プレスリリース
オプジーボと開発中のIDO1阻害薬BMS-986205の併用療法が、第Ⅰ/Ⅱa相CA017-003試験において、複数の治療歴を有する進行がんの患者で有望な奏効を示す
2017/11/16
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社
※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2017年11月10日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
- 膀胱がんおよび子宮頸がんのコホートにおける抗腫瘍効果のデータが初めて発表され、奏効率は、膀胱がんで32%、子宮頸がんで14%でした。PD-L1発現レベルが1%以上の患者における奏効率は、膀胱がんで46%、子宮頸がんで25%でした。
- 増殖性細胞傷害性T細胞数の増加およびキヌレニン産生の低下も示され、腫瘍内における免疫調節のエビデンスが得られました。
- 安全性プロファイルは、これまでに報告されたBMS-986205とオプジーボの併用療法のデータと一貫していました。
(ニュージャージー州プリンストン、2017年11月10日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、現在進行中の第Ⅰ/Ⅱa相用量漸増および用量拡大臨床試験であるCA017-003試験から、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)と1日1回経口投与の選択的インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)阻害薬であるBMS-986205の併用療法に関する最新結果を発表しました。用量漸増パートにおいて、主要評価項目であるオプジーボとの併用によるBMS-986205の最大耐量は200mgでした。安全性および薬力学的データに基づき、今後の試験における推奨用量は100mgに設定されました。用量拡大パートでは、複数の治療歴を有する膀胱がん患者(25例)および子宮頸がん患者(22例)の2つのコホートにおいて、主要評価項目である抗腫瘍効果に関する結果が報告されました。膀胱がんコホートにおいて、奏効率(ORR)は32%、病勢コントロール率(DCR)は44%でした。子宮頸がんコホートにおいて、ORRは14%、DCRは64%でした。本試験では、PD-L1発現レベルに基づくORRも評価されました。PD-L1発現レベルが1%以上の患者において、ORRは、膀胱がんコホート(13例)で46%、子宮頸がんコホート(12例)で25%でした。PD-L1発現レベルが1%未満の患者において、ORRは、膀胱がんコホート(9例)で22%で認められ、子宮頸がんコホート(7例)では奏効が認められませんでした。奏効は、前治療歴にかかわらず認められました。
これらのデータは、メリーランド州ナショナルハーバーで開催中の第32回がん免疫学会(Society for Immunotherapy of Cancer: SITC)年次総会において、11月11日(土)、メリーランドボールルームにて、「Late-Breaking Abstract Session II」中、午後12時~12時15分(米国東部標準時間)に口頭発表されます(抄録番号#O41)。
本試験の治験担当医師で、シカゴ大学医学部内科准教授であるJason Luke(M.D.)は、次のように述べています。「本試験において示されたBMS-986205とニボルマブの併用療法の奏効に関する予備的な結果は、この併用療法に関する私たちの理解を深めてくれるものです。腫瘍におけるCD8陽性T細胞の増加およびキヌレニンの減少と合わせて、この併用療法の強い効果を示唆しており、進行がんに関するさらなる研究が必要とされています。」
IDO1は、細胞傷害性T細胞を増殖させる必須アミノ酸であるトリプトファンを分解することで、免疫系を抑制し、脅威に対する過剰反応を回避する働きを持つ酵素です。一部の腫瘍は、IDO1を過剰に発現することでトリプトファンを欠乏させ、キヌレニンを産生させることによりT細胞の活性を抑制し、がんに対する正常な免疫応答を阻害します。BMS-986205の非臨床試験では、IDO1経路を他の補完的免疫経路候補と共に標的とすることで、抗腫瘍応答をより効果的に活性化できる可能性が示唆されました。早期臨床データにおいても、抗PD-1療法が、患者におけるIDO1発現をアップレギュレートする可能性が示されました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、IDO開発責任者のMark Rutsteinは、次のように述べています。「当社は、進行がん患者さんに対する新たな治療選択肢候補に関してより多くの情報を提供するため、腫瘍免疫からの回避機構に対する理解を深めるための革新的な研究を迅速に進めています。BMS-986205は、強力かつ選択的なIDO1の阻害を示し、また1日1回の投与を裏付ける薬物動態学的データなど、有望な特性を示しています。本試験の今後のデータに期待しています。」
CA017-003試験について
CA017-003試験は、進行がん患者を対象に、BMS-986205をオプジーボおよびヤーボイ(一般名:イピリムマブ)を含む他の薬剤との併用療法で、異なる用量や投与スケジュールにおいて評価する進行中の第Ⅰ/Ⅱa相用量漸増および用量拡大臨床試験です。用量漸増パートの主要目的は、安全性、忍容性、用量制限毒性(DLT)および最大耐量(MTD)、最大投与量(MAD)または代替用量の確立でした。BMS-986205の1日1回、25mg~400mgの用量を、オプジーボ(240mgを2週間間隔で投与)との併用において評価しました。用量漸増パートの副次目的は、薬物動態、薬力学、免疫原性および予備的な抗腫瘍効果の評価でした。用量拡大パートの主要目的は、BMS-986205とオプジーボとの併用療法の予備的な抗腫瘍効果、安全性および忍容性の評価でした。用量拡大パートにおいて、患者はBMS-986205の100mgまたは200mgでの1日1回の経口投与との併用で、オプジーボ240mg(2週間間隔)、またはオプジーボ480mg(4週間間隔)での静脈内投与を受けました。
本試験では、がん細胞を免疫応答から回避させている可能性のあるIDO1酵素により産生され、免疫調節作用を有する代謝産物であるキヌレニンの血中濃度を測定することで、BMS-986205の効力を評価しました。SITCで発表された抗腫瘍効果のデータ以外に、血中キヌレニン阻害に関するエビデンスも得られており、今後の試験で評価する用量として設定された100mgの用量において、血中キヌレニンを56%阻害することが示されています。またキヌレニンは、投与前および投与中の腫瘍検体においても評価され、最大で100%の減少が示されました。さまざまながん腫における腫瘍のペア検体では、増殖性CD8陽性T細胞の増加も示され、腫瘍の微小環境内におけるIDO1阻害薬とPD-1阻害薬の併用療法による免疫調節のエビデンスが得られました。
BMS-986205の25mg~400mgの用量とオプジーボの併用療法(286例)において、治療に関連するグレード3~4の有害事象が、患者の11%で発現しました。患者2例以上で発現した有害事象には、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加(1.7%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加(1.4%)、貧血(1.4%)、自己免疫性肝炎(1.4%)、疲労(0.7%)、肺臓炎(0.7%)、肝炎(0.7%)、低ナトリウム血症(0.7%)、低リン血症(0.7%)およびリパーゼ増加(0.7%)が含まれていました。本試験において、患者の1.4%が治験薬の有害事象により投与を中止しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブは、複数の進行がんを対象に、BMS-986205とオプジーボの併用療法の評価を進めており、先般、未治療の転移性または切除不能の悪性黒色腫患者を対象に同併用療法を評価する第Ⅲ相臨床試験を開始しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:がん免疫の科学とオンコロジー研究の最前線
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、がん治療の未来に関し、治療困難ながん患者さんの予後を改善する革新的ながん免疫療法(I-O)薬の研究開発に焦点を置いたビジョンを持っています。
当社は、がん免疫の科学をリードしており、研究中の化合物および承認済みの医薬品からなる広範囲に及ぶポートフォリオを有しています。また、臨床開発プログラムにおいては、50以上のがん腫にわたる幅広い患者集団を対象に、様々な免疫系経路を標的とする15種類の分子について臨床研究を進めています。当社は、深い専門知識と革新的な臨床試験デザインにより、複数のがん腫において、I-O/I-O、I-O/化学療法、I-O/分子標的薬およびI-O/放射線療法といった併用療法を進歩させ、治療法の次なる波を一日も早く実現すべく取り組んでいます。また、免疫バイオマーカーの役割に対する理解を深め、患者さんそれぞれの腫瘍が持つ生物学的特性をいかに治療決定の指針として利用することができるかという研究においても、最前線に立ち続けています。
がん免疫療法による治療をより多くの患者さんに提供するためには、社内のイノベーションだけでなく、この領域を率いる専門家との密接な協働が不可欠です。当社は、臨床現場での標準治療を上回る新たな治療選択肢を臨床現場に提供することを共通の目標として、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。
オプジーボについて
オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、25,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割を理解すること、特に、PD-L1の発現によりオプジーボが患者さんにどのような利益をもたらすかを理解することに役立っています。
オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州および日本を含む60カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の組み合わせとして初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。
オプジーボの適応症および安全性情報について
米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、こちらから原文リリースをご参照ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について
2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedIn、Twitter、YouTubeおよびFacebookをご覧ください。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述
本プレスリリースは、医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。特に、本プレスリリースに記載されたいかなる適応についても、オプジーボとBMS-986205の併用療法が承認を受ける保証はありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2016年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。