プレスリリース
欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2014)において進行期悪性黒色腫患者におけるYervoy®(一般名:イピリムマブ)治療歴を有する患者さんに対するオプジーボ(一般名:ニボルマブ)の肯定的な第3相臨床試験データを発表
2014/09/30
※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2014年9月29日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。
PD-1免疫チェックポイント阻害薬に関する初めての第3相臨床試験結果のプレゼンテーション
- 奏効率は、オプジーボ群で32%、対照群となる化学療法群で11%
- オプジーボ群では、奏効例の大部分(95%)が継続中であり、奏効期間中央値は未達
- 全観察期間における有害事象発現率はオプジーボ群が化学療法群を下回った
オプジーボ群の薬剤性有害事象は、推奨される対処法アルゴリズムを用いて管理された
(ニュージャージー州プリンストン、2014年9月29日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:アメリカ・ニューヨーク/CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は本日、Yervoy®(一般名:イピリムマブ)の治療歴を有する進行期悪性黒色腫患者を対象とした、PD-1免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)と治験担当医師が選択した化学療法(ICC)を比較する第3相無作為化非盲検試験であるCheckMate-037試験の肯定的な結果を発表しました。
Co-primary endpointのひとつである6カ月以上追跡した患者の奏効率(ORR)は、あらかじめ計画されていた中間の解析に基づき、オプジーボ群(n=120)で32%(95% CI = 24, 41)でした。ICC群(n=47)のORRは11%でした(95% CI = 4, 23)。オプジーボ群では、奏効例の大部分(95%)が継続中であり、奏効期間中央値には達しませんでした。ORRは、RECISTに基づいて独立放射線評価委員会(IRRC)によって評価されました。これらのデータは、本日マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2014)の記者会見で取り上げられました。また、本日午後4時(中央ヨーロッパ夏時間)に同学会のプレジデンシャル・シンポジウムで発表される予定です(抄録番号LBA3_PR)。
モフィットがんセンターのドナルド・A・アダム総合メラノーマ研究センター所長のジェフリー・S・ウェーバー博士(MD、PhD)は、「これらのデータは、PD-1免疫チェックポイント阻害薬の第3相無作為化試験の結果としては初めてプレゼンテーションされるものであり、重要な意味を持ちます。また、オプジーボ群の奏効率と奏効期間は、治療歴を有する進行期悪性黒色腫における第1相臨床試験(Study-003)の結果と一致しています」と述べています。
また、オプジーボ群(n=268)とICC群(n=102)の全例について、安全性が報告されました。オプジーボと関連のある有害事象(AE)は、大部分がグレード1または2であり、推奨される対処法アルゴリズムを用いて管理されました。グレード3または4の薬剤性有害事象の発現率は、オプジーボ群の方が低いと報告されました(ICC群の31%に対して、オプジーボ群では9%)。重篤なグレード3または4の薬剤性有害事象は、オプジーボ群5%、ICC群9%と報告されました。オプジーボによるグレード3または4の間質性肺炎(炎症性の肺疾患)は報告されませんでした。薬剤性有害事象(グレードを問わず)による試験中止は、オプジーボ群2%、ICC群8%で、毒性に関連した死亡例は報告されませんでした。
腫瘍領域担当シニア・バイスプレジデント兼開発責任者であるマイケル・ジョルダーノは、「今回の、進行期悪性黒色腫患者さんに対するオプジーボに関する2回目となる肯定的な第3相臨床試験結果により、この疾患における腫瘍免疫の可能性をより深く理解することができるようになりました。これらの結果は、腫瘍免疫療法の可能性に対する私たちの信念を強固にするものです。今後も、さまざまな治療段階の進行期悪性黒色腫に対して、オプジーボを単剤療法および併用療法の一部として評価する幅広い開発プログラムを継続していきます」と述べています。
2014年6月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、未治療のBRAF野生型進行期悪性黒色腫(メラノーマ)を対象とし、オプジーボとダカルバジンを比較する第3相無作為化二重盲検比較試験(CheckMate-066試験)を早期に中止したことを発表しました。これは、独立データモニタリング委員会によって実施された評価から、オプジーボ群の全生存期間は対照群よりも優れているというエビデンスが明らかになったためです。当社は、CheckMate-066試験の結果の発表および論文公表について、治験担当医師と共に取り組んでいます。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、保健当局の承認を取得した場合のnivolumabの商標として、オプジーボ(Opdivo)の名称を申請しています。
Checkmate 037試験について
Checkmate-037試験は、奏効率(ORR)を評価し、オプジーボと治験担当医師が選択した化学療法(ICC)と全生存期間(OS)を比較することを目的として設計された第3相無作為化非盲検試験(n=370)です。試験に参加した患者さんは、疾病進行まで、あるいは許容できない毒性が生じるまで、体重1 kgあたりオプジーボ3 mgを2週間に1回静脈内投与する試験群(n=268)、またはICC(ダカルバジン 1000 mg/m2を3週間に1回、またはカルボプラチンAUC6 + パクリタキセル175 mg/m2を3週間に1回投与する)対照群(n=102)のどちらかに2:1の比率で無作為に割り付けられました。患者は、PD-1リガンド発現、BRAFの状態(野生型または変異型)、およびYervoyによる前治療に対する最良効果に基づいて分類されました。試験のCo-primary endpointは、奏効率と全生存期間です。RECIST1.1に基づいて独立放射線評価委員会(IRRC)によって評価された奏効率は、無作為化後9週目と、最初の12カ月間は6週間ごとに、それ以降は12週間ごとに評価されました。全生存期間の中間解析は、奏効率の解析時点ではまだ行われていません。
オプジーボについて
がん細胞は、チェックポイント経路などの「制御」経路を悪用して免疫系から身を隠し、腫瘍が免疫系から攻撃されないようにします。オプジーボは、活性T細胞に発現するチェックポイント受容体PD-1(programmed death-1)に結合する完全ヒトPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、世界中の7,000人以上の登録患者さんを対象とし、オプジーボを複数のがん種において単剤療法または他の治療薬との併用療法として検討する35以上の臨床試験から構成される幅広いグローバル開発プログラムを展開しています。これらの臨床試験には、非小細胞肺がん(NSCLC)、悪性黒色腫、腎細胞がん(RCC)、頭頸部がん、神経膠芽細胞腫、および非ホジキンリンパ腫に関する承認申請資料として利用される可能性がある複数の臨床試験があります。
2013年には、非小細胞肺がん、悪性黒色腫、腎細胞がんにおいて、米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック(優先承認審査)の指定を受けました。2014年4月、当社は、3次治療の扁平上皮細胞非小細胞肺がん(NSCLC)に関し、段階的申請を開始しました。申請は、年末までに完了する見込みです。2014年5月には、自家幹細胞移植やブレンツキシマブ ベドチン治療が不応となったホジキンリンパ腫において、FDAよりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けました。7月4日、小野薬品工業は、根治切除不能な悪性黒色腫患者の治療薬として、日本でオプジーボの製造販売承認を取得したことを発表しました。これにより、オプジーボは、世界で初めて規制当局の承認を取得したPD-1免疫チェックポイント阻害薬となりました。9月26日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、FDAが同薬の生物学的製剤承認申請(BLA)を、治療歴を有する進行期悪性黒色種に関して優先審査の対象として受理したことを発表しました。処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく目標期日は、2015年3月30日です。また、同適応に関し、FDAよりブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けました。欧州連合(EU)においては、欧州医薬品庁(EMA)が進行期悪性黒色種におけるオプジーボの販売承認申請(MMA)を受理しました。この申請については、すでにEMAの医薬品委員会(CHMP)による迅速評価の対象に指定されています。
進行期悪性黒色腫について
悪性黒色腫は、皮膚にある色素産生細胞(メラノサイト)の無秩序な増殖を特徴とする皮膚がんの一形態です。転移性悪性黒色腫は、この病気の中でも最も致死性が高く、皮膚表面だけでなく、他の臓器(リンパ節、肺、脳、その他の部分)にもがんが転移した状態です。悪性黒色腫の発症率は、少なくとも過去30年間にわたり上昇しています。2012年には、全世界で推定232,130人※が悪性黒色腫と診断されました。悪性黒色腫は、早期の段階に治療すれば大部分が治癒可能です。しかし、末期の段階になると、過去の平均生存期間はわずか6ヵ月間、1年死亡率は75%であり、最も悪性度の高いがんの1つとなっています。
※GLOBOCAN2012より
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の腫瘍免疫領域への取り組みについて
過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、殺細胞薬または分子標的治療による治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、生存期間の改善や生活の質の向上はなかなか得られないものでした。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を主とした薬剤による、腫瘍免疫療法という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな相補的経路を標的とした腫瘍免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの生存期間の改善やがんとともに生きる患者さんの生活の質の向上を目標に、腫瘍免疫学の科学の発展に尽力しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について
2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、重篤な疾患を持つ患者を治療するための革新的な医薬品を発見、開発し、提供することを使命とする世界的な製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述
本プレスリリースは、医薬品の研究、開発、および販売について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、オプジーボが米国で規制当局の承認を受ける、また承認を受けたとしても商業的に確実に成功するという保証はできません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2013年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。