Home / 私たちのストーリー / People / 医師としての長い経験を強みに 企業と臨床現場の「通訳者」に

医師としての長い経験を強みに
企業と臨床現場の「通訳者」に

M.N. 研究開発本部 クリニカルデベロップメント部門 メディカルアドバイザー

2026/02/02     

M.N.さんは、ブリストル マイヤーズ スクイブ(以下、BMS)の研究開発本部クリニカルデベロップメント部門に勤務しています。血液内科医として大学病院と市中病院で造血幹細胞移植や化学療法を中心に25年の臨床経験を積んだ後、旧セルジーン(2021年BMSに統合)に入社しました。「企業人としてのスタートは遅くても、医師としての長い経験を活かす機会があります。他の社員が持ち得ない強みと言えます」と話しています。

科学の最先端で英語を活かして

「米国留学中に世界レベルの科学に最先端で触れ、そのような環境で再び働きたいと思うようになりました。また、英語力を活かしてグローバルな仕事をしたいという想いがありました」

M.N.さんは、医師 (MD) から製薬企業への転身をそう振り返ります。

一般的に、製薬企業でMDが最初に所属するのは、「開発」「メディカル」「安全性」の3部門。M.N.さんは入社後、血液領域、特にCAR T細胞療法の開発に携わりました。当初はメディカル部門に異動する選択もありましたが、開発業務に興味を惹かれ、そのまま続けることを選びました。

開発部門のMDの業務には、社内関係部署と協業して、MDとしての立場から「臨床試験の開始時に参加医師に試験の意義・目的や患者組み入れ基準を説明する」、「試験の安全性やトラブルへの対応」、「データをまとめる際の医学的インプット」などがあります。また、組み入れを促進するために参加医師との面談を通して科学的ディスカッションをすることも大切な仕事です。

M.N.さんは、細胞を取り扱う、という意味で、造血幹細胞移植と共通点を持つCAR T細胞療法への科学的な興味に加え、さまざまな業務を通じてチームで仕事を進める楽しさに魅力を感じたといいます。それとともに、「臨床試験で得られたデータをシステマティックに、かつ堅牢な根拠をもってまとめ、多くの患者さんに届けること」にやりがいを感じました。

血液内科領域の臨床試験をサポート

その後、クリニカルデベロップメント血液・細胞療法領域の部長を経て、現在はメディカルアドバイザーとして勤務しています。主な業務として、日本が創出する開発戦略を部署横断的に立案し、シニアリーダーへ提案することのリード、血液細胞療法領域における臨床試験のサポート直近では経営の視点でのローカルポートフォリオの検討などがあります。

「自分自身が前面に出る、ということよりも各チームが良い成果を出して認められることを積極的にサポートすることを大切に考えています」とM.N.さんは言います。

製薬企業でのMDの役割について、M.N.さんは「医師と企業の間の通訳者」と説明します。具体的には、「臨床医としての経験を活かして、診療や臨床試験に携わる医師とのコミュニケーションを円滑にし、医師側の質問や懸念を企業側に的確に伝え、企業からの質問や要望を医師が理解しやすい形で伝える役割」です。

キャリアを重ね、マネジメントも

実績と信頼を積み重ねて部署のリーダーになり、さらには部門の責任者へと進む――。M.N.さんもそうでしたが、MDのキャリアパスにはこのような方向性も可能です。

キャリアのフェーズが進むに伴い、医学・医療の知識だけではなく、マネージャーとしての考え方やマネジメントスキルも求められるようになってきます。とはいえ、「一足飛びにマネジメント側に移行するのではなく、徐々に成長していくグラデーションがある」(M.N.さん)。

BMSでは、業界経験が浅いMDのキャリア開発のために、新薬の承認申請や行政当局との折衝に関する法規制の講習や、クリティカルシンキング、ビジネススキルなどの学習機会、リーダーシップ研修などを提供しています。M.N.さん自身は、BMSで働くMDのメンターの役割も担い、より日常的な疑問・悩みの相談相手となっています。

自らの経験も踏まえて、「製薬企業のMDに必要なのは、『指示待ち』にならない姿勢です」と強調します。

「自分から仕事を見つけていく積極性が重要です。例えば、あるプロジェクトに参画することになったら、自分がMDだからという範囲にとどまらず、『この人がいると頼りになる!』と思われるようなポイントを見つける。それには、人の話を聞く力やチーム全体が納得して進むことを待つ力も重要です」と指摘します。

M.N.さん自身も、チームの中に入り込んで一緒に汗をかくようにしたと振り返ります。

他の社員が持ち合わせない強み

一方で、医療現場には「患者さんの苦しみを取り除く、命を助ける」という明確な目標があるのに対し、企業では利益やワークライフバランスなど様々な要素の調整が必要で、そこには苦心したとか。

「時間の経過の中で、自分で落とし所をみつけることができるようになりました」というM.N.さんに、製薬企業勤務を検討する医師へのメッセージを聞きました。

「医師としての経験がどのような形であっても、それを活かせる機会があります。ある程度の年齢だとしても、長い臨床経験はむしろ他の社員が持ち得ない強みになる可能性があります」

※所属部署・役職など、記事内に記載の内容は取材時点の情報です。