プレスリリース
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社、特定の高リスク非弁膜症性心房細動患者を対象に、エリキュース®(一般名:アピキサバン)の有効性と安全性をワルファリンと比較評価した、米国保険会社4社のデータベースによるリアルワールドデータの観察解析結果を発表
2017/08/31
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
ファイザー株式会社
※当資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社が2017年8月28日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆さまのご参考に供するものです。内容につきましては原本である英文が優先します。詳細はオリジナル英文をご参照ください。
http://www.bms.com/news/press_releases/pages/default.aspx
http://www.pfizer.com/news/
【注意】日本において、エリキュース®錠(一般名:アピキサバン)は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」、ならびに「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」を効能・効果として承認されています。(詳しくは、製品の添付文書を参照ください)
- 特定の高リスク非弁膜症性心房細動(NVAF)患者のサブグループにおいて、エリキュースでは、脳卒中/全身性塞栓症の発症リスクおよび大出血の発現率が低いことが示されました。
(ニュージャージー州プリンストンおよびニューヨーク、2017年8月28日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)とファイザー社(NYSE:PFE)は、本日、米国の大手保険会社4社の保険請求データベースを統合したリアルワールド(実臨床)データの解析結果を発表しました。非弁膜性心房細動(NVAF)患者の全対象集団および特定の高リスク患者の各サブグループにおいて、エリキュース®(一般名:アピキサバン)では、ワルファリンと比較して、脳卒中/全身性塞栓症の発症リスクおよび大出血の発現率が低かったことが示されました。解析結果は、本日、スペインのバルセロナで開催中の欧州心臓病学会(ESC)2017年度年次総会において発表されます。
このリアルワールドデータ解析では、エリキュースまたは他の経口抗凝固薬のいずれかを服用しているNVAF患者を、米国のOptum、MarketScan、PharMetricsおよびHumanaのデータベースを通じて特定されました。各データベースにおいて傾向スコアマッチング(PSM)が完了した後にデータは統合されました。特定の高リスクサブグループは、年齢、CHA2DS2-VAScスコアまたはHAS-BLEDスコア、うっ血性心不全(CHF)、冠動脈疾患(CAD)、末梢動脈疾患(PAD)によって層別化されました。CHA2DS2-VAScスコアはNVAF患者の脳卒中リスクの推定方法であり、HAS-BLEDスコアはNVAF患者の大出血リスクの推定に役立ちます。これらの変数に基づき実施したサブグループ解析において、交絡因子の調整後、エリキュースでは、ワルファリンと比較して、脳卒中/全身性塞栓症のリスクおよび大出血の発現率が低かったことが示されました。エリキュースは出血リスクを上昇させ、重篤かつ命に関わる恐れのある出血を引き起こす可能性があることを勘案することは重要です。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のエリキュース開発責任者でバイスプレジデントのChristoph Koenen(M.D.、MBA)は、次のように述べています。「NVAF患者と医療従事者にとって、脳卒中の発現は依然として重大な懸念事項です。これらの結果は、エリキュースの臨床試験のデータを補完するものです。このリアルワールドデータ解析は、臨床医が一般的に診療する患者集団や設定におけるエリキュースの効果について、インサイトを与えてくれます。」
この観察コホート解析により、エリキュースに関するエビデンスがさらに蓄積されます。この中には特に、主要有効性評価項目である脳卒中/全身性塞栓症のリスク低減に関して、ワルファリンと比較して、エリキュースがさまざまな患者サブグループにおいて全体的に一貫した結果を示したⅰ、第Ⅲ相ARISTOTLE(Apixaban for Reduction In STroke and Other ThromboemboLic Events in Atrial Fibrillation)試験が含まれます。治療の有効性および/または安全性を実証する独立したエビデンスとして、リアルワールドデータ解析を用いることはできません。リアルワールドデータの観察研究では、関連性のみ評価することができ、因果関係の評価はできませんⅱ,ⅲ(下記の解析方法全文およびその他の制約の詳細をご参照ください)。
ファイザー社イノベーティブ医薬品事業部門最高医学責任者のRory O’Connor(M.D.)は、次のように述べています。「NVAF関連の脳卒中に対処する世界的なニーズが、かつてないほど高まっています。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社は、提携を通じ、幅広い患者タイプの設定において、できる限り多くの患者さんの脳卒中リスクを低減するべく尽力しています。ACROPOLISプログラムを通じたリアルワールドデータの解析は、多様な患者の人口統計学的特性、併存疾患、疾患の重症度の因子がエリキュースの患者転帰に与える影響について、より深いインサイト得る上で有用であると確信しています。」
本解析の中央値6カ月の追跡調査では、これらのリスク因子全体において、ワルファリンと比較して、エリキュースで脳卒中/全身性塞栓症のリスクおよび大出血の発現率が低かったことが示されました(傾向スコアがマッチした38,470ペア)。
リスク因子 | リスク因子 | 脳卒中/全身性塞栓症 (エリキュース vs. ワルファリン) |
大出血 (エリキュース vs. ワルファリン) |
---|---|---|---|
年齢 | ・65歳未満 (24,411例) |
75 vs. 114 (HR: 0.73、95% CI: 0.54 - 0.98) |
122 vs. 252 (HR: 0.52、95% CI: 0.42 - 0.65) |
・65~74歳 (21,325例) |
103 vs. 141 (HR: 0.80、95% CI: 0.62 - 1.03) |
189 vs. 354 (HR: 0.57、95% CI: 0.48 - 0.69) |
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・75歳以上 (31,204例) |
216 vs. 354 (HR: 0.62、95% CI: 0.52 - 0.73) |
442 vs. 697 (HR: 0.65、95% CI: 0.57 - 0.73) |
|
HAS-BLED スコア |
・3未満 (38,264例) |
101 vs. 144 (HR: 0.73、95% CI: 0.56 - 0.94) |
210 vs. 366 (HR: 0.59、95% CI: 0.50 - 0.70) |
・3以上 (38,676例) |
293 vs. 465 (HR: 0.65、95% CI: 0.56 - 0.75) |
543 vs. 937 (HR: 0.59、95% CI: 0.53 - 0.66) |
|
CHA2DS2-VASc スコア |
・0~1 (12,770例) |
18 vs. 21 (HR: 0.84、95% CI: 0.45 - 1.58) |
39 vs. 73 (HR: 0.52、95% CI: 0.35 - 0.77) |
・2~3 (30,943例) |
86 vs. 146 (HR: 0.61、95% CI: 0.47 - 0.80) |
216 vs. 434 (HR: 0.51、95% CI: 0.44 - 0.61) |
|
・4以上 (33,227例) |
290 vs. 442 (HR: 0.69、95% CI: 0.59 - 0.80) |
498 vs. 796 (HR: 0.66、95% CI: 0.59 - 0.73) |
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CHF | ・CHF (18,530例) |
141 vs. 221 (HR: 0.66, 95% CI: 0.54-0.82) |
299 vs. 511 (HR: 0.61, 95% CI: 0.53-0.70) |
・非CHF (58,410例) |
253 vs. 388 (HR: 0.67, 95% CI: 0.57-0.79) |
454 vs. 792 (HR: 0.59, 95% CI: 0.53-0.66) |
|
CAD | ・CAD (30,147例) |
210 vs. 298 (HR: 0.71, 95% CI: 0.60-0.85) |
414 vs. 688 (HR: 0.60, 95% CI: 0.53-0.68) |
・非CAD (46,793例) |
184 vs. 311 (HR: 0.62, 95% CI: 0.52-0.74) |
339 vs. 615 (HR: 0.58, 95% CI: 0.51-0.66) |
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PAD | ・PAD (11,665例) |
95 vs. 176 (HR: 0.61, 95% CI: 0.48-0.78) |
184 vs. 352 (HR: 0.59, 95% CI: 0.49-0.71) |
・非PAD (65,275例) |
299 vs. 433 (HR: 0.70, 95% CI: 0.61-0.81) |
569 vs. 951 (HR: 0.61, 95% CI: 0.55-0.67) |
解析方法
本観察、後ろ向き解析は、2013年1月1日から2015年9月30日までの期間に、エリキュースまたはワルファリンの服用を開始した18歳以上の患者を対象に実施しました。各データベースでは、年齢、性別、地域、ベースライン時の併存疾患および併用処方薬のバランスを取るため、1対1のPSM法が用いられました。ベースライン特性は、年齢中央値71歳、CHA2DS2-VAScスコア中央値3.0、HAS-BLEDスコア中央値2.6で、バランスが取れていました。各データベースでPSM法を実施し、患者特有の結果を統合しました。COX比例ハザードモデルを用い、各サブグループについて、治療開始1年以内の脳卒中/全身性塞栓症および大出血(入院保険請求の最初に挙げられた診断名を用いて特定)のハザード比を推定しました。治療と特定のサブグループ間の相互作用について、統計学的有意性を評価しました。
リアルワールドデータ解析および特定の高リスク患者サブグループ解析における制約
リアルワールドデータは、日常的な臨床診療における薬剤の働きについてさらなる情報を提供し、無作為化臨床試験のデータを補完する可能性があります。リアルワールドデータの解析には、いくつかの制約があります。例えば、使用されるデータソースやデータタイプによって、結果や評価項目の一般化可能性が限定される場合があることが挙げられます。リアルワールドデータの観察研究は、関連性のみ評価することができ、因果関係の評価はできません。これらの制約により、治療の有効性および/または安全性を実証する独立したエビデンスとして、リアルワールドデータ解析を用いることはできません。重要なのは、現時点において、直接経口抗凝固薬を直接比較する臨床試験は行われたことがないという点です。
本解析では、保険請求データの性質を前提として、診断は国際疾病分類第9版臨床修正版(ICD-9-CM)コードから特定し、薬剤の処方は処方薬に対する保険請求から特定されました。欠損値、コードエラー、臨床精度の欠如によって、この研究にバイアスが生じた可能性があります。データセットの一部は、プランレベルで重複しない異なる保険プランの情報を含んでいますが、その他は雇用主提供の保険請求のデータセットであり、統合した際に、重複した患者記録を含んでいる可能性があります。しかし、発表された推定値は0.5%であることからⅳ、そのような重複の数は少ないと考えられ、結果に重大な影響を及ぼす可能性は低いと考えられます。
エリキュース®について
エリキュース®(一般名:アピキサバン)は、選択的第Xa因子阻害剤の経口薬です。エリキュース®は、主要な血液凝固タンパク質である第Xa因子を阻害することにより、トロンビンの生成と血栓の形成を抑制します。エリキュース®は、7件の第Ⅲ相臨床試験の結果を含む有効性および安全性データに基づき、米国で複数の適応症が承認されています。エリキュース®は、米国では非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、股関節または膝関節置換術後の患者における肺血栓塞栓症(PE)を引き起こす可能性がある深部静脈血栓塞栓症(DVT)の予防、DVTおよびPEの治療、ならびに初回治療後のDVTおよびPEの再発抑制を適応とする処方薬です。
(※日本において、エリキュース®錠(一般名:アピキサバン)は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」、ならびに「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」を効能・効果として承認されています。)
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社とファイザー社の提携:
2007年、ファイザー社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社によって発見された経口抗凝固剤であるエリキュース®の開発および販売に関し、世界的な提携契約を締結しました。この世界的提携によって、長年にわたるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の心血管疾患治療薬の開発および販売の実績と、この領域におけるファイザー社のグローバルな規模および専門知識を結集することになります。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTubeおよびFacebookをご覧ください。
ファイザーについて:より健康な世界の実現のために
ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、皆様が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療薬をお届けしています。私たちは、ヘルスケア製品の探索・開発・製造におけるクオリティ・安全性・価値の基準設定をリードしていくことを目指しています。当社のグローバルなポートフォリオには、医薬品とワクチンに加え、世界的に著名なコンシューマー・ヘルスケア製品が含まれています。ファイザーの社員は先進国および新興市場で、今、この時代に最も恐れられている疾患の予防・治療・治癒に役立つ製品を通じて健康に貢献しています。卓越した革新的医薬品企業の責務として、優れた医薬品を誰もが容易に入手できるように、ファイザーは世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。ファイザーは私たちに信頼を寄せてくださる皆様のため、150年以上にわたり前進を続けてきました。詳細は当社のウエブサイト(www.pfizer.com)をご覧ください。更に情報を得たい場合は、www.pfizer.com、Twitter(@Pfizer @PfizerNews)、LinkedIn、YouTube、Facebook.com/Pfizerもご覧ください。
また、ファイザー株式会社(日本法人)の取り組みは、下記ホームページよりご覧いただけます。
www.pfizer.co.jp
ⅰGranger, CB,Alexander JH, McMurray JJV, et al. Apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med. 2011;365:981-992.
ⅱGarrison LP, Neumann PJ, Erickson P, Marshall D, Mullins CD. Using real-world data for coverage and payment decisions: the ISPOR real-world data task force report. Value Health. 2007;10:326-335.
ⅲHannan EL. Randomized clinical trials and observational studies. J Am Coll Cardiol Intv. 2008;1:211-217.
ⅳBroder MS, Neary MP, Chang E, et al. Treatments, complications, and healthcare utilization associated with acromegaly: a study in two large United States databases. Pituitary 2014; 17(4): 333-341.