BMS logo

プレスリリース

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)、ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん患者の治療薬としてFDAの承認を取得

2017/09/27

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社

※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2017年9月22日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

  • オプジーボは、同適応でFDAの承認を取得した初めてで唯一のがん免疫療法薬です。同適応は、同患者集団における奏効率および奏効の持続性に基づき、迅速承認されました。
  • 重要な臨床試験であるCheckMate -040試験では、活動性のB型またはC型肝炎ウイルスに感染および非感染の患者を対象に、全PD-L1発現レベルにわたりオプジーボを評価しました1,2
  • 肝細胞がんは肝がんの最も一般的な型であり、罹患率は上昇傾向にあります3,4

(ニュージャージー州プリンストン、2017年9月22日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、米国食品医薬品局(FDA)が、ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん(HCC)患者の治療薬として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)点滴静注を承認したことを発表しました。この適応は、奏効率および奏効の持続性に基づき、迅速承認されました。この適応の承認の継続条件は、検証試験において臨床的有用性を証明し記載することです1。CheckMate -040試験では、オプジーボ投与を受けた患者の奏効率は14.3%*(95% 信頼区間:9.2 - 20.8;154例中22例)でした。完全奏効率は1.9%(154例中3例)、部分奏効率は12.3%(154例中19例)でした1。奏効が認められた患者(22例)において、奏効期間は3.2~38.2カ月以上にわたり、患者の91%で6カ月以上、55%で12カ月以上継続しました1

オプジーボに関連した「警告および注意」には、次の事象が含まれています:免疫介在性の肺臓炎、大腸炎、肝炎、内分泌障害、腎炎および腎機能障害、皮膚関連副作用、脳炎、その他の副作用、Infusion Reactionおよび胎児毒性1

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社 米国コマーシャル部門責任者のChris Boernerは、次のように述べています。「長年、治療選択肢の限られていたこれらの進行期HCC患者さんに、がん免疫療法による臨床的に意義のある奏効の可能性をもたらすことができ、誇りに思います。本日の承認は、高いアンメットニーズが残る疾患に革新的な医薬品を提供するという当社のミッションの実現に向けた重要な一歩です。」

米国において、肝がんは深刻な問題となっており、その負担は今後数十年間でさらに増大すると考えられています5,6。医学誌『CA: A Cancer Journal for Clinicians』で最近発表されたアメリカがん協会(ACS)の報告によると、肝がんによる死亡率は1980年代半ばから倍増しており、全がん腫の中で最も急速に増加しています5

セントルイス大学肝臓センター共同ディレクターで肝臓学部長のAdrian M. Di Bisceglie(M.D.)は、次のように述べています。「残念なことに、HCC患者さんの大半が進行期に診断され、治癒の可能性がある外科手術を受けることができません。全身療法による治療に不応だった進行期のHCC患者さんは、より多くの治療選択肢を必要としています。」

肝細胞がんは、治療選択肢が限られた進行期に診断される場合が多く、ソラフェニブに不耐容またはソラフェニブによる治療中に病勢進行した患者さんにとって、高いアンメットニーズが残されています5,7,8

米国南カリフォルニア大学(USC)ケック医学部およびUSCノリスがんセンターの臨床内科准教授兼第Ⅰ相プログラムディレクターであり、本試験の治験責任医師であるAnthony B. El-Khoueiry(M.D.)は、次のように述べています。「近年、進行期肝がんの患者さんの新たな治療選択肢として、がん免疫療法の知見や発見を活用しようという関心がますます高まっています。オプジーボの承認により、全身療法による治療歴を有するHCCの適切な患者さんに対し、有望なアプローチと新たな治療選択肢がもたらされました。」

 

奏効率および奏効期間に基づく承認


CheckMate -040試験は、ソラフェニブによる治療中に病勢進行した、またはソラフェニブに不耐容のHCC患者を対象にオプジーボを評価した第Ⅰ/Ⅱ相多施設共同非盲検臨床試験です1,9。本試験では、患者154例にオプジーボ3mg/kgでの2週間ごとの静脈内投与を行いました。推奨用量は240mgで、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、2週間ごとに60分以上かけて静脈内投与を行いました1。有効性の評価項目には、盲検化された独立中央評価委員会の評価による確定奏効率(RECIST 1.1およびHCCのためのModified RECISTに基づく)および奏効期間が含まれました1。本試験に参加した患者の年齢の中央値は63歳(範囲:19歳~81歳)で、全患者がソラフェニブによる治療歴を有しており、患者の19%が2種類以上の全身療法を受けていました1。患者は、PD-L1の発現レベルおよび活動性のB型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)の感染の有無にかかわらず組み入れられました1,2。CheckMate -040試験のデータは、6月に開催されたアメリカ臨床腫瘍学会の2017年度年次総会で発表されました。

CheckMate -040試験では、オプジーボの奏効率は14.3%*(95% 信頼区間:9.2 - 20.8;154例中22例)でした。完全奏効率は1.9%(154例中3例)、部分奏効率は12.3%(154例中19例)でした。奏効が認められた患者(22例)において、奏効期間は3.2~38.2+カ月にわたり、患者の91%で6カ月以上、55%で12カ月以上継続しました1。奏効までの期間の中央値は2.8カ月(範囲:1.2 - 7.0カ月)でした2。Modified RECISTに基づく奏効率は、18.2%(95% 信頼区間:12.4 - 25.2;154例中28例)でした。完全奏効率は3.2%(154例中5例)であり、部分奏効率は14.9%(154例中23例)でした1。奏効は、PD-L1発現レベルにかかわらず認められました2

患者支援団体「Yes! Beat Liver Tumors」の共同設立者であるSuzanne Lindleyは、次のように述べています。「私が患者さんのアドボケートとして活動するのは、肝がんが患者さんやご家族に与える大きな苦痛を、私も直に経験したからです。HCCは、病気の影響の大きさに対して認知度が低い病気の一例だと思います。本日の承認は、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患に希望の光を当て、認知度を高めるきっかけとなってくれました。」

 

安全性プロファイルの抜粋


CheckMate -040試験では、ソラフェニブによる治療中に進行した、またはソラフェニブに不耐容のHCCおよびChild-Pugh分類Aの肝硬変患者154例のサブグループにおいて、オプジーボの安全性評価を行いました。患者は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の値が施設基準値上限の5倍以下であること、および総ビリルビンが3mg/dL未満であることが規定されていました。オプジーボへの曝露期間の中央値は、6カ月でした。オプジーボの投与により発現した(treatment-emergent)グレード3~4の有害事象として、AST増加が患者の18%(154例中27例)、ALT増加が患者の11%(154例中16例)、ビリルビン増加が患者の7%(154例中11例)で認められました。副腎皮質ステロイドの全身投与を必要とする免疫介在性肝炎が、患者の5%(154例中8例)で認められました1。重篤な副作用が、患者の49%で発現しました。最も頻繁に認められた重篤な副作用(患者の2%以上で発現)は、発熱、腹水、背部痛、全身健康状態低下、腹痛および肺炎でした。オプジーボの投与を受けた患者(154例)で最もよく認められた(20%以上)副作用は、疲労(38%)、筋骨格痛(36%)、腹痛(34%)、そう痒症(27%)、下痢(27%)、発疹(26%)、咳嗽(23%)および食欲減退(22%)でした。副作用により、患者の11%でオプジーボの投与が中止され、患者の32%で投与が延期されました2

 

肝細胞がんについて


肝細胞がん(HCC)は、肝がんの最も一般的な型であり、米国では最も急増しているがんの死因となっています3,5,10。米国において、肝がんの罹患率は1980年から3倍以上に増加しています3。今年、米国ではおよそ41,000人が肝がんおよび肝内胆管がんと新たに診断され、29,000人がこれらの疾患により亡くなると推定されています4。その大半はB型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)感染に起因しており、HBVおよびHCVへの慢性的な感染が肝がんの最も一般的な危険因子となっています10,11。しかしながら、メタボリックシンドロームおよび非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の増加に伴い、米国におけるHCCの罹患率は近い将来増加するものと考えられています12,13

 

 

オプジーボの臨床開発プログラム


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のグローバル開発プログラムは、がん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相を含む全開発段階において、オプジーボの広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床開発プログラムには、25,000人以上の患者さんが参加しています。

 

オプジーボ®の適応症および安全性情報について


米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、こちらから原文リリースをご参照ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について


2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeおよびFacebookをご覧ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述


本プレスリリースは、医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2016年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。

*盲検化された独立中央評価委員会の評価による奏効率(RECIST 1.1に基づく)


参考文献

  1.  Opdivo Prescribing Information. Opdivo U.S. Product Information. Last updated: September 22, 2017. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.
  2. Data on file. NIVO 314. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb.
  3. American Cancer Society. Cancer Facts & Figures. 2017. Atlanta: American Cancer Society; 2017.
  4. National Cancer Institute. Surveillance, Epidemiology, and End Results Program Stat Fact Sheets: Liver and Intrahepatic Bile Duct Cancer. 
    https://seer.cancer.gov/statfacts/html/livibd.html. Accessed July 31, 2017.
  5. Islami F, Miller K, Siegel R, et al. Disparities in Liver Cancer Occurrence in the United States by Race/Ethnicity and State. Ca Cancer J Clin 2017 Jul 8;67(4):273-289.
  6. Wang S, Sun H, Xie Z, et al. Improved survival of patients with hepatocellular carcinoma and disparities by age, race, and socioeconomic status by decade, 1983-2012. Oncotarget. 2016 Sep 13;7(37):59820-59833.
  7. Allaire M and Nault JC. Advances in management of hepatocellular carcinoma. Curr Opin Oncol. 2017 Jul;29(4):288-295.
  8. Mlynarsky L, Menachem Y and Shibolet O. Treatment of hepatocellular carcinoma: Steps forward but still a long way to go. World J Hepatol. 2015 Mar 27;7(3):566-74.
  9. Clinicaltrials.gov. “An Immuno-therapy Study to Evaluate the Effectiveness, Safety and Tolerability of Nivolumab or Nivolumab in Combination With Other Agents in Patients With Advanced Liver Cancer (CheckMate040). Available at:
    https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01658878
  10. Mittal S and El-Serag HB. Epidemiology of hepatocellular carcinoma: consider the population. J Clin Gastroenterol. 2013 Jul; 47 Suppl:S2-6.
  11. American Cancer Society. Liver Cancer Risk Factors. https://www.cancer.org/cancer/liver-cancer/causes-risks-prevention/risk-factors.html. Accessed August 8, 2017.
  12. Dhanasekaran R, Limaye A and Cabrera R. Hepatocellular carcinoma: current trends in worldwide epidemiology, risk factors, diagnosis, and therapeutics. Hepat Med. 2012 May 8;4:19-37.
  13. Yang JD and Roberts LR. Hepatocellular carcinoma: a global view. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2010 Aug; 7(8):448-58.