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治療の新しいスタンダードとなるような革新的な新薬を
日本と世界の患者さんに届けたい

S.K. 研究開発本部 クリニカルデベロップメント部門
血流・細胞療法領域 クリニカルトライアルフィジシャン
ジャパン プログラムリード

2025/11/14     

S.K.さんは小児科医として臨床と研究に従事した後、2024年にブリストル マイヤーズスクイブ(以下、BMS)に入社しました。研究生活の区切りを迎える頃、それまでに得た知見を治療に還元するための選択肢を考えていた時、製薬企業で活躍していた先輩医師の姿を思い起こし、「製薬企業勤務」という道を選んだのです。現在は、クリニカルトライアルフィジシャン(CTP)およびプログラムリード(PL)として、「新薬を患者さんに早く届ける」という目標に向けて臨床開発に携わっています。「専門である小児血液腫瘍の臨床経験が、新薬開発の原動力になっている」といいます。

新薬開発のプロジェクトをサポート

研究開発型の製薬企業では、多くのテーマで基礎研究や臨床開発が行われています。開発段階に進んだ候補物質についても、プロトコルの異なる複数の臨床試験が走っています。それらを円滑に進めることで、新薬を待つ患者さんに1日でも早く届けることを目指しています。

それぞれの候補物質の臨床開発プロジェクトチームは、プロジェクト全体の実行責任と説明責任を有するPL及び各専門部所の代表者によって編成されています。CTPは、PLやクリニカルリード(CL)を医学的知識に基づいてサポートしつつ外部専門家と関係構築を図ります。また、日本だけで行われる臨床試験での医学的責任者として被験者登録の適格性や安全性の評価も行うポジションです。S.K.は、CTPとしてさまざまな臨床開発プロジェクトチームに関わるとともに、一部のプロジェクトではPLを兼任しています。

「臨床開発において、医師として患者さんの真のアンメットニーズ(未充足の医療ニーズ)を理解するように努めています。治験の症例に関する医学的な評価について意見を求められますが、業務はそれだけにとどまりません。BMSのクリニカルデベロップメント部門では一定のルールの中で個人の裁量が尊重され自由度が高いため、医師が貢献する場は無限大にあります。」

製薬企業勤務の医師のやりがいとは

BMSでは、出社か在宅か、勤務時間などに関してフレキシブルな働き方が可能です。グローバル企業ゆえ、夜間に海外との会議が入ることもありますが、予め設定されたスケジュールに沿ったものです。

S.K.さんはアカデミアに出向いて、小児がんに関して自身が行ってきた研究成果について講演することもあります。そこでの交流は、小児血液腫瘍に携わる臨床医や研究者とのコミュニケーションを深め、臨床の情報を得ることにも役立ちます。

製薬企業に勤務する医師のやりがいを聞くと、こんな答えが返ってきました。
「より広い視野で日本や世界の患者さんに向けて新薬を開発できることや、それにより将来、標準治療やガイドラインが変わる可能性があることです。そして、自らの努力でそこに貢献できることです」

プロアクティブに動き、自分の経験・知識を活かす

S.K.さんによると、製薬企業の医師として必要なスキルやマインドセットは大きく3つ。

1つは、仕事を自ら「創り出す」こと。診療を受けに患者さんが「来院」する医療機関とは異なり、製薬企業に勤務する医師は、広い視野を持ちつつ、チームの中で自分の経験や知識をどのように活かしてメンバーと協働するか、プロジェクトの戦略立案や実行力が強化されるか、最終的に患者さんのアンメットニーズに答えられるかなどを考え、プロアクティブに動くことが重要だといいます。「最近は診療や医学研究もチームで行われるので、医師は企業の中でもチームの一員として業務を進めることへの親和性が高いのでは」とS.K.さんは感じています。2つ目は、「対応力」。チーム内や外部専門家との議論では様々な論点が飛び交います。その中で、素早く考えて、適切な発言をしていくことが求められます。最後の1つは、学び直しの姿勢とのこと。S.K.さん自身も、製薬業界やBMS社内で汎用される用語や略語、それに薬事規制の理解に戸惑いながら、「研修医の気持ち」で新しい環境に適応するよう努めました。

米国での研究中に知った医師としての「第3の選択肢」

実際に研修医だった頃のS.K.さんは、小児科、それも血液腫瘍を専門とすることを志していました。標準的な多剤併用化学療法に手ごたえを感じつつ、長期間の入院や治療の副作用に悩む患者さんに寄り添いました。
その経験から、小児血液腫瘍の新たな治療開発を目指して国内外で研究を始め、治療標的に関するいくつかの成果を論文発表しています。

米国での研究生活が区切りを迎える頃、それまでに得た知見を治療に還元するためにはどうするかを考え、「帰国して製薬企業勤務」という道を選びました。

「米国で先輩の日本人の医師が製薬企業に就職し、いきいきと仕事をされている姿を学会等で見ていました。臨床あるいは研究に従事するという道のほかに、製薬企業という第3の選択肢があることを知ったのです」

米国本社の小児開発部門とも連携

現在S.K.さんは、BMS米国本社の小児開発担当部門と連携し、日本でのレギュレーションの変化に対応した小児開発のビジョンについて議論することもあります。CTPの1人という立ち位置を超え、社内で「S.K.といえば小児開発」という認識が醸成されつつあるとか。また、BMSが小児開発にどのように貢献できるかを検討するグループに参加しており、その活動の成果の一部が2025年8月に開催されたPMDAの小児医用薬品シンポジウムで発表されたそうです。

S.K.さんは「BMSに入社した理由の1つは、転写因子を標的にした新薬を開発しているからです。小児がんにも応用できる可能性に期待したい。」と力を込めました。

※所属部署・役職など、記事内に記載の内容は取材時点の情報です。