プレスリリース
米国食品医薬品局(FDA)がオプジーボ(一般名:ニボルマブ)を、治療歴を有する転移性肺扁平上皮がんで承認
2015/03/05
小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ スクイブ
※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2015年3月4日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。
- オプジーボは治療歴を有する患者さんの生存期間延長を示した最初のがん免疫療法薬です。
- CheckMate -017試験で治療歴を有する肺扁平上皮がんにおける全生存期間の延長というベンチマーク目標を達成
(ニュージャージー州プリンストン、2015年3月4日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国・ニューヨーク/CEO:ランベルト・アンドレオッティ)は本日、米国食品医薬品局(FDA)が、プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行が認められた転移性肺扁平上皮がん患者の治療を適応として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)点滴静注を承認したことを発表しました。オプジーボは治療歴を有する転移性肺扁平上皮がん患者さんの全生存期間延長を示した最初のヒト型抗ヒトPD-1(programmed death receptor-1)モノクローナル抗体です。オプジーボは第Ⅲ相臨床試験のあらかじめ計画されていた中間解析において、ドセタキセルに対して、死亡リスクの41%低減(ハザード比:0.59 [95%信頼区間:0.44, 0.79、p=0.00025]という、全生存期間の大幅な改善を示しました。全生存期間の中央値はオプジーボ群の9.2か月(95%信頼区間:7.3, 13.3)に対し、ドセタキセル群は6か月(95%信頼区間:5.1, 7.3)でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社CEOのランベルト・アンドレオッティは次のように述べています。「ブリストル・マイヤーズ スクイブは肺がん患者さんにコミットしており、治療歴を有する転移性肺扁平上皮がん患者さんに初めてのがん免疫療法薬としてオプジーボを提供できることをうれしく思っています。なぜなら、肺がんは米国で最も罹患率の高いがん腫の一つであり、死亡率も高く、生存期間を延長させる治療法に対する高いニーズがあります。私たちはこのアンメットニーズを満たす可能性がある新しい治療法の開発に協力をして頂いた多くの患者さんや医療従事者に感謝しています」。
本承認はオプジーボにとって、前回の3か月前に続き、米国で2つ目の承認であり、CheckMate -017試験およびCheckMate -063試験を根拠としています。
オプジーボと関連した免疫介在性副作用は、肺臓炎、大腸炎、肝炎、腎炎、腎機能障害、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、その他の副作用と、胚・胎児毒性です。下記の「重要な安全性情報」をご参照ください。
第III相臨床試験において標準治療に対して生存期間で優位性を示した
CheckMate -017試験は、プラチナ製剤を含む化学療法の2剤併用療法の治療中または治療後に進行が認められた転移性肺扁平上皮がん患者さんを対象とした、オプジーボ群(2週間ごとに3mg/kgを60分以上かけて点滴投与)135名と、標準治療であるドセタキセル群(3週間ごとに75mg/m2を点滴投与)137名を比較する、第III相非盲検無作為化国際多施設共同臨床試験です。本試験は被験者のPD-L1(programmed death ligand-1)発現の有無に関わらず登録されました。試験の主要評価項目は全生存期間(OS)でした。2015年1月、オプジーボがドセタキセルに対して全生存期間の延長を示し、試験の主要評価項目を達成したとの独立データモニタリング委員会(DMC)による評価により、試験は早期終了されました。あらかじめ計画されていた中間解析は199例(最終解析予定症例数の86%)が確認された時点で行われました(オプジーボ群86例、ドセタキセル群113例)。
オプジーボは治療歴を有する転移性肺扁平上皮がん患者さんに対して15年以上標準治療となっている治療法に対して、全生存期間の優位性を示した、FDAに承認された単剤療法です。全生存期間の中央値はオプジーボ群(95%信頼区間:7.3, 13.3)の9.2か月に対し、ドセタキセル群(95%信頼区間:5.1, 7.3)は6か月でした。ハザード比は0.59(95%信頼区間:0.44, 0.79、p=0.00025)でした。このハザード比は、オプジーボがドセタキセルに対して死亡リスクを41%低減したことを表しています。
エモリー大学ウィンシップがん研究所メディカル・オンコロジーの教授 兼 ディレクターのスレシュ・ラマリンガム医学博士は次のように述べています。「治療歴を有する転移性肺扁平上皮がん患者さんの治療においてこれまでにない成果を示し、これまでの化学療法に置き換わる可能性があるオプジーボのFDAによる承認により、全く新しい治療法が登場したことになります。今回のマイルストーン達成は、治療が難しい患者さんに対して著しく効果的であるかもしれないという、長年待ち望まれたがん免疫療法薬への期待を結実させるものです」。
CheckMate -063試験およびオプジーボの安全性プロファイルについて
肺扁平上皮がんにおけるオプジーボの安全性プロファイルは、プラチナ製剤および1つ以上の化学療法での治療後に進行が認められた転移性肺扁平上皮がん患者117名に対してオプジーボを単剤投与する第Ⅱ相単群非盲検国際多施設共同臨床試験であるCheckMate -063試験によって確立されました。被験者はオプジーボを2週間ごとに3mg/kgを60分以上かけて点滴投与されました。本試験は被験者のPD-L1発現の有無に関わらず登録されました。最も多く(患者さんの20%以上)報告された副作用は、疲労(50%)、呼吸困難(38%)、筋骨格痛(36%)、食欲減退(35%)、咳(32%)、吐き気(29%)、そして便秘(24%)でした。重篤な副作用はオプジーボ投与群の59%で報告されました。患者群の2%以上で報告された副作用の内、最も多く報告された重篤な副作用は呼吸困難、肺炎、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺臓炎、高カルシウム血症、胸水、喀血、そして痛みでした。患者群の27%で、副作用によりオプジーボの投与は中止されました。オプジーボ投与群の29%で副作用により投与が延期されました。
全患者に対する最短10か月の追跡調査により、試験の主要評価項目である奏効率(ORR)は15%(117名中17名、95%信頼区間=9, 22)と確認され、その全てが部分奏効でした。オプジーボ投与開始後の奏効を始めるまでの中央値は3.3か月(1.7か月~8.8か月の幅)でした。オプジーボ奏効患者の76%(17名中13名)で、+1.9か月から+11.5か月の効果持続が見られ、奏効継続中でした。17名中10名(59%)で、6か月以上の効果持続が見られました。
Lungevity Foundationの代表 兼 会長のアンドレア・フェリスは次のように述べています。「治療歴を有する転移性肺扁平上皮がんを適応とするオプジーボの承認は、この致死性の病気と闘う患者さんの生存期間を延長する上で大きな前進です。がん免疫療法薬が上市され、私たちの患者さんに対して治療の選択肢や希望を届けられることを非常にうれしく思っています。患者さんに対して、こんなにも早く、この重要で、がん免疫療法としては初めてとなる承認を実現したFDAとブリストル・マイヤーズ スクイブの努力を称賛したいと思います」。
肺がんについて
米国において、肺がんはがんによる死亡の主要な原因となっています。非小細胞肺がんは肺がん全体の約85%を占める、最も一般的な分類です。肺扁平上皮がんは肺がん全体の約25~30%に相当します。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。ステージIVの非小細胞肺がんでは、5年生存率は1%です。
オプジーボの臨床開発プログラムについて
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、世界中で7,000人以上が参加し、オプジーボを複数のがん腫において単剤療法または他の治療薬との併用療法として検討する、50以上の臨床試験から構成される幅広いグローバル開発プログラムを展開しています。
オプジーボの適応症および重要な安全性情報
※本項目の内容は米国での承認に際しての情報であり、日本国内には適用されません。
詳細は、米国におけるオプジーボの処方情報の全文をご覧ください。
適応症
- オプジーボ®(ニボルマブ)は、プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行が認められた転移性肺扁平上皮がん患者の治療を適応としています。
免疫介在性肺臓炎
- オプジーボの投与に関連し、致命的なケースを含む重度の肺臓炎または間質性肺炎が報告されました。固形がんを有する臨床試験被験者691例において、致命的な免疫介在性肺臓炎は、オプジーボ群の0.7%(691例中5例)で報告されました。試験3では、報告されませんでした。試験3では、免疫介在性肺臓炎がオプジーボ群の6%(117例中7例)で報告され、うち5例がグレード3、2例がグレード2でした。肺臓炎の徴候や症状がないか、患者さんをモニターしてください。グレード2以上の肺臓炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード3または4の肺臓炎については、オプジーボの投与を完全に中止し、グレード2については、肺臓炎が消失するまでオプジーボの投与を中断してください。
免疫介在性大腸炎
- 試験3では、オプジーボ群の21%(117例中24例)で下痢が報告されました。オプジーボ群の0.9%(117例中1例)で免疫介在性大腸炎が報告されました。免疫介在性大腸炎について、患者さんをモニターしてください。グレード2(5日間以上持続した場合)、3、または4の大腸炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2または3については、オプジーボの投与を中断します。グレード4または再発性の大腸炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性肝炎
- 試験3における肝機能検査値異常は、AST上昇(16%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇(12%)、総ビリルビン上昇(2.7%)となりました。投与前、および投与期間中は定期的に、肝機能検査値異常がないかどうかモニターしてください。グレード2以上のトランスアミナーゼ上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を中断し、グレード3または4の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性腎炎および腎機能障害
- 試験3におけるクレアチニン値上昇は、22%でした。の免疫介在性腎機能障害(グレード2)は、被験者の0.9%(117例中1例)で報告されました。投与前、および投与期間中は定期的に、血中クレアチニン上昇が見られないかどうかモニターしてください。グレード2または3の血中クレアチニン上昇については、オプジーボの投与を中断し、副腎皮質ホルモン剤を投与します。悪化した場合、または改善が見られない場合は、オプジーボの投与を完全に中止してください。グレード4の血中クレアチニン上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与し、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症
- 試験3では、甲状腺機能低下症は、オプジーボ群の4.3%(117例中5例)で報告されました。甲状腺機能亢進症は、オプジーボ群の1.7%(117例中2例)で報告され、うち1例はグレード2でした。投与前、および投与期間中は定期的に甲状腺機能をモニターしてください。甲状腺機能低下症については、ホルモン補充療法を行います。甲状腺機能亢進症については、コントロールのために医学的管理を開始してください。
その他の免疫介在性副作用
- 臨床的に重大な免疫介在性副作用として、副腎機能障害、ぶどう膜炎、膵臓炎、顔面および外転神経不全麻痺、脱髄、自己免疫性神経障害、運動機能障害、血管炎がオプジーボ群の2%未満で報告されました。オプジーボが3 mg/kgおよび10 mg/kg投与された複数の臨床試験において、臨床的に重大な免疫介在性副作用として下垂体炎、糖尿病性ケトアシドーシス、下垂体機能低下症、ギランバレー症候群、筋無力症候群が新たに認められました。副作用の重篤度に基づき、オプジーボの投与を中断し、高用量副腎皮質ホルモン剤を投与し、必要に応じてホルモン補充療法を開始してください。
胚・胎児毒性
- 作用機序に基づき、オプジーボは、妊婦に投与すると胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠中の女性には、胎児へのリスクを説明してください。妊娠の可能性がある女性には、オプジーボの投与を受けている期間、および最後にオプジーボを投与してから少なくとも5カ月間は、効果的な避妊法を用いるよう助言してください。
授乳
- オプジーボの母乳中への移行については確認されていません。抗体を含む多くの薬剤は母乳に移行します。オプジーボは、授乳中の乳児に重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、治療中は授乳を中止するよう助言してください。
重篤な副作用
- 試験3では、重篤な副作用は、オプジーボ群の59%で報告されました。患者群の2%以上で報告された副作用の内、最も多く報告された重篤な副作用は呼吸困難、肺炎、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺臓炎、高カルシウム血症、胸水、喀血、そして痛みでした。
一般的な副作用
- 試験3で、オプジーボ群で最も一般的に(20%以上)報告された副作用は、疲労(50%)、呼吸困難(38%)、筋骨格痛(36%)、食欲減退(35%)、咳(32%)、吐き気(29%)、そして便秘(24%)でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。