プレスリリース
オプジーボ(一般名:ニボルマブ)が、PD-1免疫チェックポイント阻害薬として初めて、重要な第III相臨床試験において治療歴を有する進行期非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対して標準治療(ドセタキセル)と比較して全生存期間の延長を示した
2015/06/03
小野薬品工業株式会社
ブリストル・マイヤーズ株式会社
※本資料は、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2015年5月29日(米国現地時間)に発表しましたプレスリリースの日本語訳(抜粋)をご参考までにお届けするものです。内容につきましては原本である英文が優先します。
- CheckMate -057試験で非扁平上皮非小細胞肺がんにおけるPD-L1発現の役割が明確に;PD-L1陽性(>1%)患者において、全生存期間中央値は標準治療の8-9カ月に対し、2倍の17-19カ月となりました。
- PD-L1陰性患者において、オプジーボは標準治療と同程度の有効性、より好ましい忍容性プロファイルを示しました。
- オプジーボは死亡または病勢進行リスクを標準治療に対して27%低減しました。
- オプジーボの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの試験と一致しており、現在の標準治療より好ましい結果となりました。
- 治療歴を有する非小細胞肺がんにおいてオプジーボが好ましい結果を示した2つ目の試験となりました。
(ニュージャージー州プリンストン、2015年5月29日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は、本日、治療歴を有する進行期非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する非盲検無作為化第III相試験であるCheckMate -057試験で、オプジーボが、標準治療(ドセタキセル)に対して全生存期間の延長を示した初めてのPD-1免疫チェックポイント阻害薬となったことを発表しました。オプジーボ群(292名)とドセタキセル群(290名)の比較において、試験の主要評価項目である死亡または病勢進行リスクが27%低下したことが報告されました[ハザード比0.73(96%信頼区間:0.59-0.89、P=0.0015)]。また、オプジーボでは、PD-L1を1%以上発現した全てのPD-L1陽性患者で全生存期間の中央値が2倍になりました。CheckMate -057試験におけるオプジーボの安全性プロファイルはドセタキセルより好ましい結果となり、グレード3~5の薬剤関連有害事象はドセタキセル群の54%で報告されたのに対し、オプジーボ群では10%の報告にとどまりました。
これらの結果は、本日5月29日午後1時~2時(米国中央部夏時間)に開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)の第51回年次総会の記者発表会で取り上げられ、また、5月30日(土)8:51~9:03(米国中央部夏時間)の臨床科学シンポジウムで発表されます(最新情報抄録番号#109)。
スペインのマドリッドにあるHospital Universitario Doce de Octubreのルイス・パスアレス医師は次のように述べています。「本日発表されたCheckMate -057試験の結果は、非扁平上皮非小細胞肺がんの第III相臨床試験で、PD-1免疫チェックポイント阻害薬として初めて、オプジーボが標準治療(ドセタキセル)と比較して全生存期間の大幅な延長を示したという意味で、肺がん治療の新たな選択肢の開発における重要な節目となるでしょう。がんの臨床研究の目的は、現在の標準治療を改善するような、あるいは置き換えるような新たな治療法を模索することです。CheckMate -057試験の結果は、PD-L1陽性患者さんにとってドセタキセルに代わる新たな標準治療を確立する上で歩を進めたことを意味しています」。
肺がんは、世界的にがんによる死亡の主要な原因となっており、世界保健機関によると、毎年150万人以上の方が亡くなっています。肺がんによる死亡者数は世界で、大腸がん、乳がん、前立腺がんを合わせた死亡者数を上回っています。非小細胞肺がんは肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、およそ85%を占めています。生存率は、診断された際の進行度とがん腫によって異なります。
腫瘍領域担当シニア・バイスプレジデント兼開発責任者であるマイケル・ジョルダーノは次のように述べています。「この第III相臨床試験の全生存の成績は、肺扁平上皮がんに対するCheckMate -017試験と合わせ、肺がん患者の生存への期待に応えるという当社のオプジーボ開発戦略を実証する結果です。CheckMate -057試験で、試験の評価項目である全生存期間に関し、PD-L1を1%以上発現した患者において全生存期間を2倍に延長したことにより、PD-L1発現の役割が明らかにされました。これは、非小細胞肺がんにおける、大きな科学的進歩を意味しています」。
CheckMate -057試験について
CheckMate -057試験は、プラチナ製剤を含む化学療法の2剤併用レジメンの前治療中または前治療後に病勢進行がみられた進行期非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象とする、重要な非盲検無作為化第III相臨床試験です。この試験では、PD-L1発現の有無にかかわらず患者さんを組み入れました。副次的評価項目には、PD-L1 発現レベル別の奏効率、無増悪生存期間、有効性が含まれていました。本試験に登録された患者に対し、オプジーボは 3mg/kgを2週間に1回、標準治療であるドセタキセル は75mg/m2を3週間に1回投与しました。
オプジーボは全生存期間の延長に加え、奏効率の優位性(オプジーボ19%に対しドセタキセル12%)を示しました(P=0.0246)。奏効期間の中央値はオプジーボが17.2カ月、ドセタキセルが5.6カ月、奏効までの期間の中央値はオプジーボが2.1カ月、ドセタキセルが2.6カ月でした。
また、PD-L1の発現レベル別の有効性も評価されました。無作為化された患者のうち78%(582名中455名)で定量化可能なPD-L1発現が認められました。PD-L1陽性率は投与群間でバランスが取れていました。事前に定義された1%、5%及び10%の全ての発現レベルで、PD-L1発現状況はオプジーボの有効性から予測できるものでした。PD-L1陽性患者では、オプジーボは全ての評価項目、全ての発現レベルにおいてより高い有効性を示しました(下表を参照)。
有効性のまとめ:PD-L1発現レベルごとの全生存期間の中央値
オプジーボ | ドセタキセル | |
---|---|---|
PD-L1発現率、1% 以上 ハザード比 = 0.59(95%信頼区間:0.43-0.82) |
17.2カ月 | 9.0カ月 |
PD-L1発現率、1%未満 ハザード比 = 0.90(95%信頼区間:0.66-1.24) |
10.4カ月 | 10.1カ月 |
PD-L1発現率、5%以上 ハザード比 = 0.43(95%信頼区間:0.30-0.63) |
18.2カ月 | 8.1カ月 |
PD-L1発現率、5%未満 ハザード比 = 1.01(95%信頼区間:0.77-1.34) |
9.7カ月 | 10.1カ月 |
PD-L1発現率、10%以上 ハザード比 = 0.40(95%信頼区間:0.26-0.59) |
19.4カ月 | 8.0カ月 |
PD-L1発現率、10%未満 ハザード比 = 1.00(95%信頼区間:0.76-1.31) |
9.9カ月 | 10.3カ月 |
CheckMate -057試験におけるオプジーボの安全性プロファイルは、これまでの試験結果と一致しており、ドセタキセルよりも好ましい結果でした。PD-L1陽性及び陰性患者でも同様の安全性プロファイルが得られました。薬剤関連有害事象の発現率は、血液学的毒性及び非血液学的毒性の双方を含め、オプジーボの方が重篤度が低く、頻度もオプジーボ(全グレード:69%、グレード3~4:10%)の方がドセタキセル(全グレード:88%、グレード3~4:54%)よりも低い結果となりました。薬剤関連の重篤な有害事象の報告率も、オプジーボ(全グレード:7.3%、グレード3~4:5.2%)の方がドセタキセル(全グレード:20%、グレード3~4:18%)より低い結果となりました。薬剤関連有害事象による中止も、オプジーボ(5%)の方がドセタキセル(15%)よりも低い結果となりました。
肺がんにおける様々な組織型で証明された有効性
CheckMate -057試験は、オプジーボが非小細胞肺がんにおいて全生存期間の延長という肯定的な結果を示した第III相試験としては、2番目となります。今年初めに、第III相試験であるCheckMate -017試験が、治療歴を有する進行期肺扁平上皮がんに対してドセタキセルより優れた全生存期間を示したことから早期終了となりました。その結果を基に、オプジーボの肺がんに対する当社初の適応承認を米国食品医薬品局から取得しました。 CheckMate -017試験の結果は、5月31日(日)の午後4時30分~4時42分(米国中央部夏時間)に行われる口頭抄録セッションで発表されます(抄録番号#8009)。
オプジーボについて
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、世界中の8,000人以上の患者さんを対象とし、ニボルマブを複数のがん腫において単剤療法または他の治療薬との併用療法として検討する50件以上の臨床試験から構成される幅広いグローバル開発プログラムを展開しています。
小野薬品工業は、2014年7月4日に根治切除不能な悪性黒色腫患者の治療薬として、日本でニボルマブの製造販売承認を取得したことを発表しました。これにより、ニボルマブは世界で初めて承認を取得した PD-1免疫チェックポイント阻害剤となりました。米国では、ニボルマブはYervoy(一般名:イピリムマブ)での治療後、かつ、BRAF V600変異陽性の場合は、BRAF阻害剤での治療後に病勢進行が認められた切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)からニボルマブとしての最初の承認を受けました。最近では2015年3月4日に、プラチナ製剤による化学療法での治療中または治療後に進行・再発が認められた肺扁平上皮がん患者の治療を適応として、ニボルマブ はFDA から追加適応の承認を受けました。
重要な安全性情報
※本項目の内容は米国での承認に際しての情報であり、日本国内には適用されません。
詳細は、米国におけるオプジーボの添付文書をご覧ください。
免疫介在性肺臓炎
- オプジーボの投与に関連し、致死的なケースを含む重度の肺臓炎または間質性肺疾患が報告されました。固形がんを有する臨床試験被験者691例において、致死的な免疫介在性肺臓炎は、オプジーボ群の0.7%(691例中5例)で報告されました。試験3では、報告されませんでした。試験3では、免疫介在性肺臓炎がオプジーボ群の6%(117例中7例)で報告され、うち5例がグレード3、2例がグレード2でした。肺臓炎の徴候や症状がないか、患者さんをモニターしてください。グレード2以上の肺臓炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード3または4の肺臓炎については、オプジーボの投与を完全に中止し、グレード2については、肺臓炎が消失するまでオプジーボの投与を中断してください。
免疫介在性大腸炎
- 試験3では、オプジーボ群の21%(117例中24例)で下痢が報告されました。オプジーボ群の0.9%(117例中1例)でグレード3の免疫介在性大腸炎が報告されました。免疫介在性大腸炎について、患者さんをモニターしてください。グレード2(5日間以上持続した場合)、3、または4の大腸炎については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2または3については、オプジーボの投与を中断します。グレード4または再発性の大腸炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性肝炎
- 試験3における肝機能検査値異常は、AST上昇(16%)、アルカリホスファターゼ上昇(14%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇(12%)、総ビリルビン上昇(2.7%)となりました。投与前、および投与期間中は定期的に、肝機能検査値異常がないかどうかモニターしてください。グレード2以上のトランスアミナーゼ上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与します。グレード2の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を中断し、グレード3または4の免疫介在性肝炎については、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性腎炎および腎機能障害
- 試験3におけるクレアチニン値上昇は、22%でした。免疫介在性腎機能障害(グレード2)は、被験者の0.9%(117例中1例)で報告されました。投与前、および投与期間中は定期的に、血清クレアチニン上昇が見られないかどうかモニターしてください。グレード2または3の血清クレアチニン上昇については、オプジーボの投与を中断し、副腎皮質ホルモン剤を投与します。悪化した場合、または改善が見られない場合は、オプジーボの投与を完全に中止してください。グレード4の血清クレアチニン上昇については、副腎皮質ホルモン剤を投与し、オプジーボの投与を完全に中止してください。
免疫介在性甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症
- 試験3では、甲状腺機能低下症は、オプジーボ群の4.3%(117例中5例)で報告されました。甲状腺機能亢進症は、オプジーボ群の1.7%(117例中2例)で報告され、うち1例はグレード2でした。投与前、および投与期間中は定期的に甲状腺機能をモニターしてください。甲状腺機能低下症については、ホルモン補充療法を行います。甲状腺機能亢進症については、コントロールのために内科的治療を開始してください。
その他の免疫介在性副作用
- 臨床的に重大な免疫介在性副作用(副腎機能障害、ぶどう膜炎、膵臓炎、顔面および外転神経不全麻痺、脱髄、自己免疫性神経障害、運動機能障害、脈管炎)がオプジーボ群の2%未満で報告されました。オプジーボが3mg/kgおよび10mg/kg投与された複数の臨床試験において、臨床的に重大な免疫介在性副作用として下垂体炎、糖尿病性ケトアシドーシス、下垂体機能低下症、ギランバレー症候群、筋無力症候群が新たに認められました。副作用の重篤度に基づき、オプジーボの投与を中断し、高用量副腎皮質ホルモン剤を投与し、必要に応じてホルモン補充療法を開始してください。
胚・胎児毒性
- 作用機序に基づき、オプジーボは、妊婦に投与すると胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠中の女性には、胎児へのリスクを説明してください。妊娠の可能性がある女性には、オプジーボの投与を受けている期間、および最後にオプジーボを投与してから少なくとも5カ月間は、効果的な避妊法を用いるよう助言してください。
授乳
- オプジーボの母乳中への移行については確認されていません。抗体を含む多くの薬剤は母乳に移行します。オプジーボは、授乳中の乳児に重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、治療中は授乳を中止するよう助言してください。
重篤な副作用
- 試験3では、重篤な副作用は、オプジーボ群の59%で報告されました。患者群の2%以上で報告された副作用の内、最も多く報告された重篤な副作用は呼吸困難、肺炎、慢性閉塞性肺疾患の悪化、肺臓炎、高カルシウム血症、胸水、喀血、そして疼痛でした。
一般的な副作用
- 試験3で、オプジーボ群で最も一般的に(20%以上)報告された副作用は、疲労(50%)、呼吸困難(38%)、筋骨格痛(36%)、食欲減退(35%)、咳(32%)、吐き気(29%)、そして便秘(24%)でした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん免疫領域への取り組みについて
過去数十年間、がん治療の中心は手術、放射線治療、殺細胞薬または分子標的治療による治療でしたが、進行性疾患の多くの患者さんにとって、生存期間の改善や生活の質の向上はなかなか得られないものでした。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社はこの医療ニーズを満たすために、身体の免疫系に直接作用してがんと闘う機序を主とした薬剤によるがん免疫療法という革新的な分野の発展をリードしています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん治療における、さまざまな経路を標的としたがん免疫療法における併用の可能性に関する研究を含め、さまざまながん腫において、種々の化合物および免疫学的アプローチを探索しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、がん患者さんの生存期間の改善やがんとともに生きる患者さんの生活の質の向上を目標に、がん免疫学の発展に尽力しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。詳細については、www.bms.com<米国本社のウェブサイト(英語)>またはツイッター(http://twitter.com/bmsnews)をご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述
本プレスリリースは、医薬品の研究、開発、および販売について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、オプジーボが肺がんで追加適応の承認を受ける、また承認を受けたとしても商業的に成功するという保証はできません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2014年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。