大学時代に生物科学を専攻したAは興味のあった製薬会社に就職し、当初はMRとして営業の仕事に従事していました。いくつかのキャリアを経て、現在の薬事部門にたどり着いた経緯はどのようなものだったのでしょうか。
「担当だった薬局の先生のアドバイスがきっかけでした。私がエビデンスに基づいて理にかなった説明をすることで、将来的に開発に行くことを勧めて下さったのです。その後、当時在籍していた会社でジョブポスティングがあり、開発に異動しました。その後、CRA(Clinical Research Associate)を経験し、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)に入ってからは薬事業務を担当しています」。
当時のBMSは、重要なプロジェクトの一つであった生活習慣病領域を売却し、バイオファーマ企業として根本的な治療が確立されていない疾患領域に軸足を移していった時期でした。「思い切った決断ができることに魅力を感じた」とAは言います。
「開発部門では薬事部門と密接に仕事をしていて、一緒に働くのが面白く興味を持ちました。ですから、薬事業務未経験の私にBMSがチャレンジの機会を与えてくれたのは嬉しかったですね」。
しかし、会社と職種のふたつを一度に変えたことで想像以上に大変な時期を過ごすことになったと振り返ります。
「臨床開発では、戦略やオペレーションといったロールを経験していたので、薬事部門の業務ともその先で繋がっていて、自分も結構理解できているのではと思っていました。しかし、プロフェッショナルとして必要とされているものは違っていて、1年目は失敗ばかりでした。特に求められていることへのコメントができなくて苦労しました。そこから、自分ができることを少しずつ増やして、チームの信頼を獲得していったと思います。諦めそうになった瞬間もありましたが、患者さんにとっての価値を創出したいという最初の気持ちを思い出し、乗り越えることができました」。