プレスリリース
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社 ニボルマブ(オプジーボ、Nivolumab BMS)について治療歴を有する進行期肺扁平上皮がん患者の治療薬としてEUのCHMPから肯定的見解を受ける
2015/05/26
小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ株式会社
※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2015年5月22日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。
- ニボルマブは進行期非小細胞肺がんに関して医薬品委員会(CHMP)から肯定的見解を受けた 初めてのPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。
- 肯定的見解は、全生存期間の延長を示したCheckMate -017試験の結果に基づいています。
- ニボルマブに関するCHMPの肯定的見解は、2015年4月に受けた進行期悪性黒色腫に次いで2件目となります。
(ニュージャージー州プリンストン、2015 年5月22日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は、本日、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が、PD-1免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブは、成人における化学療法治療後の局所進行性または転移性の肺扁平上皮がんの治療薬として承認されるべきとの肯定的見解を採択したことを発表しました。この肯定的見解は今後、欧州連合(EU)で医薬品を承認する権限を持つ欧州委員会によって審査されます。
腫瘍領域担当シニア・バイスプレジデント兼開発責任者のマイケル・ジョルダーノは次のように述べています。「私たちは、患者さんのがん治療の選択肢を変革するという使命を果たすべく、革新的なペースで前進しています。先月、ニボルマブについて進行期悪性黒色腫の治療薬としてCHMPの肯定的見解を受けました。本日の非小細胞肺がんに関する肯定的見解についての発表により、私たちは肺がんの標準治療を変えるという約束の達成に向け、また一歩、歩みを進めました」。
CheckMate -017, -063試験に基づく肯定的見解
CHMPの肯定的見解は、化学療法による治療後に病勢進行が認められた進行性または転移性の肺扁平上皮がん患者に対するニボルマブの有効性と安全性を示した2つの臨床試験(CheckMate -017試験および-063試験)のデータに基づいています。CheckMate -017試験は、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法1レジメンの前治療中または前治療後に病勢進行が認められた患者さんを対象とする非盲検無作為化第Ⅲ相試験です。
CheckMate -017試験のあらかじめ計画された中間解析の結果によると、ドセタキセルと比較して、ニボルマブでは、死亡リスクが41%低下し、全生存期間(OS)が大幅に延長することが示されました(ハザード比:0.59 [95%信頼区間:0.44, 0.79、p=0.00025])。この結果は、PD-L1の発現にかかわらず認められました。推定1年生存率において、ニボルマブ群(42% [95%信頼区間:34, 50])は、ドセタキセル群(24% [95%信頼区間:17, 31])と比較してほぼ2倍となりました。全生存期間(OS)の中央値は、ドセタキセル群の6カ月(95%信頼区間:5.1, 7.3)に対し、ニボルマブ群では9.2カ月(95%信頼区間:7.3, 13.3)でした。
次に、CheckMate -063試験は、プラチナ製剤での治療に加え、少なくとも1レジメン以上の全身療法での治療後に病勢進行が認められた転移性の肺扁平上皮がん患者(その65%が3つ以上の前治療歴)を対象とする多施設共同非比較第Ⅱ相国際共同試験です。CheckMate -063試験では、主要評価項目である奏効率が14.5%(117例中17例)(95%信頼区間:8.7, 22.2)、推定1年生存率が40.8%(95%信頼区間:31.6, 49.7)、全生存期間の中央値が8.2カ月(95%信頼区間:6.1, 10.9)でした。
CheckMate -017試験および-063試験のどちらにおいても、ニボルマブ3 mg/kgが2週間に1回投与されました。ニボルマブの安全性プロファイルは、幅広い臨床開発プログラムに登録した患者さん数千人において評価されており、薬剤に関連する有害事象は、概ね確立された対処法アルゴリズムを用いて管理されました。CheckMate -017試験におけるニボルマブの安全性プロファイルは、これまでの試験結果と一致しており、ドセタキセルよりも好ましい結果でした。薬剤関連有害事象の発生率は、ニボルマブ(グレード3~4、6.9%)の方がドセタキセル(グレード3~4、55%)よりも少ない結果でした。
ニボルマブについて
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、世界中の8,000人以上の患者さんを対象とし、ニボルマブを複数のがん腫において単剤療法または他の治療薬との併用療法として検討する50件以上の臨床試験から構成される幅広いグローバル開発プログラムを展開しています。
小野薬品工業は、2014年7月4日に根治切除不能な悪性黒色腫患者の治療薬として、日本でニボルマブの製造販売承認を取得したことを発表しました。これにより、ニボルマブは世界で初めて承認を取得した PD-1 免疫チェックポイント阻害剤となりました。米国では、ニボルマブはYervoy(一般名:イピリムマブ)での治療後、かつ、BRAF V600変異陽性の場合は、BRAF阻害剤での治療後に病勢進行が認められた切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)からニボルマブとしての最初の承認を受けました。最近では2015年3月4日に、プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行・再発が認められた肺扁平上皮がん患者の治療を適応として、ニボルマブ はFDA から追加適応の承認を受けました。
また、ニボルマブは進行期非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対しても検討が行われています。2015年4月17日、治療歴を有する進行期非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対してニボルマブとドセタキセルを比較した非盲検無作為化第Ⅲ相臨床試験(CheckMate -057試験)は、独立データモニタリング委員会(DMC)が、ドセタキセル群に対してニボルマブ群が優れた全生存期間を示し評価項目を達成したと結論付けたため、早期に終了しました。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、保健当局とこれらのデータを共有する計画です。
肺がんについて
肺がんは、世界的にがんによる死亡の主要な原因となっており、世界保健機関によると、毎年150万人以上の方が亡くなっています。非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、およそ85%を占めています。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。世界的には、ステージIのNSCLCの場合、5年生存率は47%から50%、ステージIVのNSCLCでは、5年生存率は2%まで減少します。
重要な安全性情報
※本項目の内容は米国での承認に際しての情報であり、日本国内には適用されません。
詳細は、米国におけるオプジーボの添付文書をご覧ください。
免疫介在性肺臓炎
- オプジーボの投与に関連し、致死的なケースを含む重度の肺臓炎または間質性肺疾患が報告されました。固形がんを有する臨床試験被験者691例において、致死的な免疫介在性肺臓炎は、オプジーボ群の0.7%(691例中5例)で報告されました。試験1および試験3では、報告されませんでした。試験1では、間質性肺疾患を含む肺臓炎がオプジーボ群の3.4%(268例中9例)で報告され、化学療法群では、102例中1例も報告されませんでした。免疫介在性肺臓炎は、オプジーボ群の2.2%(268例中6例)で報告され、うち1例がグレード3、5例がグレード2でした。試験3では、免疫介在性肺臓炎がオプジーボ群の6%(117例中7例)で報告され、うち5例がグレード3、2例がグレード2でした。肺臓炎の徴候や症状がないか、患者さんをモニターしてください。グレード2以上の肺臓炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード3または4の肺臓炎については、オプジーボの投与を完全に中止し、グレード2については、肺臓炎が消失するまでオプジーボの投与を中断してください。
免疫介在性大腸炎
- 試験1では、オプジーボ群の21%(268例中57例)、化学療法群の18%(102例中18例)で大腸炎/下痢が報告されました。免疫介在性大腸炎は、オプジーボ群の2.2%(268例中6例)で報告され、うち5例がグレード3、1例がグレード2でした。試験3では、オプジーボ群の21%(117例中24例)で下痢が報告されました。オプジーボ群の0.9%(117例中1例)でグレード3の免疫介在性大腸炎が報告されました。免疫介在性大腸炎について、患者さんをモニターしてください。グレード2(5日間以上持続した場合)、3、または4の大腸炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2または3については、オプジーボの投与を中断します。グレード4または再発性の大腸炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性肝炎
- 試験1における肝機能検査値異常は、オプジーボ群の方が化学療法群よりも多く見られ、AST上昇(オプジーボ群28%に対して化学療法群12%)、アルカリホスファターゼ(ALP)上昇(オプジーボ群22%に対して化学療法群13%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇(オプジーボ群16%に対して化学療法群5%)、総ビリルビン上昇(オプジーボ群9%に対して化学療法群0)となりました。免疫介在性肝炎は、オプジーボ群の1.1%(268例中3例)で報告され、うち2例がグレード3、1例がグレード2でした。試験3における肝機能検査値異常は、AST上昇(16%)、アルカリホスファターゼ上昇(14%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇(12%)、総ビリルビン上昇(2.7%)となりました。投与前、および投与期間中は定期的に、肝機能検査値異常がないかどうかモニターしてください。グレード2以上のトランスアミナーゼ上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を中断し、グレード3または4の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性腎炎および腎機能障害
- 試験1におけるクレアチニン値上昇は、オプジーボ群の方が化学療法群よりも多く見られました(オプジーボ群13%に対して化学療法群9%)。グレード2または3の免疫介在性腎炎または腎機能障害は、被験者の0.7%(268例中2例)で報告されました。試験3におけるクレアチニン値上昇は、22%でした。免疫介在性腎機能障害(グレード2)は、被験者の0.9%(117例中1例)で報告されました。投与前、および投与期間中は定期的に、血清クレアチニン上昇が見られないかどうかモニターしてください。グレード2または3の血清クレアチニン上昇については、オプジーボの投与を中断し、副腎皮質ホルモン剤を投与します。悪化した場合、または改善が見られない場合は、オプジーボの投与を完全に中止してください。グレード4の血清クレアチニン上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与し、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症
- 試験1では、グレード1または2の甲状腺機能低下症は、オプジーボ群の8%(268例中21例)で報告され、化学療法群では、102例中1例も報告されませんでした。グレード1または2の甲状腺機能亢進症は、オプジーボ群の3%(268例中8例)、化学療法群の1%(102例中1例)で報告されました。
試験3では、甲状腺機能低下症は、オプジーボ群の4.3%(117例中5例)で報告されました。甲状腺機能亢進症は、オプジーボ群の1.7%(117例中2例)で報告され、うち1例はグレード2でした。投与前、および投与期間中は定期的に甲状腺機能をモニターしてください。甲状腺機能低下症については、ホルモン補充療法を行います。甲状腺機能亢進症については、コントロールのために内科的治療を開始してください。
その他の免疫介在性副作用
- 試験1および試験3(385例)において、臨床的に重大な免疫介在性副作用(副腎機能障害、ぶどう膜炎、膵臓炎、顔面および外転神経不全麻痺、脱髄、自己免疫性神経障害、運動機能障害、脈管炎)がオプジーボ群の2%未満で報告されました。オプジーボが3mg/kgおよび10mg/kg投与された複数の臨床試験において、臨床的に重大な免疫介在性副作用として下垂体炎、糖尿病性ケトアシドーシス、下垂体機能低下症、ギランバレー症候群、筋無力症候群が新たに認められました。副作用の重篤度に基づき、オプジーボの投与を中断し、高用量副腎皮質ホルモン剤を投与し、必要に応じてホルモン補充療法を開始してください。
胚・胎児毒性
- 作用機序に基づき、オプジーボは、妊婦に投与すると胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠中の女性には、胎児へのリスクを説明してください。妊娠の可能性がある女性には、オプジーボの投与を受けている期間、および最後にオプジーボを投与してから少なくとも5カ月間は、効果的な避妊法を用いるよう助言してください。
授乳
- オプジーボの母乳中への移行については確認されていません。抗体を含む多くの薬剤は母乳に移行します。オプジーボは、授乳中の乳児に重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、治療中は授乳を中止するよう助言してください。
重篤な副作用
- 試験1では、重篤な副作用は、オプジーボ群の41%で報告されました。グレード3または4の副作用は、オプジーボ群の42%で報告されました。最も頻繁に報告されたグレード3または4の副作用は、オプジーボ群の2%以上5%未満で報告された腹痛、低ナトリウム血症、AST上昇、リパーゼ上昇でした。
試験3では、重篤な副作用は、オプジーボ群の59%で報告されました。患者群の2%以上で報告された副作用の内、最も多く報告された重篤な副作用は呼吸困難、肺炎、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺臓炎、高カルシウム血症、胸水、喀血、そして疼痛でした。
一般的な副作用
- オプジーボ群で最も一般的に(20%以上)報告された副作用は、試験1では、発疹(21%)でした。また、試験3では、疲労(50%)、呼吸困難(38%)、筋骨格痛(36%)、食欲減退(35%)、咳(32%)、吐き気(29%)、そして便秘(24%)でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん免疫領域への取り組みについて
過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、殺細胞薬または分子標的治療による治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、生存期間の改善や生活の質の向上はなかなか得られないものでした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を主とした薬剤によるがん免疫療法という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな経路を標的としたがん免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの生存期間の改善やがんとともに生きる患者さんの生活の質の向上を目標に、がん免疫学の発展に尽力しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述
本プレスリリースは、医薬品の研究、開発、および販売について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、オプジーボが欧州連合で承認を受ける、また承認を受けたとしても商業的に成功するという保証はできません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2014年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。