.0となるように用量調整を行ったワルファリン投与群(n=9,081)のどちらかにランダムに割り付けられました。
試験の主な評価項目は段階的に解析を行っていくことが予め定義されており、脳卒中または全身性塞栓症の評価項目に関する非劣性、脳卒中または全身性塞栓症の評価項目に関する優越性、大出血に関する優越性、全死亡に関する優越性について、アピキサバンとワルファリンを比較する統計学的な検定がなされ、有効性の解析には、ランダム化されたすべての患者が含まれました(「ITT」解析)。その結果、アピキサバンを使用した場合、ワルファリンを使用した場合と比べて、脳卒中または全身性塞栓症のリスクが21%、大出血のリスクが31%、さらに全死亡のリスクが11%統計的に有意に低下したことが示されました。
ARISTOTLE試験の日本を対象にしたサブ解析結果
ARISTOTLE試験へは日本から336人の心房細動患者が登録されました。日本人被験者のCHADS2リスクスコアは平均2.0でした。患者は、アピキサバン 5 mg 1日2回投与群(n=161)(一部の患者については2.5 mg 1日2回投与)、またはワルファリン投与群(n=175)のどちらかにランダムに割り付けられました。
2012年度の財務見通し
ARISTOTLE試験へは日本から336人の心房細動患者が登録されました。日本人被験者のCHADS2リスクスコアは平均2.0でした。患者は、アピキサバン 5 mg 1日2回投与群(n=161)(一部の患者については2.5 mg 1日2回投与)、またはワルファリン投与群(n=175)のどちらかにランダムに割り付けられました。
心房細動について
心房細動は、最も一般的な不整脈(不規則な心拍)です。日本には約73万人(*1)が心房細動を発症していると推定され、40歳以上では、心房細動の生涯リスクは約4人に1人と推定されています。心房細動における医学的に最も重大な問題は脳卒中発症リスクが上昇することであり、心房細動の患者は、心房細動のない人と比較して脳卒中発症リスクが5倍に高まります。日本では、脳卒中全体の約25%は心房細動が原因で発生しています。(*2)
アピキサバンについて
アピキサバンは、待機的股関節または膝関節置換術後の成人患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の発症抑制の適応において、2011年5月にEUの27カ国において承認されました。日本においては2011年12月に、非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制に関する製造販売承認申請を行いました。本適応に関しては、どの国においても承認されておりません。
CHADS2スコアについて
CHADS2スコアとは、非弁膜症性心房細動患者の脳卒中リスクを評価する指標です。CHADS2とは、Congestive heart failure(うっ血性心不全)、Hypertension(高血圧)、Age(年齢:75歳以上)、Diabetes(糖尿病)、Stroke or TIA(脳卒中または一過性脳虚血発作の既往)の頭文字で、うっ血性心不全、高血圧、年齢(75歳以上)、糖尿病をそれぞれ1点、脳卒中またはTIAの既往を2点として計算し、その合計点がCHADS2スコアとなります。CHADS2スコアの点数が高いほど脳卒中リスクが高いとされます。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社の提携
2007年、ファイザー社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によって発見された経口抗凝固剤であるアピキサバンの開発および販売に関し、世界的な提携契約を締結しました。この世界的提携によって、長年にわたるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の心血管疾患治療薬の開発および販売の実績と、この領域におけるファイザー社のグローバルな規模および専門知識を結集することになります。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を持つ患者さんを助けるための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命とする世界的なバイオファーマ企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>、又はツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。
ファイザー社について:より健康な世界の実現のために
ファイザー社では、あらゆるライフステージにおける健康と福祉の向上を目指し、科学、そして当社のグローバルのリソースを活用しています。ヒト、動物用の医薬品の発見、開発および製造における品質、安全性、価値に関して高い基準を設ける努力を続けています。当社の多角化したグローバルなヘルスケア製品のポートフォリオには、ヒト、動物用の生物学的製剤および低分子化合物、ワクチンと共に、栄養管理製品や世界でも知名度の高い多くの一般消費者向けの製品が含まれています。毎日の生活のなかで、ファイザー社のスタッフは先進国や新興国市場で業務に携わり、今の時代に最も恐れられている病気と闘うため、福祉、予防、治療などの進歩に努めています。世界をリードするバイオ医薬品企業としての責務を果たすべく、当社は医療従事者、政府、そして地域のコミュニティと協力して、世界中で信頼性が高く適切なヘルスケアを支援し拡大していきます。150年以上もの間、ファイザー社は当社を信頼してくださる全ての方々のために、少しでもよい結果をもたらすことができるように事業に取り組んで参りました。当社の取り組みの詳細はホームページをご覧ください。 www.pfizer.com(Pfizer Inc)www.pfizer.co.jp (ファイザー株式会社)
- 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2008年改訂版)(日本循環器学会)
- 脳卒中治療ガイドライン2009 (脳卒中学会)