熱い情熱と冷静な判断力で
薬事部門のリーダーとして新たなチャレンジを続けています

M. A. 研究開発本部 薬事部門

2023/07/04     

MRからスタートして開発部門を経て、現在は薬事部門の部門長としてチームを率いているA。大きなチャレンジを試みて、挫折を味わったこともありました。一歩ずつ自分で乗り越えて、今は冷静沈着な女性リーダーとして社内でキャリアを積んでいます。

いくつものチャレンジと失敗を経て
プロフェッショナルへの道を歩んできました

大学時代に生物科学を専攻したAは興味のあった製薬会社に就職し、当初はMRとして営業の仕事に従事していました。いくつかのキャリアを経て、現在の薬事部門にたどり着いた経緯はどのようなものだったのでしょうか。

「担当だった薬局の先生のアドバイスがきっかけでした。私がエビデンスに基づいて理にかなった説明をすることで、将来的に開発に行くことを勧めて下さったのです。その後、当時在籍していた会社でジョブポスティングがあり、開発に異動しました。その後、CRA(Clinical Research Associate)を経験し、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)に入ってからは薬事業務を担当しています」。

当時のBMSは、重要なプロジェクトの一つであった生活習慣病領域を売却し、バイオファーマ企業として根本的な治療が確立されていない疾患領域に軸足を移していった時期でした。「思い切った決断ができることに魅力を感じた」とAは言います。

「開発部門では薬事部門と密接に仕事をしていて、一緒に働くのが面白く興味を持ちました。ですから、薬事業務未経験の私にBMSがチャレンジの機会を与えてくれたのは嬉しかったですね」。

しかし、会社と職種のふたつを一度に変えたことで想像以上に大変な時期を過ごすことになったと振り返ります。

「臨床開発では、戦略やオペレーションといったロールを経験していたので、薬事部門の業務ともその先で繋がっていて、自分も結構理解できているのではと思っていました。しかし、プロフェッショナルとして必要とされているものは違っていて、1年目は失敗ばかりでした。特に求められていることへのコメントができなくて苦労しました。そこから、自分ができることを少しずつ増やして、チームの信頼を獲得していったと思います。諦めそうになった瞬間もありましたが、患者さんにとっての価値を創出したいという最初の気持ちを思い出し、乗り越えることができました」。

科学で裏付けされた価値を
情熱を注いで創出しています

仕事上のモットーを聞くと「信頼とチャレンジを大切にしている」と即答してくれました。Aが率いる薬事部門は、今までにない新しい価値を常に創造し続けています。

「薬事部門は薬事規制の中で、開発の初期から承認後まで製品を支え続けています。当初は開発薬事といって、薬の候補となる開発品目を承認に結び付けるまでに、薬事規制の中でどう戦略を組んでいくかが主な仕事でしたが、今では規制当局に提出する資料を作るライティング等関連部署や市販後の薬を安定供給するためのプロセスのサポートまで全体に関わっています」。

BMSが扱う、特に希少な疾患の薬となると仕事は一段と難しくなると言います。

「既にある薬や治療では難しい希少疾患にもBMSでは力を入れていますが、従来の開発戦略や薬事戦略では、どうしても行き詰ったりすることもあります。そのような時は、いかに早く患者さんに価値を届けるかという視点で、『早く何かできないか』、あるいは『少し何かを変えて、今までにない考えの実現が必要なのでは』と新しいアイデアを規制当局の方とも相談します。さらにその中で、本国からは『これは無理では?』、『それは合意できない』と言われたケースもあります。そのときも簡単に諦めるのではなく、一緒に議論をして『やはり、これが最速』、あるいは『患者さんのために一番いいプロセス』だということを理解してもらって了解を得て、最終的には規制当局とも何度も話をさせていただき、『やはり、この方法が一番いい』と納得できるところで落ち着いたということもありました。実際に、今それで何本か試験が動いているものもあるんですよ」。

プロフェッショナルであるチームのメンバーが、科学的に、あるいはロジックとして間違ってないと考えているのであれば、Aはそれを信じて最後までサポートしていくことが大切だと感じています。

「チームと覚悟を決めてアイデアを進めるのは、とても面白い経験です。覚悟を決めるのは、一定の責任者やリーダーだけでいいのかもしれませんが、メンバーも一人ひとりが新たなアプローチ、あるいは科学的にきちんと説明できるのかを考えています。メンバー、上司ともに、それを口に出して議論ができるマインドや風土がBMSにはあります。何か新しいチャレンジをするときにも『絶対に駄目だ』と言われることはありません。チームが裁量権を持ち、しっかりと考えられる土壌が整っています。『こういうことをやりたい』といった意思や目標を持って、しっかりと上の人に伝えれば『ぜひ、やってみて』と後押しをしてくれます」。

そのチャレンジ精神と情熱は、社外の方にも確実に伝わっているようです。

「ある開発の難しい製品で、印象深い事例がありました。申請間際まで規制当局の方にはかなり柔軟に対応していただけました。私たちのパッションが伝わっていると感じられた出来事でした」。

「患者さんにとって正しいことを」
その信念だけはぶれずに持っています

Aは女性リーダーの1人として、B-NOWという女性活躍を推進する社内プログラムのリーダーシップチームのメンバーを務めた経験もあります。BMSで働く女性の比率は増え続けていますが、「女性がより生き生きと働くためには、様々な課題を解決していかなければいけません。私の時は、キャリア形成、社内でのネットワークづくり、そして出産や育児といった人生のイベントの乗り越え方について、現場で働く方も含めて議論を重ねました」。B-NOWの活動を通して、より幅広い人の意見を聞く機会を持ち、新たな価値観に触れられたことが日々の業務にも生かされているとAは振り返ります。

Aにとっての「Patient Centricity(患者さん中心)」とは、どんなことなのかを聞きました。

「MR時代は、ダイレクトに患者さんに薬が処方されていることを感じていました。その後、開発ではより多くの患者さんに価値を届けられるという方向に変わってきました。今は取り扱っている開発品目を世の中にしっかり出し、患者さんに価値を創出していく、そのように患者さんにコミットメントすることが、一番のPatient Centricityではないかと感じています。仕事上で、スピードかそれ以外かを選択しなければならない際、判断に迷うことがあります。そのときは、常に患者さんにとって正しいほうを選ぶのが正解だと思っていますし、経営陣もその判断を支持してくれます」。

今では多くの女性社員にも参考になるキャリアを歩み続けるA。最後に後輩へのメッセーを語ってもらいました。「もし迷ったらやってみてください。うまくいかない時もあると思いますが、やってみないとその次は見えてこないので、何かの機会が目の前にあるのであれば、ぜひチャレンジしてほしいと思います」。

『信頼とチャレンジ』を大切するAの歩みはこれからも続きます。