プレスリリース
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社、高齢の非弁膜症性心房細動患者を対象に直接経口抗凝固薬の有効性と安全性をワルファリンと比較したリアルワールドの観察解析結果を発表
2017/08/31
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
ファイザー株式会社
※当資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社が2017年8月29日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆さまのご参考に供するものです。内容につきましては原本である英文が優先します。詳細はオリジナル英文をご参照ください。
http://www.bms.com/news/press_releases/pages/default.aspx
http://www.pfizer.com/news/
【注意】日本において、エリキュース®錠(一般名:アピキサバン)は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」、ならびに「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」を効能・効果として承認されています。(詳しくは、製品の添付文書を参照ください)
- 米国Humana社のデータベースの解析において、エリキュース®(一般名:アピキサバン)では、ワルファリンと比較して、脳卒中のリスクおよび大出血の発現率が低いことが示されました。
(ニュージャージー州プリンストンおよびニューヨーク、2017年8月29日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)とファイザー社(NYSE:PFE)は、本日、65歳以上の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において、ワルファリンと比較して、エリキュース®(一般名:アピキサバン)で脳卒中/全身性塞栓症のリスクおよび大出血の発現率が有意に低いことが示された、米国Humana社のデータベースによるリアルワールド(実臨床)データの解析結果を発表しました。Humana社のデータベースには、主に米国南部と中西部に在住の2000万人以上によるマネージドケアの医療費および薬剤費に対する保険請求が含まれています。この解析結果は、『Current Medical Research and Opinion』誌に本日掲載されたほか、特定のコホートのデータは、本日、スペインのバルセロナで開催中の欧州心臓病学会(ESC)2017年度年次総会において、ポスターセッションで発表されました。
このリアルワールドデータの観察解析では、Humana社のデータベースから、年齢(65歳以上)および2013年1月1日から2015年9月30日までの期間におけるエリキュースまたはワルファリンの薬剤費の保険請求記録を基に、米国のメディケア・アドバンテージ・プランに加入しているNVAF患者を特定しました。解析では、脳卒中/全身性塞栓症(虚血性脳卒中、出血性脳卒中、全身性塞栓症を含む)および大出血(頭蓋内出血、消化管出血、その他の大出血を含む)の発現率を評価しました。脳卒中/全身性塞栓症および大出血の発現率は、国際疾病分類第9版臨床修正版(ICD-9-CM)コードの最初の1桁に、入院に関連する診断コードの付いた保険請求に基づき、追跡調査されました。リアルワールドデータの解析結果は、治療の有効性および/または安全性を実証する独立したエビデンスとして用いることはできません。リアルワールドデータの観察研究は、関連性のみ評価することができ、因果関係の評価はできませんⅰ,ⅱ。解析方法およびその他の制約の詳細は、下記をご参照ください。
ニューオーリンズにあるオクスナー医療センターの病院医療システム部門長であり、本論文の筆頭著者であるSteven Deitelzweig(M.D.)は、次のように述べています。「NVAFには重大な脳卒中のリスクがあり、発現率は年齢とともに上昇することが長年知られています。Humana社のデータベースの本解析結果のようなリアルワールドのデータから、高齢者など特定のサブグループの患者における、日常診療での治療決定に資するさらなる情報が得られます。」
本解析において、エリキュースは、ワルファリンと比較して、脳卒中/全身性塞栓症発症の低いリスク(ハザード比:0.65、95%信頼区間:0.51 - 0.83、p=0.001)および大出血の低い発現率(ハザード比:0.53、95%信頼区間:0.45 - 0.63、p=0.001)が示されました。追跡調査期間の中央値は、エリキュースで6.3カ月、ワルファリンで8.3カ月でした。これらの結果は、ランドマーク試験である第Ⅲ相ARISTOTLE(Apixaban for Reduction In Stroke and Other ThromboemboLic Events in Atrial Fibrillation)試験の結果を補完するものです。エリキュースは出血のリスクを上昇させ、重篤かつ命に関わる恐れのある出血を引き起こす可能性があります。
本解析は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社の提携による世界的なリアルワールドデータ解析プログラム『ACROPOLIS™(Apixaban ExperienCe Through Real-WOrld POpuLatIon Studies)』の一部です。ACROPOLISのデータソースは、匿名化した医療記録、医療費および薬剤費の保険請求データ、国民医療データシステムなどであり、さまざまな集団と地域の患者記録を反映しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のエリキュース開発責任者でバイスプレジデントのChristoph Koenen(M.D.、MBA)は、次のように述べています。「65歳以上の非弁膜症性心房細動患者さんでは、この疾患のない人々と比較して、脳卒中を発症するリスクが約3倍から5倍高くなりますⅲ,ⅳ,ⅴ。この10年で治療法が進歩したにもかかわらず、この年齢層のNVAF患者さんの多数が、依然としてきちんとした治療を受けられないままでいます。ⅵ」
ファイザー社イノベーティブ医薬品事業部門最高医学責任者のRory O’Connor(M.D.)は、次のように述べています。「これらのリアルワールド解析を通じて、私たちは、高齢者など一般的な患者集団におけるエリキュースの効果に関するエビデンスをさらに蓄積していきます。ACROPOLISプログラムの解析は、大規模な患者集団とさまざまな臨床設定にわたり収集されたデータから得られたインサイトによって、エリキュースの無作為化臨床試験の結果を補完することを目的としています。」
解析方法
Humana社のデータベースの本観察後ろ向き解析には、エリキュースのコホートに加え、2種類の直接経口抗凝固薬(リバーロキサバンおよびダビガトラン)が含まれました。解析は、少なくとも過去1年間にわたり経口抗凝固薬を服用していない65歳以上のNVAF患者を対象に実施されました。患者は、インデックス日以前に少なくとも12カ月間にわたり、医療費および薬剤費の給付金付き保険に継続して加入している必要がありました。ベースライン期間中に、心臓弁膜症、静脈血栓塞栓症、一過性心房細動、心臓手術、甲状腺機能亢進症および甲状腺中毒症の診断を示す保険請求のあった患者または妊娠した患者は除外されました。詳細については、『Current Medical Research and Opinion』誌に発表された論文全文をご参照ください。リンクはこちら。
本解析では、傾向スコアマッチング法(PSM法)によって患者特性のバランスを取り、エリキュースまたはワルファリンによる治療を受けた患者7,107ペア(計14,214例)を特定しました。本解析では、対象となる人口統計学的および臨床的特性のバランスを取るため、多変量ロジステック回帰を用い、共変量から傾向スコアを生成しました。エリキュース群とワルファリン群の患者に対しては、別途1対1のPSM法を実施し、コホートの主な患者特性に有意差はなく(p>0.05)、十分に均衡がとれていることが実証されました。入院保険請求における主なICD-9コードに基づき、COX比例ハザードモデルを用いて、脳卒中/全身性塞栓症および大出血のハザード比(HR、事象が生じる割合)を推定しました。
リアルワールドデータ解析およびHumana社データベース解析における制約
リアルワールドデータは、日常的な診療における薬剤の働きについてさらなる情報を提供し、無作為化臨床試験のデータを補完する可能性があります。リアルワールドデータの解析には、いくつかの制約があります。例えば、使用したデータソースやデータタイプによって、結果や評価項目の一般化可能性が限定される場合があることが挙げられます。また、リアルワールドデータの観察研究は、関連性のみ評価することができ、因果関係の評価はできません。これらの制約により、治療の有効性および/または安全性を実証する独立したエビデンスとして、リアルワールドデータ解析を用いることはできません。重要なのは、現時点において、直接経口抗凝固薬を直接比較した臨床試験は行われたことがないということです。
本解析では、複数の交絡因子を調整するためにPSM法を用いていますが、除去出来ないバイアスがある可能性があります。処方薬の保険請求は、その薬剤が処方通りに使用または服用されたことを示すものではありません。また、薬局で市販されている薬剤や試供品として提供された薬剤は、保険請求データの記録に残されていません。最後に、Humana社の保険請求データベースは、主に米国南部および中西部に在住する患者の請求から成っており、本解析結果を米国全体の高齢者集団に対して一般化できない可能性があります。
エリキュース®について
エリキュース®(一般名:アピキサバン)は、選択的第Xa因子阻害剤の経口薬です。エリキュース®は、主要な血液凝固タンパク質である第Xa因子を阻害することにより、トロンビンの生成と血栓の形成を抑制します。エリキュース®は、7件の第Ⅲ相臨床試験の結果を含む有効性および安全性データに基づき、米国で複数の適応症が承認されています。エリキュース®は、米国では非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、股関節または膝関節置換術後の患者における肺血栓塞栓症(PE)を引き起こす可能性がある深部静脈血栓塞栓症(DVT)の予防、DVTおよびPEの治療、ならびに初回治療後のDVTおよびPEの再発抑制を適応とする処方薬です。
(※日本において、エリキュース®錠(一般名:アピキサバン)は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」、ならびに「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」を効能・効果として承認されています。)
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社の提携:
2007年、ファイザー社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によって発見された経口抗凝固剤であるエリキュース®の開発および販売に関し、世界的な提携契約を締結しました。この世界的提携によって、長年にわたるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の心血管疾患治療薬の開発および販売の実績と、この領域におけるファイザー社のグローバルな規模および専門知識を結集することになります。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTubeおよびFacebookをご覧ください。
ファイザーについて:より健康な世界の実現のために
ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、皆様が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療薬をお届けしています。私たちは、ヘルスケア製品の探索・開発・製造におけるクオリティ・安全性・価値の基準設定をリードしていくことを目指しています。当社のグローバルなポートフォリオには、医薬品とワクチンに加え、世界的に著名なコンシューマー・ヘルスケア製品が含まれています。ファイザーの社員は先進国および新興市場で、今、この時代に最も恐れられている疾患の予防・治療・治癒に役立つ製品を通じて健康に貢献しています。卓越した革新的医薬品企業の責務として、優れた医薬品を誰もが容易に入手できるように、ファイザーは世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。ファイザーは私たちに信頼を寄せてくださる皆様のため、150年以上にわたり前進を続けてきました。詳細は当社のウエブサイト(www.pfizer.com)をご覧ください。更に情報を得たい場合は、www.pfizer.com、Twitter(@Pfizer @PfizerNews)、LinkedIn、YouTube、Facebook.com/Pfizerもご覧ください。
また、ファイザー株式会社(日本法人)の取り組みは、下記ホームページよりご覧いただけます。
www.pfizer.co.jp
ⅰGarrison LP, Neumann PJ, Erickson P, Marshall D, Mullins CD. Using real-world data for coverage and payment decisions: the ISPOR real-world data task force report. Value Health. 2007;10:326-335.
ⅱHannan EL. Randomized clinical trials and observational studies. J Am Coll Cardiol Intv. 2008;1:211-217.
ⅲJanuary, C. T. ACC/AHA/HRS Guideline for the Management of Patients With Atrial Fibrillation. Circulation. 2014;130:E212-E212.
ⅳEagle, K. A. Management of Atrial Fibrillation: Translating Clinical Trial Data into Clinical Practice. The American Journal of Medicine. 2011;124:4-14.
ⅴWolf PA, Abbott RD, Kannel WB. Atrial fibrillation as an independent risk factor for stroke: the Framingham study. Stroke. 1991;22: 983-8.
ⅵHsu JC, Maddox TM, Kennedy K, et al. Aspirin instead of oral anticoagulant prescription in atrial fibrillation patients at risk for stroke. J Am Coll Cardiol. 2016;67:2913-23.