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プレスリリース

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のオプジーボと低用量のヤーボイの併用療法が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-H/dMMRの転移性大腸がん患者に対し、がん免疫療法薬の併用療法として初めての承認を取得

2018/07/12

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
小野薬品工業株式会社

※本資料は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が2018年7月11日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

  • CheckMate -142試験において、オプジーボとヤーボイの併用療法による奏効率は46%(95% 信頼区間:35 - 58;82例中38例)でした1
  • オプジーボとヤーボイの併用療法は、現在3つのがん腫で承認されており、用法・用量はがん腫により異なります1

(ニュージャージー州プリンストン、2018年7月11日)-ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)3mg/kgと低用量のヤーボイ(一般名:イピリムマブ)1mg/kg(いずれも点滴静注)の併用療法が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移性大腸がん(mCRC)の成人および12歳以上の小児患者の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました1。同適応は、奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)に基づき、迅速承認されました1。この適応の承認の継続条件は、検証試験において臨床的有用性を証明し記載することです。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、消化器がん領域、開発責任者のIan M. Waxman(M.D.)は、次のように述べています。「ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、オプジーボとヤーボイの併用療法が、このタイプの大腸がんに対して承認された初めての2種類のがん免疫療法薬による併用療法となったことをうれしく思います。それぞれに異なる、補完的な免疫経路を標的とするオプジーボとヤーボイの併用療法の研究に対する当社のコミットメントは、バイオマーカーによって特定された患者集団に対する論理的な併用療法は、患者さんの臨床的ベネフィットを改善できる可能性があるという当社の確信に基づいています。」

オプジーボとヤーボイの併用療法の「警告および注意」には、次の事象が含まれています:免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、免疫介在性脳炎、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、胎児毒性。免疫介在性副作用に関しては、ヤーボイの黒枠警告を含め、「重要な安全性情報」の項目ならびにCheckMate -142試験の追加情報をご参照ください1,2

本日の承認は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、またはイリノテカンを含む化学療法による治療歴を有するMSI-HまたはdMMRのmCRC患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を評価した進行中の第Ⅱ相CheckMate -142試験のデータに基づいています1,3,4。申請は、FDAにより優先審査の対象として受理され、この適応に関して、同併用療法はブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定されていました。

CheckMate -142試験のオプジーボとヤーボイの併用療法のコホートには、転移に対して1種類以上の治療歴を有するMSI-H/dMMRのmCRC患者が組み入れられ、有効性の解析は、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療歴を有する患者(全119例中82例)および全登録患者の両方において実施されました1

  • 独立放射線評価委員会(IRRC)の評価において、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療歴を有する患者82例で、オプジーボとヤーボイの併用療法の奏効率は、46%(95% 信頼区間:35 - 58;82例中38例)でした1
    • 完全奏効率は3.7%(82例中3例)、部分奏効率は43%(82例中35例)でした1。奏効が得られた患者38例において、DORの中央値は未達でした(範囲:1.9~23.2+カ月)1。奏効が得られた患者の89%で6カ月以上奏効が持続し、21%で12カ月以上奏効が持続していました1,5,6。試験は継続中です3
  • 全登録患者のうち、オプジーボとヤーボイの併用療法による奏効率は、49%(95% 信頼区間:39 - 58;119例中58例)でした。完全奏効は4.2%(119例中5例)、部分奏効は45%(119例中53例)でした1。奏効が得られた58例において、DORの中央値は未達でした(範囲:1.9 - 23.2+カ月)5,6。奏効が得られた患者の83%で6カ月以上奏効が持続し、19%で12カ月以上奏効が持続しました1。併用療法のコホートでは、奏効が得られた患者58例中51例がデータベースロック時点で奏効が持続していました。奏効が持続している患者の78%が、奏効開始から12カ月未満でした1

推奨投与スケジュールは、オプジーボと低用量のヤーボイの併用療法(オプジーボ3mg/kgを30分以上かけて点滴静注した後、同日中にヤーボイ1mg/kgを30分以上かけて点滴静注:3週間間隔で4回投与)、および併用療法の4回の投与終了後のオプジーボの維持療法(240mgを30分以上かけて点滴静注:2週間間隔)で、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与します1。投与の開始前に、ヤーボイの米国添付文書全文を確認してください。

CheckMate -142試験のオプジーボとヤーボイの併用療法のコホートにおいて、患者の86%が、オプジーボとヤーボイの併用療法の全4回の投与を完了しました7。副作用により、患者の13%でオプジーボの投与が中止され、45%で投与が延期されました1。重篤な副作用が、患者の47%で発現しました1

USCノリス総合がんセンターにおける本試験の治験責任医師であり、南カリフォルニア大学ケック医学校、消化器がん研究のJ. Terrence Lanni ChairであるHeinz-Josef Lenz(M.D.、FACP)は、次のように述べています。「dMMRまたはMSI-Hのバイオマーカーを有する転移性大腸がんの治療は困難である場合があり、さらなる治療選択肢が必要な患者さんもおられます。2種類のがん免疫療法薬による併用療法がFDAにより承認されたことで、3種類の標準化学療法後に病勢進行した患者さんにおいて、治療困難なこの疾患に対する有望なアプローチがもたらされます。」

オプジーボとヤーボイの併用療法は、他の2つのがん腫でも承認されています。オプジーボ3mg/kgと低用量のヤーボイ1mg/kgの併用療法は、未治療の中および高リスクの進行腎細胞がん患者の治療薬として承認されています。オプジーボ1mg/kgとヤーボイ3mg/kgの併用療法は、切除不能または転移性悪性黒色腫の患者の治療薬として、無増悪生存期間に基づき迅速承認されています。オプジーボの単剤療法は、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-HまたはdMMRの転移性大腸がんの成人および小児(12歳以上)患者の治療薬として、ORRおよびDORに基づき迅速承認されています。これらの適応の迅速承認による継続条件は、検証試験において臨床的有用性を証明し記載することです。点滴時間は各適応症によって異なります。詳細は、オプジーボとヤーボイの米国添付文書をご参照ください1

 

CheckMate -142試験に基づく承認


CheckMate -142試験には、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、またはイリノテカンを含む化学療法による治療中または治療後に病勢進行した局所的に判定されたdMMRまたはMSI-HのmCRC患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を評価した多施設共同非無作為化複数コホート並行非盲検臨床試験が含まれました1,8。併用療法のコホートにおいて、患者はオプジーボ3mg/kgとヤーボイ1mg/kgを3週間間隔で4回投与され、その後オプジーボ3mg/kgを単剤療法として2週間間隔で投与されました1。投与は、忍容できない毒性または画像上で進行が認められるまで継続されました1。腫瘍の評価は、最初の24週間は6週間間隔、その後は12週間間隔で実施されました1。有効性の評価項目には、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST 1.1)を用いたIRRCの評価によるORRおよびDORが含まれました1。本試験のデータは、今年1月に2018年消化器がんシンポジウムで発表され、ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー誌にも同時に掲載されました。

 

CheckMate -142試験:安全性プロファイルの抜粋


患者の2%以上で最も頻繁に報告された重篤な副作用は、大腸炎/下痢、肝臓系事象、腹痛、急性腎障害、発熱および脱水症でした。最も多く(20%以上)報告された副作用は、疲労(49%)、下痢(45%)、発熱(36%)、筋骨格痛(36%)、腹痛(30%)、そう痒症(28%)、悪心(26%)、発疹(25%)、食欲減退(20%)および嘔吐(20%)でした1

 

MSI-HまたはdMMRの大腸がんについて


大腸がん(CRC)は、身体の消化器系の一部である結腸または直腸に発生するがんです10。米国において、CRCは3番目に多いがん腫です10。2018年には約14万人が新たに診断され、男女を合わせたがんによる死亡原因の第3位を占めると推定されています10

DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)は、DNA複製時のミスマッチエラーを修復する蛋白が欠損または機能していない場合に生じ、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の腫瘍が発生する原因となります11,12。転移性CRC患者の約5%が、dMMRまたはMSI-Hの腫瘍を有しています13。これらのバイオマーカーを有する患者は、従来の化学療法でベネフィットを得られない場合が多く、一般的に予後不良です11,13,14

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社:がん免疫の科学とオンコロジー研究の最前線


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、患者さんを全ての活動の中心に据えています。当社は、がん治療の未来に関し、治療困難ながん患者さんの予後を改善する革新的ながん免疫療法(I-O)薬の研究開発に焦点を置いたビジョンを持っています。

当社は、がん免疫の科学を進展させており、研究中の化合物および承認済みの医薬品からなる広範囲に及ぶポートフォリオを有しています。臨床開発プログラムにおいては、50以上のがん腫にわたる幅広い患者集団を対象に、様々な免疫系経路を標的とする24種類の分子について臨床研究を進めています。当社は、深い専門知識と革新的な臨床試験デザインにより、複数のがん腫において、I-O/I-O、I-O/化学療法、I-O/分子標的薬およびI-O/放射線療法といった併用療法を進歩させ、治療法の次なる波を一日も早く実現すべく取り組んでいます。また、業界をリードするトランスレーショナルなケイパビリティを通じて、免疫生物学研究の最前線に立ち、PD-L1、TMB、MSI-H/dMMRおよびLAG-3を含め、効果予測に役立つ可能性のある数々のバイオマーカーを特定し、より多くのがん患者さんへのプレシジョン・メディシン(精密医療)の可能性を推進しています。

がん免疫療法による治療をより多くの患者さんに提供するためには、社内のイノベーションだけでなく、この領域を率いる専門家との密接な協働が不可欠です。当社は、臨床現場での標準治療を上回る新たな治療選択肢を臨床現場に提供することを共通の目標として、学術界、政府、アドボカシー団体、バイオテクノロジー企業と提携しています。

 

オプジーボの適応症および安全性情報について


米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、こちらから原文リリースをご参照ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業の提携について


2011年、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社について


ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社に関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeおよびFacebookをご覧ください。

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の将来予測等に関する記述


本プレスリリースは、医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。そうした将来予測に関する記述は現在の予想に基づくものであり、遅延、転換または変更を来たす内在的リスクと不確実性を伴っており、実際の成果または業績が現在の予想と大きく異なる結果となる可能性があります。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の事業に影響を与える多くの不確定要素、特にブリストル・マイヤーズ スクイブ社の2017年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新する義務を負うものではありません。


参考文献

  1. Opdivo Prescribing Information. Opdivo U.S. Product Information. Last Updated: July 2018. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.
  2. Yervoy Prescribing Information. Yervoy U.S. Product Information. Last Updated: July 2018. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Company.
  3. ClinicalTrials.gov. An investigational immune-therapy study of nivolumab, and nivolumab in combination with other anti-cancer drugs, in colon cancer that has come back or has spread (CheckMate142). https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02060188?term=NCT02060188&rank=11. Published November 22, 2017. Updated January 23, 2018. Accessed April 23, 2018.
  4. The ASCO Post. FDA accepts sBLA for nivolumab plus ipilimumab in previously treated MSI-H or dMMR metastatic colorectal cancer. http://www.ascopost.com/News/58676. Published March 30, 2018. Accessed April 23, 2018.
  5. Overman M, Lonardi S, Yeung KYM, et al. Durable clinical benefit with nivolumab plus ipilimumab in DNA mismatch repair-deficient/microsatellite instability-high metastatic colorectal cancer. J Clin Oncol. 2018;36(8):773-779.
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  8. Bever K, Le D. An expanding role for immunotherapy in colorectal cancer. J Natl Compr Canc Netw. 2017;15(3):410-410.
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